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ITDX 2024/07/23

郵便料金の値上げで影響を受ける企業とは?電子システムの導入で対策を

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ビジネスにおける電子化は徐々に進みつつありますが、取引書類の送付など郵便サービスを利用している企業も少なくありません。
この状況下で、2024年10月1日から郵便料金が大幅に値上げされることとなりました
今回の値上げは決して軽微なものではなく、事業環境や業種によっては大きな影響を受ける可能性があります。
本記事では、2024年の郵便料金値上げの内容を確認し、企業への影響を解説します。

2024年の郵便料金値上げについて

2024年10月1日から郵便料金が値上げされることとなりました。
主な改定内容は以下の通りです。
種類 現行の料金 改定後の料金 増減
第一種定形郵便物(25g) 84円 110円 +26円
(+31.0%)
第一種定形郵便物(50g) 94円 110円 +16円
(+17.0%)
第二種郵便物(通常葉書) 63円 85円 +22円
(+34.9%)
定形郵便物は従来、25gと50gで料金が異なっていましたが、値上げ後はどちらも110円と重さによる料金差がなくなりました。

※参考資料:総務省「25g以下の定形郵便物等の上限料金の改定について


郵便料金値上げの背景
今回の郵便料金値上げは、日本郵便が抱える構造的な問題と、社会全体の変化が複雑に絡み合った結果と考えられます。
主な背景として、以下の点が挙げられます。

人手不足の深刻化と人件費の高騰
EC市場の拡大による物流量増加に伴い、配送ドライバー不足が深刻化しています。
人材確保のための賃金上昇は、郵便事業の人件費にも影響を与え、料金値上げの一因となっています。

輸送コストの高騰
原油価格や高速道路料金の上昇は、郵便物の輸送コスト増加に直結します。
特に、全国各地への配送網を維持する必要がある郵便事業にとって、輸送コストの増加は大きな経営課題となっています。

郵便物数の減少
インターネットやスマートフォンの普及により、手紙や葉書などの郵便物数は年々減少しています。
郵便事業の収益基盤が縮小する中で、サービス維持のために料金値上げが避けられない状況となったことが考えられます。


郵便料金値上げが企業に与える影響
郵便料金の値上げは、多くの企業にとって、単なるコスト増にとどまらない影響を及ぼす可能性があります。
例えば、以下のような内容が考えられます。

利益の低下
通販会社、印刷会社、出版社など、事業における郵送コストの占める割合が大きい企業にとっては、郵送コストそのものが利益の低下につながり、深刻な問題となることが考えられます。
発送量の多い企業ほど、その影響は甚大になり、企業努力だけでは解決できないケースも出てくることが予想されます。

価格転嫁による顧客離れ
郵送コストの値上げ分を商品価格などに転嫁せざるを得ない場合、顧客の購買意欲を低下させ、売上減少につながる可能性があります。
特に、価格競争の激しい業界では、安易な値上げは顧客離れを招きかねず、企業は難しい舵取りを迫られることになりそうです。

サービスや商品の質の低下
郵送コスト削減のために郵便物の発送頻度を減らしたり、業務全体のコスト削減を検討する企業も増えてくるでしょう。
しかしその結果、提供するサービスや商品の質が落ち、顧客満足度が低下するという本末転倒な結果を招く可能性もあります。

郵便料金値上げの対策として活用したい電子システム

先述のような影響を回避する対策のひとつとして有効なのが、経理業務での電子システムの活用です。
請求書や契約書など、経理業務では紙ベースのやりとりも少なくありません。
既に電子化を行っている企業も多くなってきてはいますが、未だ対応できていない企業もあるのではないでしょうか。
郵便料金の値上げは、このような企業が電子化に踏み切るきっかけにもなると考えられます。
また、一部の業務しか電子化に対応していないという企業も、これを機に他に電子化できる部分がないか改めて検討してみると、業務効率化にもつなげられるでしょう。


電子システムを活用することによるメリット
電子システムの活用には、例えば以下のようなメリットがあります。

郵送コストそのものの削減
郵便料金だけでなく、印刷代や封入作業による人件費など、紙の書類発行にかかっていたコストを削減することができます。
多くの取引先を抱えている企業にとっては大きな影響力があると考えられます。

業務の迅速化
郵送にかかる時間が短縮できることで、スピーディに業務を行うことができます。
契約や請求など、郵送期間を考慮して数日見込まなければならなかった業務においても即時で対応可能となるため、本質的な業務に時間をかけられるようになります。

業務効率の向上
送り側の書類作成や発送、受け取り側の確認や集計などを簡易化できるため、担当者の時間的・精神的な負担を軽減することができます。
手動では難しい分析などを自動化できるシステムもあるため、これまでは気付かなかった新たな課題を見つけることで業務全体の改善を行える可能性もあります。

人的ミスの防止
作成・送付などを自動化できる電子システムでは、人的なミスを防ぐこともできます。
入力作業など一部手動での対応が必要な場合も、AIを活用してミスを発見するなど、ミスへの対策がとられたシステムも多く存在します。

業務内容に特化した様々な電子システム

これまでは電子システムに頼らずとも事業を行えていた企業も、郵便料金値上げに伴い今後は導入を考える必要が出てくることが予想されます。
経理以外にも電子化できる業務は多々ありますが、どの業種でも常に対応する必要がある経理業務は電子システムの導入による効果を生みやすいと考えられます。


経理・労務業務における電子システム
経理業務に活用できる電子システムについては、具体的に以下のようなものがあります。

電子請求システム
電子請求システムはインターネット上で請求書の発行・送付を行うことができるシステムです。
作成、発送、入金確認などの業務を自動化できるため、担当者はより生産性の高い業務に集中することが可能となります。
電子インボイスに対応しているシステムでは、記入事項の多いインボイスも簡単に作成することができます。

電子契約システム
電子契約システムはインターネット上で契約書の作成・署名・保管を行うシステムです。
セキュリティについても、電子署名による改ざん防止や真正性確認など、多くのシステムで対策がとられています。

経費精算システム
経費精算システムは、従業員が経費を申請し、管理者が承認・精算を行うシステムです。
拠点が複数ある企業やリモートワークを行っている企業では、従業員が紙の経費申請書を郵送しなければならないケースもあるかと思いますが、経費精算システムを使用すればその手間が省けます。
不正防止機能を搭載したシステムもあり、経費状況をリアルタイムに把握することも可能です。

勤怠管理システム
勤怠管理システムは、従業員が勤務時間や作業内容を申請し、管理者が承認・集計を行うためのシステムです。
経費精算システムと同様、従業員がいつどこにいても稼働を申告することができます。
従業員の労働時間や作業内容を可視化できるシステムもあるため、労働環境や業務効率の改善に役立てることも可能です。


経理・労務以外の業務に対応した電子システム
郵送が事業の軸となっている業種など、経理・労務業務の電子化だけでは郵便料金値上げに対応しきれない場合、それぞれの業務に特化した電子システムの導入も検討してみるとよいでしょう。
例えば、通販会社では、価格転嫁や提供商品の品質低下による顧客離れを回避し、顧客体験を向上させるために、パーソナライズされた商品推薦を行うレコメンドシステムやチャットボットによる24時間対応の顧客サポートシステムが役に立つと考えられます。
また、在庫管理システムによるリアルタイムな在庫状況把握や、物流管理システムによる配送ルート最適化、顧客情報管理システムによる顧客データ分析などを取り入れ、人件費を削減するという手段もあります。
業種や業務形態などによって、どのようなシステムを導入するのがよいか、自社の環境の見直しを検討することも有効です。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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2024年の郵便料金値上げは、多くの企業にとって大きな転換期となるでしょう。
しかし、この変化を前向きに捉え、電子システム導入などの対策を講じることで、企業は更なる成長を遂げることができると考えられます。
電子システムは、単なるコスト削減ツールではなく、企業の競争力を高めるための戦略的な投資といえるでしょう。
この機会に、ぜひ電子システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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