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経営事業計画/経営計画 2017/08/29

小山社長直伝!増収増益に不可欠な経理の力とは

株式会社武蔵野の小山昇社長。
自ら経営する会社を増収増益の優良企業に育て、その経営ノウハウを紹介する「経営サポート事業」を展開し、数々の中小企業を再生してきた辣腕社長です。
現在も630社以上の会員企業を指導しているほか「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回以上の講演・セミナーを開催しています。
そんな小山社長が企業を再生させる上で最も大切にしているのが会社の数字。そして、それを可視化する経理の力です。
今回は、小山社長に直撃インタビューし、増収増益を実現する経理の力について伺ってきました。

経理に必要な資質とは?

経理担当に最も必要な資質は、何だとお考えですか。
小山社長(以下敬称略) 一番大切なことは正確なこと。ミスがないことですね。
それから、野心のある人はダメですね。なぜかと言うと、野心のある人は不正をするからです(笑)。真面目で気の弱い人がいいですね、経理は。
それから、経理を長く担当させてはいけません。武蔵野では、2年で経理担当者を替えています。多くの企業では、経理は特別な業務だと勘違いしていますが、決して特別なものではありません。むしろ、誰もが学ばなければならないスキルです。
武蔵野の経理は、100である必要はなく85で十分、残りは専門家にアウトソーシングしています。100を求めるから専門的になり過ぎて、経理を替えられなくなるのです。

経理業務を高度化して特定社員を専任にするより、ある程度汎用化させて多くの社員に経験させる方が良いということですね。
小山 そうです。誰にもできない業務を特定の社員に専任させるから不正が起こる。誰もができるように汎用化させて、経理業務を多くの社員に経験させることが大切です。
経理を経験して経営サポート事業や営業など他部署に異動すると、間違いなく数字に強くなっていますから、その後の業績が良くなります。
多くの会社は、経理がまとめた各部門の数字を一覧表にまとめて各担当者に渡しています。でも、人間は人がやったことに関心をもたないし、数字もわからないからまず見ません。
武蔵野は、経理が出した数字を各自が調べて前年同期と比較してなぜ変わったか分析します。それで、経理の仕訳の間違いを指摘したりする。経理を知っているからできるのです。経理担当も鍛えられます。
わが社は、数字が読めないと給料も上がらないシステムになっているのです。

そこまで、数字の力を徹底させる理由は何でしょうか。

小山 数字は最も明確な言葉であり、メッセージです。
会社の現状を把握し、目標を設定する際の指針となるのが数字。つまり、数字が理解できないと何も始まらないのです。
私は、大学を卒業して最初に入った会社が経理事務所でした。そこで、経理の基礎を学び、自分で経営を始めてから経理も自分でやり、現場で力を付けてきました。その過程でいかに数字が実践で役立つか、数字がわからないと経営が立ちゆかないか、思い知らされたのです。

IT化で社員の能力を引き出す

ITの導入も早くから着手されていました。
小山 経理のコンピューター化は20年前ですから、かなり早かったです。
売掛金の自動消し込みをシステム化したのは中小企業で一番早かったのではないでしょうか。
動機はバックヤードを自動化することで、お客様と顔を合わせて接する時間を増やしたかったから。
ルーティン業務をテクノロジーにまかせることで、お客様サービスなど本来業務に注力できる。これは非常に大きなアドバンテージになると考えました。

IT化をする上で最も大切なポイントは何ですか。

小山 誰でも簡単に使えるシンプルなシステムを構築することです。
そのために、経理を熟知している私が自ら設計し、業者に事細かく指示を出します。
多くの会社はなるべく低コストでつくろうとします。私はお金をかけてでもシンプルにする。人間は面倒なことはやらないし、誰もが簡単に使えるシステムじゃないと業務効率は向上しません。
武蔵野はパートやアルバイトも全員にiPadを支給して社員と同様のシステムを活用してもらっています。誰もが使えるシステムだからこそ、パートやアルバイトも即戦力となるのです。これがIT化の最大のメリットです。

なるほど。IT化は社員のポテンシャルを引き出すのですね。
小山 そうです。それからもう一つ大切なことは、速くつくることです。
安くて1年かかるなら、高くても半年でできる方が断然いい。半年間で仕事が効率化できれば、ランニングコストが安くなります。
勘定科目の取り方にも工夫があります。
普通、ソフトウェアやシステムをつくると有形資産になります。でも、うちは業者に武蔵野まで来てつくってもらう。そうすると、人件費になるのです。

そうして出来上がった経理システムは、どのようなものですか。
小山 武蔵野オリジナルの経理システムを構築し、スピード決済を実現しています。
社員がモバイルデバイスからアクセスして経費を計上すると自動仕訳されます。部門コードが紐付けされていて、誰がアクセスしたかもわかるようになっていて、社員が稟議をあげると50%がその日のうちに承認され、即座に社員の個人口座にお金が入る仕組みになっています。
これで、経理の残業が毎月40%減りました。

IT化と経理の力は、武蔵野の増収増益の原動力ですね。本日は、貴重なお話ありがとうございました。
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「なるべく多くの社員に経理業務を経験させる」そんな小山社長の言葉に、経営には経理の力が不可欠であるという哲学が見て取れます。
社長以下、全社員が経理スキルを身に付けるべきである。しかし、そんな思いとは裏腹に、小山社長に助けを求めに来るほぼすべての社長は経理スキルがないと言います。
小山社長のもとで徹底的に会社の数字を叩き込まれ経営計画書を学び、やがてほとんどの会社がV字回復を遂げていく。その成果こそ、経理の力の実証に他なりません。
また、ITツールやシステムは誰もが使えるシンプルなものだからこそ、パートやアルバイトも即戦力となるとの金言は、これからIT化を目論む多くの会社にとって参考になることでしょう。

PROFILE

小山昇(こやまのぼる)

株式会社武蔵野小山昇社長

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業後、経理事務所を経て日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育てる。2001年から同社の経営の仕組みを紹介する「経営サポート事業」を展開。1999年「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』(以上ダイヤモンド社)『99%の社長が知らない銀行とお金の話』『無担保で16億円借りる小山昇の“実践”銀行交渉術』(以上、あさ出版)など、ベスト&ロングセラー多数。

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