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業務全般制度改正 2025/03/25

電子記録債権の導入待ったなし! 2026年の約束手形・小切手廃止に備えたい決済のデジタル化

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2026年の約束手形・小切手の廃止に向け、企業は電子記録債権やインターネットバンキングを使った銀行振込への迅速な移行が求められています。
今回の記事では、これらの廃止の背景や今後の電子決済に向けた対応策、実務上のポイントを解説します。

約束手形・小切手廃止の背景と今後の流れ

政府は、2026年を目処に「約束手形・小切手の利用を廃止する」という方針を示しています。


約束手形とは
約束手形とは、特定の期日に決められた金額の支払いを約束する有価証券の1つです。
代金を支払う側を振出人、受け取る側を受取人と呼び、振出人が受取人に対して約束手形を振り出すことで、現金決済の代わりにすることができます。
約束手形の振り出し後、期日になると金融機関が振出人の口座から決められた金額を引き落とし、受取人は金融機関を通して現金を受け取るのが一連の流れです。

約束手形には、支払期日を将来に設定することで、期限までは振出人が現金を全額準備する必要がなくなるため、キャッシュフローを安定させられるというメリットがあります。
そのため、特に資金繰りの調整が必要な製造業や建設業などの企業間取引で頻繁に利用されてきました。
また、振り出しは振出人の口座に残高がなくてもできるため、現在は支払える金額が用意できなくとも、将来確実に支払えるといった状況でも使えます。
ただし、指定した期日までに代金を用意できないと、手形が不渡りになってしまい、信用低下や取引停止などの結果を招く可能性もあります。
また、受取人からすると支払日まで現金を手にすることができず資金繰りを圧迫する要因にもなるため、注意が必要です。


小切手とは
小切手とは、決められた金額の支払いを約束する有価証券の1つです。
銀行で発行された専用用紙に金額などの必要事項を記入することで、現金決済の代わりにすることができます。
現金の代わりに相手に渡して支払いをするという点では約束手形と共通していますが、換金できるスピードが異なります。
約束手形は原則として支払期日にならないと換金できないのに対し、小切手は受け取った人(持参人)が金融機関に持ち込めば、すぐに支払いを受けることができます。
そのため、小切手は即時決済したい時など、スピードが求められる商取引に重宝されます。


廃止の背景
約束手形・小切手の廃止の背景には、デジタル化やキャッシュレス化の影響があります。
日本企業が国際的な競争力を維持するために取引対価の効率的な現金化が求められている状況の中、紙の約束手形や小切手は企業の業務効率を低下させていると考えられているのです。
さらに、紙の約束手形や小切手の使用には、用紙代や印紙税、郵送費、保管コストなど隠れたコストが多く存在しています。
そのため、約束手形は電子記録債権、小切手はインターネットバンキングを利用した銀行振込に代えるという動きが出てきているのです。
電子記録債権は紙ベースの約束手形を電子データに置き換えることができ、債権譲渡や割引の機能を維持しつつ、安全性と効率性を高めることが可能です。
また、インターネットバンキングでは、オンラインでの即時決済が可能となります。
これにより、紙を使用することによるコストや手間を削減し、取引の透明性を高められると考えられています。

※参考資料:経済産業省「約束手形を振り出している発注者の皆様へ
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約束手形から電子記録債権への移行

電子記録債権とは、デジタル化された金銭債権のことです。
紙の約束手形に代わる決済手段として、活用が推奨されています。


でんさいとは
「でんさい」とは、株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が提供する電子記録債権のことです。
債権の発生・譲渡を電子債権記録機関の記録原簿に電子記録することを要件としており、すべての手続きをオンライン上で行うことができます。
約束手形のように支払期日に現金を受け取れる債権が、電子データ上で管理されているものと考えるとわかりやすいでしょう。


電子記録債権のメリット
電子記録債権は紙の手形と異なり、紛失や盗難のリスクがありません。
一方で、債権譲渡や割引といった手形取引特有の使い方をすることもできます。
さらにすべての対応をデジタル上で完結できるため、金融機関や取引先企業とのやり取りもスムーズです。
システム上に取引履歴も残るため、必要に応じてデータ活用することもできます。

支払側のメリット
電子記録債権の手続きはすべてオンラインで完結するため手形を郵送する必要がありません。
そのため、紙の約束手形を使用する際に発生していた手形用紙代、印紙税、郵送料、及び管理にかかる人件費などのコストカットが可能です。
大量の取引を行う企業では、年間数百万円以上のコスト削減が期待できるという報告もあります。
また、電子記録債権では支払期日に自動で入金処理が行われるため管理業務も不要となり、より効率よい対応ができると考えられています。

受取側のメリット
電子記録債権では期日になると自動的に口座に入金されるため、銀行窓口へ行く必要がありません。
また、電子記録債権は印紙税が課税されないため、コスト削減の面でも効果が期待されています。


でんさいを利用するには
でんさいを利用するためには、取り扱い金融機関に利用申込を行います。
申込後、企業には9桁の利用者番号が付与されます。
この利用者番号は、でんさいを使った取引で支払先や取引先を特定する際に必要な情報となります。
実際の支払手続きは、原則として各社の口座間の送金決済で行われます。
でんさいネットでは、支払期日に自動的に送金が行われ、決済完了後に、システム上に支払等記録が残ることによって、会計処理や社内管理にも有用なデータとして活用できます。

※参考資料:株式会社全銀電子債権ネットワーク「でんさいネット
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小切手から銀行振込(インターネットバンキング)への移行

インターネットバンキングは、銀行が提供するインターネットを利用した金融取引サービスです。
パソコンやスマートフォンからもアクセス可能で、銀行の営業時間に関係なく、いつでもどこでも振込や残高照会、入出金管理を行うことができます。


インターネットバンキングのメリット
約束手形と同様、紙の小切手を利用した支払いでは、受取人が現金化のために金融機関の窓口へ行かなければなりませんでしたが、インターネットバンキングではその必要がありません。
また、インターネットバンキングを利用することで、紛失や盗難のリスクを防ぐことが可能です。
振込手数料が発生する場合もありますが、同一金融機関内での振込であれば無料、もしくは低コストで済むケースもあります。
今後、さらに多くの企業がキャッシュレス化を推進し、インターネットバンキングの活用が進むことが予想されます。
これにより取引のデジタル化と業務効率の向上が期待されています。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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2026年を目処に予定されている約束手形・小切手の廃止は、企業の資金管理や決済手段に大きな影響を与えます。
この変化に対応するためには、約束手形を電子記録債権に、小切手をインターネットバンキングに移行することが不可欠です。
電子決済の導入を積極的に進め、新しい時代の経営に対応しましょう。

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