株主総会とは、会社の構成員であり所有者でもある株主が直接参加し、決議によって会社の基本方針や基本的事項について意思決定を行うための機関です。年に1回決算期に開催される定時株主総会といつでも開催できる臨時株主総会があります。
株主総会では主に下記のような事項を決めます。
- 会社の定款変更や解散・合併などの組織に関する重要事項。
- 取締役、監査役などの選任・解任などの構成員についての意思決定。
- 配当金など株主の利益等に関する事項など、会社の存在そのものや組織上の重要事項についての決定。
企業は株主の利益を最優先に考え上記の意思決定を行うとともに、企業のもつ情報を速やかに開示することが求められます。なお、株主総会の権限以外の会社管理・運営上の意思決定は、株主総会で選任された取締役会に委ねられることになり、やはり株主の意向が波及することになります。
株主総会の決議は、多数決によって行われます。しかし、単純に株主1人に対して1議決権が与えられるのではなく、1株につき1議決権が与えられる方式です。つまり、多くの株を保有している株主ほど、多数決において強い権限を発揮できるのです。出資の大きさが発言権の大きさになる、これを資本多数決と呼びます。
また、議決権は株主が株主総会に出席して行使するのが原則ですが、遠方に住む株主や、複数の株主総会が重なっている株主は出席できないというケースもあります。そうした場合でも議決権を行使できるよう、株主には「議決権の代理公使」と「書面投票・電子投票制度」が用意されています。
- 決権の代理公使
…代理人を株主総会に出席させることで議決権を行使する方法。
- 書面投票・電子投票制度
…書面またはインターネットなどで議決権を行使できる制度。
これを採用するか否かは株式会社の任意ですが、株主総数が1000人以上の会社に関しては「書面投票・電子投票制度」の採用が義務付けられています。
株主総会の主な流れ
- 株主招集
株主に書面で召集を通知し、株主総会の開催をお知らせします。その中に議決権行使書というハガキを入れます。出席できない株主でもハガキに賛否を記入して返送するだけで議決権を行使することができます。
- 株主議決権行使の集計
返送されてきた議決権行使書の賛否を集計します。株主総会に出席できない株主の議案についての意向を集計しておきます。
- 想定問答集の作成
決算書をもとにした経営状況の開示に対する意見や様々な議案に対する質問が飛び交うのが株主総会。あらかじめ想定問答集を作成しておくことで、スムーズな運営が実現します。
- 株主総会の開催
定款の定めによって代表取締役が議長を務め、様々な決議をまとめていきます。適性や職務を考慮した役割分担が大切となります。
- 議事録の作成
株主総会の議事録を作成し、代表取締役をはじめ出席した取締役の承認を得ます。
- 決議通知の作成・送付
株主総会で決議した議案を記載した株主総会決議通知および株主配当金の支払い通知書を株主に送付します。
上記の流れの中で経理の役割とされるのは、一般的には想定問答集の作成です。しかし厳密に決まっているわけではなく、議事録や決議通知の作成、株主議決権行使の集計など、多方面に関わる経理担当も多いようです。基本的に担当者のスキルや適正に応じて役割が決まることになり、多方面に関わる経理ほど、経営層からの信頼も厚いと言えそうです。