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業務全般制度改正 2017/06/06

電子申告(e-Tax)義務化へ!今、経理担当がやるべきこと

財務省と国税庁は、法人税と消費税の税務申告を行う際、インターネットによる電子申告(e-Tax)を義務化する方針を打ち出しました。
2018年度の税制改正大綱にもり込むことを目指すようです。税制改正大綱にもり込まれると、1年以内に施行されるので、早ければ2019年度には電子申告(e-Tax)の義務化がはじまります。
そこで、改めて電子申告とは何か、どんなメリットがあるのか、どんな対応が求められるのかまとめてみました。

電子申告(e-Tax)とは

電子申告(e-Tax)とは、国税庁が運営する、国税に係る申告・申請・納税を行う際のオンラインサービス。正式名称を国税電子申告・納税システムと言い、e-Tax(イータックス)はその愛称となります。

2004年の2月に名古屋国税局管内の納税者を対象にスタートし、順次対象地域・対象手続きを拡大。
国税庁の資料によると、2015年度の法人税申告では全体の75.4%、約196万件が電子申告(e-Tax)を利用するなど、順調に普及が広がってきました。しかし、資本金1億円以上の大企業では52%、約1万件の利用にとどまるなど、普及の余地はまだまだ残されています。

大企業の利用率が低い理由の一つは、紙で決済する文化が根強く残っている点があげられます。
大企業の経理部に在籍していた税理士によると、大企業の法人税申告書作成は自社の経理部で行っているケースが多く、税務担当者が作成した申告書に経理部長などの管理職が社印を押印して税務署に提出する流れになるようです。

これが電子申告になると、社印ではなく電子証明書での署名が必要になります。決済のルール変更に伴う、様々な社内規定づくりの必要性が生じ、それが大企業における電子申告の導入を遅らせてきた要因と考えられます。

電子申告(e-Tax)のメリット

電子申告(e-Tax)の最も顕著なメリットは、申告書提出業務の効率化と言えます。
紙による申告の場合、大企業であるほど法人税の申告書枚数が多く、地方に支店が点在していればその分、地方税の提出先も増えていきます。

社内の手続きも大企業ほど煩雑を極めます。
例えば押印申請。やはり地方に支社が多いほど、押印の量は増えていきます。自署押印も必要です。本来であれば支社の数に応じて代表取締役が自ら署名しなければならず、その労力は計りしれません。申請書の印刷や郵送も同様のことが言えます。

電子申告(e-Tax)を導入することで、そうした煩雑な業務を一気に軽減できます。郵送の必要がなく、支店の多い企業でもスムーズに提出作業が完了します。また、電子申告(e-Tax)を行うことで電子納税が可能になるのも大きなメリット。金融機関に納付書を持ち込むことなく、会社にいながら税金の決済ができるのです。

事前に必要となること

先述したように、大企業であるほど電子申告(e-Tax)のメリットを享受しやすいにも関わらず、普及が進んでいないのが現状です。今回の法改正で慌てて準備を始める企業も少なくないことでしょう。
そこで、最後に電子申告(e-Tax)を導入する際に必要な事項についてまとめました。

電子証明書の取得
電子申告(e-Tax)を行う際に、書面における署名・押印の代わりとなるのが、電子証明書です。
電子証明書は、地方公共団体情報システム機構が発行し、市区町村が交付する公的個人認証サービス(マイナンバー)や法務省が運営する商業登記認証局など、様々な機関から取得できます。
詳しくは、国税庁のサイトを参照ください。

ICカードリーダー
電子証明書はカードなどに埋め込まれているので、これを使用する際にはICカードリーダーが必要となります。
カードリーダーには接触型、非接触型、共用型の3タイプあります。電子証明書の発行機関によって対応機種が異なり、例えば公的個人認証サービスから電子証明書を取得した場合の対応機種はこちらとなります。

電子申告・開始届出書
電子申告(e-Tax)の利用を始める前に、電子申告・納税等開始届出書を管轄の税務署に提出する必要があります。
窓口で提出もできますが、e-Tax経由での送信も可能です。届出をすると利用者識別番号が発行されますので、出力したものを保管するようにしてください。
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本文でふれたように、電子申告(e-Tax)の普及の余地は大企業ほどあります。
義務化に備え、これまで押印手続きによって代表者から承認を得ていた申告書の承認プロセスを変えていく必要があります。また、電子証明書の管理はどこの部が担うのかも含め、新たな社内規定やルールを再構築していかなければなりません。それをリードしていくのが経理部門ではないでしょうか。
電子申告(e-Tax)の義務化に向けた取り組みを今からはじめてください。
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