HOME ITDX AI-OCRとRPAを組み合わせたデータ入力作業の自動化は、これからの経理業務をどう変えるか?
ITDX 2022/01/25

AI-OCRとRPAを組み合わせたデータ入力作業の自動化は、これからの経理業務をどう変えるか?

この記事をシェアする

近年、多くの企業でAIを用いた業務効率化が注目されています。
手書きなどの文字をデータ化する「OCR」の技術においても、AIを組み合わせた「AI-OCR」が活用され始めており、さらに「RPA」と呼ばれる自動処理を組み合わせることで、より幅広い業務に応用されつつあります。
今回は、AI-OCRとRPAを組み合わせた技術が、経理業務にどのように関わっていくのかについて解説します。

AI-OCRとは?

AI-OCRとは、OCRの技術にAI(人工知能)の機能を付与したものです。
そもそもOCRとは「Optical Character Reader(またはRecognition)」の略で、画像や書類の文字を読み取り、データ化する技術のことです。
例えば、手書きの書類をデータ化する場合、通常は作業者自身が書かれている文字を認識して、PCなどに手作業で入力していくことになります。
しかし、OCRを利用すれば、人の手を介さずとも自動で文字が認識され、データ化されるのです。
この技術は、スマートフォンで写真撮影したレシートの文字情報をデータ化して、経費精算システムに登録するなどの仕組みにも使われています。

※関連記事:OCRを活用して経理業務を効率化!

では、AI-OCRは、従来のOCRと比べて何が違うのでしょうか。
今までのOCRは、手書きの文字に癖があったり汚れていたりすると、認識の精度が下がるという問題がありました。しかし、AI-OCRは、誤認識のあった文字をAIが繰り返し学習することで、読み取るごとに精度が向上していくのです。
AI-OCRの登場は、今まで以上にOCR技術が注目されるきっかけとなりました。

RPAとは?

RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、人が行っていた処理を自動化する技術のことです。RPAの活用は、定期的に行われる日次処理や週次処理に向いています。
例えば、仕訳入力の場合、通常は人の手で一つずつ会計システムに必要項目を入力していきます。
この作業にRPAを使えば、特定のファイルから値を取得したうえで、あらかじめ決められたルールに沿って仕訳を行うということが自動でできるようになるのです。さらに、起動する時刻を設定すれば定時処理も可能です。
このように、RPAの活用は決められた内容の作業を定期的に繰り返す業務に適しています。

AI-OCRとRPAをどのように組み合わせるの?

AI-OCRとRPAを組み合わせることによって、人の判断が必要となる部分も一部自動化の対象にすることができます。
例えば、書類上の文字を読み取って、手動でシステム入力を行う業務の場合は、作業者が書類上の文字を読み取り、その情報を元にデータ入力をしていきます。その際、データ件数が膨大であれば多くの労力が必要となります。そこで、AI-OCRとRPAの出番です。
まずは、AI-OCRによって書類の情報を読み取ります。その後、データ化された情報を、RPAによって加工したり整理したうえで必要な場所に保存するのです。これにより、人は直接作業をしなくても、確認するだけで一連の処理を完了させることができるのです。
※このとき、AI-OCRでどの項目を読み取るのか、システムのどの項目に入力するのかは、事前に設定しておく必要があります。

AI-OCRとRPAを組み合わせることで、他にも様々な業務の自動化が期待できます。
ただし、なんでも構わず自動化することが必ずしも効率化につながるということではありません。効率化を検討する際は、本当に自動化が必要かどうかを考え、機械が行う作業と人間が判断する作業を切り分けていくとうまくいくでしょう。

AI-OCRとRPAを組み合わせた技術と経理業務の今後

AI-OCRとRPAを組み合わせた自動化は非常に便利な技術ですが、現状ではまだ不安定な部分もあります。
もちろん精度は上がってきていますが、経理担当者が扱う重要データの場合はなおさら、人の手を使った調整や確認が必須です。
また、導入の障壁も高く、企業側が自社に合った使い方で自由にカスタマイズできるなどの段階には至っていないのも事実です。

しかし、請求書の支払業務や紙帳票からのデータ入力業務など、AI-OCRとRPAを使ったサービスの中には、一般企業が使いやすい形として既に実用化されているものもあります。
例えば請求書の支払い業務にAI-OCRとRPAを活用する場合は、以下のような仕組みが実現されています。

■AI-OCRとRPAを組み合わせた請求書の支払い機能の例
AI-OCRには、証憑の書類形式をあらかじめ学習しているものを使うことで、読み取りの精度を向上させています。 また、RPAには、読み取りデータの不備の検知や、スケジュール遅延、不明瞭な部分の報告などをテンプレート化したものを使い、データ内容のチェックが自動で行われるようになっています。

その他にも、AI-OCRとRPAを組み合わせた技術は、会計ソフトへの入力作業、銀行振込など、様々な経理業務に応用されつつあります。
要件に対応しているクラウドシステムと併せて使えば、電子帳簿保存法に沿った書類の保存や管理に活用できる可能性もあるでしょう。

今すぐにすべての業務を自動化するのは現実的ではないものの、この先、徐々にAI-OCRとRPAを組み合わせた経理向けのツールが多くなってくることが考えられます。
**********

AI-OCRとRPAは、さらなる発展が期待される技術です。特に、AI-OCRの読み取り技術が向上していけば、人間が文字を見て判断するよりも正確で素早い作業が可能となるでしょう。
また、既にAI-OCRとRPAを活用しているツール出てきています。経理部門の業務効率化を検討している方は、課題解決の足掛かりになりそうかチェックするとともに、AI-OCRとRPAのこの先の動向にも注目してみてください。

人気記事ランキング - Popular Posts -
記事カテゴリー一覧 - Categories -
関連サイト - Related Sites -

経理ドリブンの無料メルマガに登録