法定労働時間外の長時間労働は、従業員のメンタルヘルス不調や体調不良などの原因となるばかりでなく、過労死や過労自殺などにつながることもある深刻な問題です。
ここ数年、有名企業で起きた過重な長時間労働が相次いでクローズアップされ、企業活動やブランドイメージに大きな影響を及ぼしています。
2014年には「過労死等防止対策推進法」が成立するとともに、厚生労働省に「長時間労働削減推進本部」が設置され、長時間労働削減へ向けた取り組みや取り締まりが強化されています。
また、従業員の就労形態は、年を追うごとに多様化・複雑化しており、労務管理業務にかかる負担も大きく増加しつつあります。
こうした状況に正しく対処していくために、組織全体で効率的な就業管理を可能にするシステムが注目されています。
今回ご紹介する電子機器メーカー V社も、タイムカードによる勤怠管理を廃止し、タイムレコーダーと連動した就業管理システムを導入しています。
就業管理のシステム化は、どのようなメリットをもたらしたのでしょうか?V社 総務部 部長の仲野氏にお聞きしました。
人事/労務労務管理 2017/04/11
システム化で勤怠管理の課題を解決
目次
就業管理システムの導入で、長時間労働の削減やコンプライアンスの強化、労務コストの最適化を実現できます。
システム化で勤怠管理の課題を解決
タイムカードによる勤怠管理では勤務実態の正確かつ迅速な把握が困難…
1990年代はじめに開業したV社は、電子機器、通信機器、電子部品を製造する中堅BtoB企業で、国内に7事業所・3工場を展開し、700名以上の従業員を擁しています。
「長時間労働は、従業員を心身ともに疲弊させ、ひいては生産性低下、不良品や事故の発生率上昇、離職率上昇につながります。企業にとっても、従業員にとっても、良いことはありません」
と、仲野氏は指摘します。
「そのため当社では、早くから長時間労働の解消に取り組んできましたが、製造業は慢性的に人手不足の傾向にあるため、受注の多い時期や部署によっては時間外労働が常態化し、サービス残業化しているケースもいくつか報告されていました」
しかし、タイムカードによる勤怠管理では集計に時間がかかるため、勤務実態を正確かつ迅速に把握することが難しく、適切な人員配置や業務改善といった対策を効果的に展開できずにいました。
「そこで、新しい工場と事業所の開設を機会に就業管理システムを導入し、まずは、勤務実態を正確に把握できる環境を整えたのです」
正しい状況把握がなければ、いかなる課題も解決しない。それは、V社 総務部のポリシーのひとつでもあるそうです。
「長時間労働は、従業員を心身ともに疲弊させ、ひいては生産性低下、不良品や事故の発生率上昇、離職率上昇につながります。企業にとっても、従業員にとっても、良いことはありません」
と、仲野氏は指摘します。
「そのため当社では、早くから長時間労働の解消に取り組んできましたが、製造業は慢性的に人手不足の傾向にあるため、受注の多い時期や部署によっては時間外労働が常態化し、サービス残業化しているケースもいくつか報告されていました」
しかし、タイムカードによる勤怠管理では集計に時間がかかるため、勤務実態を正確かつ迅速に把握することが難しく、適切な人員配置や業務改善といった対策を効果的に展開できずにいました。
「そこで、新しい工場と事業所の開設を機会に就業管理システムを導入し、まずは、勤務実態を正確に把握できる環境を整えたのです」
正しい状況把握がなければ、いかなる課題も解決しない。それは、V社 総務部のポリシーのひとつでもあるそうです。
アラート機能で長時間労働を早期に解消しコンプライアンスや内部統制を強化
V社が導入した就業管理システムは、ICカードによるタイムレコーダーと連動し、打刻データを自動集計できるものでした。
「これで、全社の勤務状況を正確にリアルタイムで把握できるようになりました。ICカードを利用しているので、代理による不正打刻も防止できます」
特に重宝しているのがアラート機能だと、仲野氏は評価します。
「例えば、法定労働時間を超えて45時間に達した場合、あるいは、36協定による残業限度時間の70%に達した場合など、さまざまな条件を設定して、従業員本人や上長に警告メールを配信できます」
アラート機能によって、労働時間をめぐる課題は目覚ましく改善しました。
「長時間労働の発生をいち早く、あるいは未然に発見して、リスクが深刻化する前に、必要な改善策を展開できるようになったのです」
警告メールが届くので、労働時間に関する現場の意識は明確に向上し、長時間労働へのメンタルヘルスチェックも適切に行われるようになるなど、コンプライアンスや内部統制の強化にも、大きく貢献していると、仲野氏は語ってくださいました。
「これで、全社の勤務状況を正確にリアルタイムで把握できるようになりました。ICカードを利用しているので、代理による不正打刻も防止できます」
特に重宝しているのがアラート機能だと、仲野氏は評価します。
「例えば、法定労働時間を超えて45時間に達した場合、あるいは、36協定による残業限度時間の70%に達した場合など、さまざまな条件を設定して、従業員本人や上長に警告メールを配信できます」
アラート機能によって、労働時間をめぐる課題は目覚ましく改善しました。
「長時間労働の発生をいち早く、あるいは未然に発見して、リスクが深刻化する前に、必要な改善策を展開できるようになったのです」
警告メールが届くので、労働時間に関する現場の意識は明確に向上し、長時間労働へのメンタルヘルスチェックも適切に行われるようになるなど、コンプライアンスや内部統制の強化にも、大きく貢献していると、仲野氏は語ってくださいました。
労務コスト最適化や生産性向上に正確に集計された就業データを活用
労務コストの最適化や生産性向上の取り組みでも、就業管理システムは役立っていると、仲野氏は述べています。
「時間、人数、金額などの項目を設定して、予定と実績を比較しながら簡単に勤務スケジュールを作成できるので、適正な人員配置による労務コストの低減を図ることが可能になりました」
日々の就業時間だけではなく、従業員情報、契約単価、作業部門、作業場所など、用途に応じて多彩な項目で分析データを出力できることも大きなメリットです。
「例えば、売上、利益、生産量などを就業時間と対比させ、生産拠点や作業工程ごとに生産性を分析するようなことも可能になります」
「正確に集計された就業データをベースとして、さまざまな切り口から分析を行うことによって、いままで明確にできなかった労務管理上の課題を明らかにし、生産性を向上させるための改善策を考えることが可能になるのです」
しかも、そのような施策を、リアルタイムに近い形で展開できるようになったことが重要ですと、仲野氏は強調します。
「時間、人数、金額などの項目を設定して、予定と実績を比較しながら簡単に勤務スケジュールを作成できるので、適正な人員配置による労務コストの低減を図ることが可能になりました」
日々の就業時間だけではなく、従業員情報、契約単価、作業部門、作業場所など、用途に応じて多彩な項目で分析データを出力できることも大きなメリットです。
「例えば、売上、利益、生産量などを就業時間と対比させ、生産拠点や作業工程ごとに生産性を分析するようなことも可能になります」
「正確に集計された就業データをベースとして、さまざまな切り口から分析を行うことによって、いままで明確にできなかった労務管理上の課題を明らかにし、生産性を向上させるための改善策を考えることが可能になるのです」
しかも、そのような施策を、リアルタイムに近い形で展開できるようになったことが重要ですと、仲野氏は強調します。
打刻データの自動集計と給与システムとの連携で業務効率化
労務管理部門の実務面についても、就業管理システムによって、日々の業務は飛躍的に効率化されたとのこと。
「毎月末にタイムカードを収集して、手作業で集計していく作業は、非常に手間のかかるものでしたから、そのプロセスが自動化されたメリットは大きいですね。
給与計算ではあってはならない計算ミスもなくなりました」
フレックス制や変形労働時間制など、複雑な就労形態に柔軟に対応できることも、業務効率化に貢献しているという。
「給与システムとの連携も、非常にスムーズです。私たちは、締日に集計内容をチェックするだけで、手入力する必要はまったくありません」
今後は、就業管理システムをどこまで使いこなせるかが課題だとのこと。
「システム化の魅力は、業務効率化はもちろんですが、データの活用や他システムとの連携で、できることが増えていくことにあると思います」
「現在は、現場レベルでの活用が主体ですが、さまざまな項目で出力できる分析用データを経営系システムに取り込んで、経営指標分析に活用できるような体制を作りたいと考えています」
と、仲野氏は今後の目標を語ってくださいました。
「毎月末にタイムカードを収集して、手作業で集計していく作業は、非常に手間のかかるものでしたから、そのプロセスが自動化されたメリットは大きいですね。
給与計算ではあってはならない計算ミスもなくなりました」
フレックス制や変形労働時間制など、複雑な就労形態に柔軟に対応できることも、業務効率化に貢献しているという。
「給与システムとの連携も、非常にスムーズです。私たちは、締日に集計内容をチェックするだけで、手入力する必要はまったくありません」
今後は、就業管理システムをどこまで使いこなせるかが課題だとのこと。
「システム化の魅力は、業務効率化はもちろんですが、データの活用や他システムとの連携で、できることが増えていくことにあると思います」
「現在は、現場レベルでの活用が主体ですが、さまざまな項目で出力できる分析用データを経営系システムに取り込んで、経営指標分析に活用できるような体制を作りたいと考えています」
と、仲野氏は今後の目標を語ってくださいました。