事業活動において、各会計期間の経営成績を明らかにすることを決算といいます。決算は様々なタイミングで行われており、各月ならば「月次決算」、3カ月ごとは「四半期決算」、事業年度の6カ月時点では「中間決算」など、時期によって異なる呼称があります。そして、その事業年度における業績のまとめとなる最も重要な決算が「本決算」です。この本決算を行う月を「決算月」といいます。
本決算では、次年度の計画立案などに役立てるため、企業の資産・負債・純資産を明らかにする「貸借対照表」、収益・費用・利益をまとめる「損益計算書」、収入・支出のお金の流れを明示する「キャッシュフロー計算書」などの決算書(財務諸表)を作成します。
経理/財務決算 2020/08/27
なぜ3月?企業の決算月に3月が多い理由とは
事業年度は、1年以内であれば何月から何月までの期間にするか、企業ごとに決めることができます。その事業年度で最後の月が、本決算が行われる「決算月」です。
日本の一般的な企業は事業年度を4月から翌年3月とし、決算月を3月にしていることが多いですが、その理由はご存じでしょうか。今回は決算月の豆知識を紹介します。
決算月とは
3月決算が多い理由
国税庁が公表している「統計年報(2017年版)」によると、2017年度に法人税を申告した約271万社のうち約3割にあたる51万社の決算月が、3月でした。次点の9月決算が29万社であることから、1.5倍以上の差をつけていることがわかります。では、なぜ日本では3月決算の企業が多いのでしょうか。それには「国・自治体の会計年度」、「税制改正のタイミング」、「教育制度」の3点が関係してきます。
■国・自治体の会計年度
国や市役所などの地方自治体・公共団体の会計年度は、4月から翌年3月に統一されています。これは明治時代から続いているルールであり、当時の納税の時期などが影響していたようですが、確実なことはわかっていません。
公的機関の年度が4月から翌年3月となると、取引をしている企業は事業年度を合わせた方がスムーズに活動できます。その連鎖が続き、公共事業と直接関わりがなくても、取引先に合わせて3月決算にしている企業が多いと考えられています。
■税制改正のタイミング
毎年4月1日、財務省はその年度の税制改正を発表しています。このとき発表された新しい税制は4月1日から適用されることが多いので、それに対応するために3月決算とする企業もあるようです。
■教育制度
日本の多くの高等学校や大学は、3月を卒業月としています。新卒採用などを考慮すると、企業側も学校に合わせ、3月を事業年度の最終月、つまり決算月とすることが多いと考えられます。
※出典:国税庁「第143回国税庁統計報」
■国・自治体の会計年度
国や市役所などの地方自治体・公共団体の会計年度は、4月から翌年3月に統一されています。これは明治時代から続いているルールであり、当時の納税の時期などが影響していたようですが、確実なことはわかっていません。
公的機関の年度が4月から翌年3月となると、取引をしている企業は事業年度を合わせた方がスムーズに活動できます。その連鎖が続き、公共事業と直接関わりがなくても、取引先に合わせて3月決算にしている企業が多いと考えられています。
■税制改正のタイミング
毎年4月1日、財務省はその年度の税制改正を発表しています。このとき発表された新しい税制は4月1日から適用されることが多いので、それに対応するために3月決算とする企業もあるようです。
■教育制度
日本の多くの高等学校や大学は、3月を卒業月としています。新卒採用などを考慮すると、企業側も学校に合わせ、3月を事業年度の最終月、つまり決算月とすることが多いと考えられます。
※出典:国税庁「第143回国税庁統計報」
3月決算のデメリット
日本においては多数派である3月決算ですが、実はデメリットも存在しています。その1つが「税理士の繁忙期と重なってしまうこと」です。4~5月末になると、税理士は一斉に3月決算企業の決算書作成に取り掛からなければなりません。そのため、本来ならば企業側も決算に関する相談をしたい時期にもかかわらず、この時期の依頼は他のタイミングと比較して料金が割高になるほか、時間をかけた丁寧な受け答えなどは期待できない傾向にあります。
そのため、事業年度をずらし、決算月を3月以外に設定する企業もあります。中でも多いのは9月、12月であり、12月は1年の暦と合わせる目的が多いほか、個人事業主から法人化した企業が個人事業主の事業年度である1~12月をそのまま採用するケースもあるようです。
そのため、事業年度をずらし、決算月を3月以外に設定する企業もあります。中でも多いのは9月、12月であり、12月は1年の暦と合わせる目的が多いほか、個人事業主から法人化した企業が個人事業主の事業年度である1~12月をそのまま採用するケースもあるようです。
決算月の変更方法
事業年度の期間は、最初に設定したものから変更することも可能です。先述した税理士の繁忙期の重なりが気になる場合や、人事異動などの企業行事とのタイミングが悪い場合、変更を検討してみるのも一つの手段です。
■決算月の変更手順
オーナー会社や零細企業の場合、決算月の変更はそこまで多くの手順が必要なわけではありません。ただし、決算を変更した場合、取引先や銀行に変更の連絡を行わなければなりません。建設業などの許認可事業を行っている場合は省庁などにも届け出る必要があります。
■決算月の変更手順
- 株主総会の特別決議後、定款を変更する
※株主の3分の2以上の賛成が必要 - 株主総会の議事録を作成する
- 税務署へ異動届出書を提出する
オーナー会社や零細企業の場合、決算月の変更はそこまで多くの手順が必要なわけではありません。ただし、決算を変更した場合、取引先や銀行に変更の連絡を行わなければなりません。建設業などの許認可事業を行っている場合は省庁などにも届け出る必要があります。
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