日本に消費税が初めて導入されたのは1989年4月。当時の竹下内閣の下、財政再建の切り札として税率3%でスタートしました。小売店は1円玉の確保に追われるなど市場は大混乱となり、価格がわかりづらい、買い物が面倒になったなど、経済企画庁には消費者からのクレームも多数寄せられました。
その後、1997年4月には橋本内閣が税率3%から5%への引き上げを実施し、財政構造改革を掲げました。しかしその年の秋には山一證券が破綻、アジア通貨危機も重なり、日本経済は不況に陥ります。消費税増税はデフレ不況の元凶とされ、翌年の参院選で橋本内閣は惨敗。以来、消費税増税は政権の鬼門とされることとなりました。
上記のような背景から長らく据え置かれた消費税ですが、2014年4月、税率5%から現行の8%に増税となりました。続いてその年の秋には10%に再増税される予定でしたが、安倍内閣によって2017年4月に先送り表明がなされ、さらに2016年6月、税率10%への引き上げは2019年10月に再延期するとの表明が出されました。今後の動向に注視したいところです。
経理/財務消費税 2018/04/10
経理必須!消費税まるごと基礎知識
消費税とは、消費者が負担し事業者が納付する税のことで、商品・製品の販売やサービスの提供など、様々な取引に対して広く公平に課税されるのが特長です。消費者は商品やサービスそのものの代金の他に8%(国税6.3%、地方税1.7%)を消費税として支払い、事業者は受け取った消費税から経費にかかった消費税を差し引きして、原則としてその差額を納付します。3月決算の会社にとっては5月末が納付期限となり、経理担当にとっても非常に重要な業務のひとつです。
消費税の歴史
世界の消費税率比較
日本では1989年に初めて導入された消費税ですが、世界各国では付加価値税として既に広く普及していました。国税庁のホームページによると、日本の消費税に相当する付加価値税はヨーロッパ諸国を中心に全世界100カ国以上の国や地域で採用されています。
世界の消費税(付加価値税)標準税率比較(2017年1月時点での数字)
こうして比較してみると、日本の消費税率は低いように見えます。しかし日本ではほぼすべての商品・サービスを購入する際一律に課税されるのに対して、イギリスやアイルランド、オーストリアなどは、食料品の税率を無税にするなど、生活必需品と贅沢品を分けるケースが多くあり、一概に比較することは難しいと言えます。
ただし日本にも非課税取引があり、消費税の性格や社会政策的な配慮などから下記の取引に関しては非課税となっています。
世界の消費税(付加価値税)標準税率比較(2017年1月時点での数字)
国名 | 税率 |
---|---|
デンマーク、スウェーデン、ノルウェー | 25% |
イタリア | 22% |
オランダ、ベルギー | 21% |
フランス、オーストリア、イギリス | 20% |
ドイツ | 19% |
中国 | 17% |
ニュージーランド | 15% |
フィリピン | 12% |
韓国、インドネシア | 10% |
日本 | 8% |
タイ、シンガポール | 7% |
台湾、カナダ | 5% |
※国税庁のホームページを参考に作成
こうして比較してみると、日本の消費税率は低いように見えます。しかし日本ではほぼすべての商品・サービスを購入する際一律に課税されるのに対して、イギリスやアイルランド、オーストリアなどは、食料品の税率を無税にするなど、生活必需品と贅沢品を分けるケースが多くあり、一概に比較することは難しいと言えます。
ただし日本にも非課税取引があり、消費税の性格や社会政策的な配慮などから下記の取引に関しては非課税となっています。
- 土地の譲渡、貸付け(一時的なものを除く。)など
- 有価証券、支払手段の譲渡など
- 利子、保証料、保険料など
- 特定の場所で行う郵便切手、印紙などの譲渡
- 商品券、プリペイドカードなどの譲渡
- 住民票、戸籍抄本等の行政手数料など
- 外国為替など
- 社会保険医療など
- 介護保険サービス・社会福祉事業など
- お産費用など
- 埋葬料・火葬料
- 一定の身体障害者用物品の譲渡・貸付けなど
- 一定の学校の授業料、入学金、入学検定料、施設設備費など
- 教科用図書の譲渡
- 住宅の貸付け(一時的なものを除く。)
※国税庁のホームページより抜粋
消費税申告のポイント
納税義務者
法人の場合、その事業年度の基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1000万円を超える事業者が、消費税の納税義務者となります。基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1000万円を超えた場合は、その課税期間においては課税事業者です。特定期間については、法人の場合、原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間となります。
例)
平成28年の課税売上高1000万円超の場合、平成30年課税事業者。
平成28年の課税売上高1000万円以下でも、平成29年事業開始より6カ月の課税売上高1000万円超の場合、平成30年課税事業者。
消費税の計算
消費税の納税額の計算方式には、「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2種類あります。経理担当が中心となり自社に合った方式を選択する必要があります。
- 原則課税方式
課税期間における課税売上にかかる消費税から、課税仕入れ等にかかる消費税学を控除するシンプルな計算式です。
(課税売上高×6.3%)−(課税仕入高×6.3/108)=消費税額 - 簡易課税方式
一定の条件のもと、仕入れにかかる消費税を業種ごとの「みなし仕入れ率」で計算できる制度です。この制度を利用できる条件は、消費税課税の基準期間(2期前の1年間または1期前の上半期)の課税売上高が5000万円以下であることです。
(課税売上高×6.3%)-(課税売上高×6.3%×みなし仕入率)=消費税額
みなし仕入率第1種事業(卸売業) 90% 第2種事業(小売業) 80% 第3種事業(製造業等)農林・漁業、建築業、製造業など 70% 第4種事業(その他)飲食店業など 60% 第5種事業(サービス業等)運輸・通信業、金融・保険業、サービス業 50% 第6種事業(不動産業) 40%
中間申告・納付
直前の課税期間の消費税額が48万円を超える事業者は、下記の通り中間申告と納付を行う必要があります。
直前の課税期間の消費税額 | 中間申告・納付回数 |
---|---|
48万円超400万円以下 | 年1回(直前の課税期間の消費税額の1/2) |
400万円超4800万円以下 | 年3回(直前の課税期間の消費税額の1/4ずつ) |
4800万円超 | 年11回(直前の課税期間の消費税額の1/12ずつ) |
※詳細は国税庁のホームページを参照してください
**********