有価証券を売却して得た利益のことを「有価証券売却益」といいます。代表的な有価証券として株券を思い浮かべる人も多いと思いますが、そのほかにも有価証券には下記のような種類があります。
■有価証券の代表例
仕訳の際は、売却した株式などの価額が取得時よりも高い場合、原則として収益項目に計上します。
■有価証券を売却したときの仕訳
条件:当期に20万円で購入した株式を現金22万円で売却した。
借方 |
貸方 |
現金 220,000 |
有価証券 200,000 |
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有価証券売却益 20,000 |
有価証券の取得時と売買時の金額の差(売却損益)が、プラスの場合は「有価証券売却益」、マイナスだと「有価証券売却損」を使って処理します。今回の例題では2万円の収益が発生しているので、「有価証券売却益」として仕訳しました。有価証券売却損は上記の仕訳とは逆で、借方に記入します。
仕入割引とは、仕入れた商品における本来の価格から、諸事情により割引があった際の処理に使われる勘定科目です。例えば、買掛金を支払い期日よりも前に支払った場合に、期日までの金利に相当する額が減免されることがあります。こういった場合が仕入割引に当たります。単純な商品の値引処理である「仕入値引」や「仕入割戻」とは性質が異なるので注意してください。
■仕入値引の仕訳例
条件:仕入先への買掛金10万円を期日前に支払い、100円の割引を受けた。支払いは普通預金で行った。
借方 |
貸方 |
買掛金 100,000 |
普通預金 99,900 |
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仕入割引 100 |
仕入割引は買掛金を早期に支払ったことで発生した「収益」と見なされるので、収益勘定として営業外収益で計上します。
役務とは、映画館や物件の賃貸、冠婚葬祭業など、目に見えないサービスを提供することに当たります。役務収益について正しく理解するためには、サービス業に関連する勘定科目を把握することが重要です。
役務に関わる勘定科目
■仕掛品
製造業やサービス業において、商品やサービスを提供する前の「仕入れ」を表す勘定科目です。販売目的の製品のうち、製造過程の状態であるため販売できない棚卸資産や、サービスを提供する前に発生した会場費や装飾、人件費などの仕訳に使用します。
■役務収益
サービス業における「売上高」を表す勘定科目です。役務を提供したことで得た営業収益を管理する際に使用します。
■役務原価
サービス業に関わる物販における「売上原価」を表す勘定科目です。役務収益のうち、サービス原価にあたり、仕掛品から振り替えて算出します。
役務収益を使った仕訳の具体例
条件1:学習塾の創業を予定している。来月開講予定の教材を現金10万円で作成し、仕掛品勘定に計上した。
借方 |
貸方 |
仕掛品 100,000 |
現金 100,000 |
条件2:受講料15万円を現金で受け取った。
借方 |
貸方 |
現金 150,000 |
前受金 150,000 |
条件3:事業がスタートし、無事決算日を迎えた。授業は約8割消化し、教材の進捗状況も同じくらい進んでいる。
借方 |
貸方 |
前受金 120,000 |
役務収益 120,000 |
役務原価 80,000 |
仕掛品 80,000 |
最終的な収益は12万円ということが役務収益から算出できました。このように、一般的なサービス業は役務収益を使って処理しますが、建設業界では完成工事高勘定を使うので注意してください。
最後に、今回紹介したもの以外に日商簿記検定試験2級でよく出題される収益の勘定科目をリストアップしたので、チェックしてみてください。
- 未着品売上
- 積送品売上
- 割賦売上
- 試用品売上
- 保証債務取崩益
- 修繕引当金戻入
- 社債償還益
- 返品調整引当金戻入
- 固定資産受贈益
- 工事負担金受贈益