中小企業、小規模事業者などの生産性向上や売上アップを目的とした「IT導入補助金」が2021年も実施されます。2021年は新型コロナウイルスの感染対策を目的とした補助内容が強化されており、withコロナの働き方に対応するためにテレワークなどを検討している企業にとって、注目すべき内容となっています。
今回はIT導入補助金2021の概要と、申請のためのポイントについて解説します。
IT導入補助金2021の概要
IT導入補助金2021は「リモートツール」、「会計システム」、「ERPシステム」、「勤怠管理システム」といったITツールの導入にかかる費用のうち、最大450万円までを補助金として受け取れる制度です。
IT導入補助金の対象は中小企業と小規模事業者です。補助対象者は下記のように業種によって異なります。
■中小企業(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象)
業種・組織形態 |
資本金(資本の額又は出資の総額) |
従業員(常勤) |
製造業・建設業・運輸業 |
3億円以下 |
300人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
サービス業(ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
5,000万円以下 |
100人以下 |
小売業 |
5,000万円以下 |
50人以下 |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円以下 |
900人以下 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 |
3億円以下 |
300人以下 |
旅館業 |
5,000万円以下 |
200人以下 |
その他の業種(上記以外) |
3億円以下 |
300人以下 |
医療法人、社会福祉法人、学校法人 |
– |
300人以下 |
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所 |
– |
100人以下 |
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体、特別の法律によって設立された組合またはその連合会、財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益)、特定非営利活動法人 |
– |
主たる業種に記載の従業員規模 |
■小規模事業者
業種分類 |
従業員(常勤) |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) |
5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 |
20人以下 |
製造業その他 |
20人以下 |
また、IT導入補助金2021の補助内容は、従来の「通常枠(A・B類型)」と、新型コロナウイルス感染症に関する「低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)」に分かれています。
※関連サイト:
IT導入補助金2021
IT導入補助金2021「通常枠(A・B類型)」の補助内容
通常枠(A・B類型)は昨年から引き続き設けられている項目で、企業の経営課題を解決するために必要なITツールの導入が該当します。A型、B型で補助金の申請額の範囲や、対象となる業務工程(プロセス)数、賃上げ目標の扱いなどが異なります。
種類 |
A型 |
B型 |
補助金申請額 |
30万~150万円未満 |
150万~450万円以下 |
補助率 |
1/2以内 |
プロセス数 |
1以上 |
4以上 |
ツール要件(目的) |
類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること。 |
賃上げ目標 |
加点 |
必須 |
補助対象 |
|
補助対象外 |
|
IT導入補助金2021「低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)」の補助内容
今年度から新たに設けられた「低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)」は、前年の特別枠(C枠)をさらに発展させた内容となっています。
低感染リスク型ビジネス枠では新型コロナウイルスの影響下においても中小企業の労働生産性が落ちないよう、対人接触機会を減らしながら業務を継続できるビジネスモデルへの転換を支援しています。そのため、導入対象ツールはテレワーク環境構築などの非対面化を実現する機能を持つことが必須です。
通常枠と比べると「ハードウェア」が補助対象となっているほか、補助率も2/3と高めであり、優先的な支援となっています。
種類 |
C類型-1 |
C類型-2 |
D類型 |
補助金申請額 |
30~300万円未満 |
300~450万円以下 |
30~150万円以下 |
補助率 |
2/3以内 |
プロセス数 |
2以上 |
ツール要件(目的) |
複数のプロセス間で情報連携し複数プロセスの非対面化や業務の更なる効率化を可能とするもの。 |
テレワーク環境の整備に資するクラウド環境に対応し、複数プロセスの非対面化を可能とするもの。 |
賃上げ目標 |
加点 |
必須 |
加点 |
補助対象 |
- ソフトウェア費
- 導入関連費等
- ハードウェア
- レンタル費用
|
また、低感染リスク型ビジネス枠は遡及申請ができるようになっており、2021年1月8日以降に導入したITツールについては申請後の導入でなくても補助対象となります。もちろん、交付決定が確約するものではありませんが、既に導入してしまった場合でもあきらめずに申請することが可能です。
このように、低感染リスク型ビジネス枠は通常枠よりも優遇されています。新型コロナウイルスの影響に悩まされている人は活用を検討してみてください。
IT導入補助金2021の申請手順
IT導入補助金を申請して補助金を受け取るためには、あらかじめ決められたプロセスに則る必要があります。一部の手続きには、数週間程度の時間がかかることもあるので早めの準備が必要です。まずはスケジュールと手続きの全体像を確認しておきましょう。
■IT導入補助金2021のスケジュール
募集回 |
申請期間 |
交付決定 |
1次公募
(通常枠・特別枠共通) |
4/7(水)~5/14(金)17:00(予定) |
6/15(火)(予定) |
2次公募
(通常枠・特別枠共通) |
7/30(金)17:00まで(予定) |
8月中(予定) |
1次公募は既に申請期間が過ぎているものの、2次公募はまだ申請が可能です。
申請から補助金の交付までには、大まかに以下の手順を踏む必要があります。
- 補助事業の種類、要件、対象ツールを把握する
- IT導入支援事業者とITツールを決定する
- 交付申請に必要なアカウント「gBizIDプライム」を取得する。
※通常、「gBizIDプライム」のアカウント発行には2週間程度かかります。
- 情報セキュリティ対策への取り組みを自己宣言する「SECURITY ACTION」を行う。
- 必要な情報や書類を準備したうえで、IT導入支援事業者に「ITツール情報、事業計画値」を記入してもらい、補助金の申請を行う。
- 交付決定後、ITツールの発注、契約を行う。
- 事業実績の報告を提出する。
特に重要なのは手順2に記載している「IT導入支援事業者」の選定です。自社に合ったIT導入支援事業者が見つかれば適切なサポートを受けられるため、スムーズに申請を進められます。
IT導入支援事業者を選定する際は、IT導入補助金の活用実績や導入したいITツールの導入実績がある方がスムーズに申請できる場合が多くあります。IT導入支援事業者によっては、対応しているツールが限られていることもあるのでその点もご注意ください。
ミロク情報サービスもIT導入支援事業者としてシステム導入や補助金申請のサポートをしています。お気軽にお問い合わせください。
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IT導入補助金の内容や条件は各年度の状況によって毎年変更されています。2021年は新型コロナウイルスへの対策内容が大きく取り上げられています。ITツールで課題解決できそうな中小企業、小規模事業者はIT導入補助金2021の活用を検討されてはいかがでしょうか。その際は、IT導入支援事業者の選定も慎重に行うとよいでしょう。