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経理/財務決算 2020/01/14

経理の花形!ゼロから学ぶ損益計算書の作り方

3月決算の企業では、既に決算書作成の準備を始めているところもあるのではないでしょうか。決算書作成は経理業務の花形である一方、様々な帳簿をまとめる必要があるので、かなりの重労働にもなります。
今回は、決算書の中でも「損益計算書」に焦点を当て、特徴と作成方法をまとめました。今期の決算書作成にぜひ役立ててください。

損益計算書とは

損益計算書は、該当事業年度の利益額から「どのくらい稼いだか」もしくは「どのくらい損をしたのか」といった経営成績を算出したものであり、「費用」、「収益」、「利益」の3項目で構成されています。作成の際は、それぞれを構成する勘定科目も把握しておく必要がありますが、特にそれぞれのフェーズにおける損益を示す利益については、「売上総利益」、「営業利益」、「経常利益」、「税引前当期純利益」、「当期純利益」という5種類の勘定科目の違いを明確にしておきましょう。

■損益計算書の構成
項目 勘定科目
費用 売上原価
販売費及び一般管理費
営業外費用
特別損失
法人税、住民税、事業税など
収益 売上高
営業外収益
特別利益
利益 売上総利益
営業利益
経常利益
税引前当期純利益
当期純利益

※関連記事:新米経理のための基本講座「決算書」第2弾 損益計算書(P/L)編

作成前の準備

損益計算書の作成には、事前に「決算整理仕訳」、「総勘定元帳への転記」、「試算表での確認」という作業が必要となります。最終的にこの資料をもとに損益計算書を作ります。

■決算整理仕訳
最初に行うのが、事業年度内に行われた仕訳の確認や調整をする決算整理仕訳です。ここでは、入金や支払いが来期である取引や、固定資産の減価償却費の計上などを確認し、帳簿の修正を行います。
作業の際はすぐに各勘定科目を仕訳するのではなく、それぞれが発生したタイミングや新しく作成した勘定科目の有無を確認するなど、全体像を把握するとスムーズです。

決算整理仕訳の際に確認する項目の例
  • 売上
    現金の出入りに関係なく、取引発生の時点で収益や費用を計上する「発生主義」という会計基準に則り、正しく売上が計上されているかを確認します。
  • 当期費用
    保険料の支払いなどで、未処理になっているものや、翌期の費用を当期で処理したものを確認します。
  • 有価物・棚卸資産
    切手や印紙などの有価物のほか、在庫などをすべて確認します。
  • 税区分
    消費税を中心に、税区分が正しく適用されているかを確認します。特に2019年からは消費税率が8%と10%に分けられたので、注意しなければなりません。また、海外出張や海外企業との取引がある場合は、他国の税区分も確認する必要があります。
  • 税金
    税金の処理漏れがないか確認します。
  • 固定資産を確認
    固定資産台帳をもとに、減価償却額が適切かを確認します。
  • 有価証券の期末時価を確認
    決算時に評価替えする有価証券と時価を確認し、評価損益を処理します。
  • 未収入金を確認
    立替金など、「営業活動以外」で発生し、当期で回収を予定した未収金を確認します。

決算整理仕訳は帳簿だけで完結する作業ではありません。例えば「3」の棚卸資産を算出するためには倉庫内の在庫などを確認する必要があります。

※関連記事:経理担当の責任重大!決算整理仕訳の基礎知識

■転記
次に、仕訳した各勘定科目を総勘定元帳に転記していきます。総勘定元帳は複式簿記における主要簿であり、すべての取引を日付順に記録するものです。
総勘定元帳への転記は、取引を写していくだけなのでそこまで難しい作業ではありません。ただし、転記の際は、数字を間違える、借方と貸方が逆になる、転記漏れが発生するなど、思いがけないケアレスミスが起こりがちです。さらに総勘定元帳は、損益計算書だけでなく、貸借対照表など他の決算書類の参考にもなる帳簿です。ここでミスがあると決算関連の業務全体に響きますので、簡単な作業だからと気を抜かず、慎重に行ってください。

■試算表の作成
続いて、「試算表」を作成します。先述の通り、総勘定元帳への転記は、膨大な量の勘定科目、金額、日付を扱うため、誤記入や記入漏れが発生することがあります。試算表はこのようなミスの有無を確認するために作成するものです。試算表には「合計試算表」、「残高試算表」、「合計残高試算表」という3つの種類があります。それぞれの構成は以下の通りです。

合計試算表
各勘定科目の借方・貸方のそれぞれの合計額が合っているかを確認する試算表です。総勘定元帳から数字を転記するだけなので、比較的簡単に作成できますが、これだけだと勘定科目ごとの残高がわからないというデメリットがあります。

残高試算表
各勘定科目の残高を集計し、確認する試算表です。月次決算時の試算表として採用されることが多くあります。

合計残高試算表
合計と残高、両方を合わせた試算表です。合計と残高を網羅しているため、内容が充実している一方で、作成に時間がかかることが難点です。本決算にて作成する会社が多くあります。

損益計算書の作成

試算表の借方と貸方の金額が一致した段階で、損益計算書の作成に入ります。
損益計算書には、これまで作成した資料をもとに費用と収益の項目に適切な勘定科目と数字を記入します。この際、「売上⇒売上高」、「仕入れ⇒売上原価」のように表記を変えなければならない勘定科目があるので注意してください。

■損益計算書の例
科目 金額
売上高 10,000
売上原価 8,500
売上総利益 1,500
販売費及び一般管理費 1,000
営業利益 500
営業外収益 150
営業外費用 50
経常利益 600
特別利益 20
特別損失 170
税引前当期純利益 450
法人税、住民税、事業税など 100
当期純利益 350
**********

損益計算書の作成の流れについて解説しました。損益計算書ひとつの作成だけでもいくつかの段階を踏むことがおわかりいただいたかと思います。しかし財務諸表は、損益計算書のほかにも貸借対照表やキャッシュフロー計算書などまだまだたくさんの資料を作成する必要があります。スムーズに対応するために、それぞれの流れを理解してください。

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