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経理/財務会計処理 2023/08/29

簿記はビジネスの必須知識!今からでも知っておきたい簿記と仕訳の基本

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簿記や会計はビジネス社会で世界の共通言語と言われています。
簿記の基本は、経理担当者に限らず、どのような職種の方にも有用な知識です。
今回は、簿記や仕訳の基本的な内容について解説します。

簿記とは

簿記とは、企業の取引や経営活動を一定のルールに従って記録する技術のことです。
企業では日々、商品の販売やサービスの提供など様々な取引を行っています。
これらの取引は帳簿という書類に記録します。
ただし、担当者が自由に記入してしまうと、後から見返した際や他の人が見た際に内容を理解できないことがあるため、対策として共通のルールが存在しているのです。
簿記によって、企業の取引は一定のまとまりのある科目や数値で表現することができます。


簿記の目的
簿記の最終的な目的は決算書を作成することにあります。
つまり、簿記は決算書を作るための作業ともいえるのです。
決算書は、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書などから成っています。
これらを作成することで、仕訳帳から始まった取引の記録が、勘定ごとに残高をまとめた報告書の形式になります。
それによって、企業が現在どのような経営状態にあるのか、他社と比較してどういう状況なのかなど、様々な分析を行うことができるようになります。
また、決算書は銀行から融資を受ける際や、上場する際に、企業の財政状態や経営成績を示す書類としても使われます。
つまり、決算書を作成するために必要な簿記の知識は、事業を行ううえで必須といえるのです。


簿記を習得するメリット
直接的に決算書を作成する業務にあたっていないとしても、簿記の知識は様々な場面で役に立ちます。
例えば、決算書の内容を読み解いて事業を客観的に分析することも可能です。
近年重要視されている財務分析を行う際も、各勘定の意味をスムーズに理解することができます。
また、簿記の学習を通じて、どのように利益が出ているのか、原価や経費などのコストがいくらかかっているのかなどを考える力も身につきます。
なお、会計はビジネスにおける世界共通の言語・ルールといわれるように、簿記の基本的なルールは世界共通です。
そのため、簿記の知識があれば、日本だけでなく海外の企業が相手であっても、取引を円滑に進めることができます。


簿記の種類
簿記の方法には、単式簿記と複式簿記があります。

単式簿記
取引を一つの勘定科目に絞って記入する方法です。
単式簿記は基本的に収支のみを記入するため、作業はシンプルです。
ただし、現在の現金や商品の残高を確認することができません。

複式簿記
「借方」と「貸方」という概念を使い、2つ以上の勘定科目で取引を記入する方法です。
複式簿記は各勘定の残高を把握しやすいため、多くの企業や事業者で使われています。

商業簿記と工業簿記
単式簿記と複式簿記とは別に、一般的な製造業では商業簿記と工業簿記が使われています。
商業簿記は取引を記録して外部に公表したり、社内の業績を確認したりすることを目的としたものです。
工業簿記は、工場などでの原価計算をはじめとした内部的な経営状況の管理を主な目的としたものです。


簿記の流れ
簿記を行う際の一般的な流れは以下の通りです。

1. 仕訳の記入
取引における仕訳の内容を決め、仕訳帳に記入します。
仕訳帳には企業のすべての取引を記載します。
仕訳は簿記の基本であり、日常的に発生する作業です。

2. 総勘定元帳への転記
仕訳帳に記入した仕訳を総勘定元帳に転記します。
総勘定元帳は科目ごとに作成された元帳であり、これを見ることで、期中にその科目でどのような取引があったか、前期末や現在の残高はいくらかなどを素早く確認することができます。
総勘定元帳への転記は定期的に行います。

3. 決算整理仕訳
期末に入った時点で、決算書作成に向けて決算整理仕訳を行います。
決算整理仕訳とは、正しい決算書類を作るために決算時に最終的な修正を行うための仕訳です。

4. 決算書作成
決算整理仕訳の完了後、貸借対照表・損益計算書などの決算書類を作成します。

簿記の実践

まずは簿記の基本である仕訳について確認していきます。
仕訳とは、取引を科目ごとに管理できるように、勘定科目というカテゴリー分けされたものに置き換えて振り分ける作業のことです。
複式簿記では、勘定科目を、資産・負債・純資産・収益・費用の5つのグループに分け、仕訳で金額の増減を表現します。
勘定科目と金額は、取引ごとに借方(かりかた)と貸方(かしかた)に記録していきます。
それぞれのグループの増減は、以下のルールに従って行います。
借方 貸方
資産 資産の増加(+) 資産の減少(-)
負債 負債の減少(-) 負債の増加(+)
純資産 純資産の減少(-) 純資産の増加(+)
費用 費用の増加(+) 費用の減少(-)
収益 収益の減少(-) 収益の増加(+)
例えば、10万円の備品を現金で購入した場合、仕訳は以下のようになります。
借方 金額 貸方 金額
備品 100,000 現金預金 100,000
備品という資産が増えたため、借方で備品を増加し、反対に、現金預金という資産が減少したため、貸方で現金預金を減少させます。


複式簿記システムの理解
複式簿記は、すべての取引において最低2つの勘定科目に影響を与えるように記入します。
借方だけ、貸方だけ、という記入はせず、1つの取引における仕訳で必ず借方と貸方での合計額を一致させるのです。
これを貸借一致の法則といいます。
使用する勘定科目の数は借方と貸方で一致させる必要はないため、以下のような場合もあります。

借方 金額 貸方 金額
現金預金 2,000,000 資本金 1,000,000
資本準備金 1,000,000
上記の例は、会社の設立時に株主から資金を調達した際、出資金の一部を資本金、残りは資本準備金としたパターンです。
複数の勘定科目を組み合わせてはいますが、貸方の資本金と資本準備金の合計額が、借方の現金預金の金額と一致するように記載しています。

会計ソフトの利用と簿記の関係

近年では、クラウド会計ソフトなどの発展で、簿記をより効率的に行えるようになりました。
会計ソフトには、以下のように様々な機能が搭載されているものがあります。

  • 日常取引において勘定科目を判定して自動で仕訳を作成してくれるもの
  • 銀行やカードの利用明細から勘定科目を予想して自動で仕訳を作成してくれるもの
  • 複数の担当者が同時に入力できるもの
  • 他のシステムと連携できるもの
会計ソフトを導入するにあたっては、自社の規模、業種、必要な機能などに応じて、適切なものを選定するようにしましょう。

なお、会計ソフトで自動的に仕訳対応できるのであれば、簿記の知識は不要と考える方もいるかもしれません。
しかし、実際は会計ソフトが入力したものをチェックしたり、決算整理仕訳などを追加入力したりなど、人が行うべき業務は多々あります。
会計ソフトの入力内容をチェック・修正できるような体制をしっかりと作ることで、決算書作成までの流れをより効率的に進めることができます。
そのためにも、やはり簿記は必要な知識と考えられます。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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簿記を習得することで、利益の仕組みがわかり、企業の業績向上や経営に役立てることができます。
簿記の知識が曖昧だった方は、ぜひこの機会に簿記能力の向上に取り組んでみてくださいね。

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