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経理/財務管理会計 2017/02/28

予算管理で経営判断に貢献!

全社的な業績目標を達成していくためには、編成された予算が適切に消化され、事業が採算ベースに乗っているか、部門ごとにきめ細かくチェックして、状況に応じた対応策を速やかに実施しなければなりません。
しかし実際の予算管理はExcelで部門ごとに行われていることが多いため、集計も分析も非常に効率が悪く、予算と実績がどのくらい乖離しているのか、実態を速やかに把握するのは困難です。
これは事業が拡大すればするほど業績達成の大きな障害となるもので、複雑化・スピード化していく現代のビジネス環境においては、状況把握や経営判断の精度を下げる大きなリスクとなりかねません。
今回は、データベースによって全社一元管理できる予算管理システムを導入し、煩雑な予算編成業務を効率化・高速化させると同時に、予算管理の透明性向上や予算統制の強化を実現し、さらには迅速な経営判断に貢献できる予算管理情報の提供を可能にしたケースをご紹介します。

事業拡大とともに不透明さが増す予実管理と採算管理

昭和30年代に開業して以来、L社は堅実に業績を伸ばしてきた生産機器の中堅メーカーです。食品、飲料、化粧品、化学製品などを得意分野として、 いち早くFAシステムの製品化にも取り組み、8割以上の製品を自社で開発、製造、販売し、サポートも充実しているため、顧客企業から厚い信頼を得ていることが大きな強みとなっています。

「弊社の場合、機種シリーズ別に開発~製造~販売~サポートを行う部門があり、予算運用は部門ごとに行われ、各部門からの報告を元に予算編成が行われています」 と語ってくださったのは、経営企画部の森澤氏です。

「しかし、経営部門からは予算消化の実態を把握しにくいという問題がありました。
予実管理や採算管理が不透明では、予算編成の精度も失われてしまいます。
お客様の海外展開とともに弊社の事業もグローバルに拡大していく中で、さすがにこの状況はまずいな、という危機感を感じていました」

事業が拡大すればするほど、予実管理の不透明さも増してしまい、把握できない予算の無駄や採算リスクもまた増えていくというわけです。

「いかに予実管理の透明性を確保し、予算編成の精度を高めていくか、経理部門やIT部門も交えて検討を重ねはじめたときに、いま使っている会計システムと連携できる予算管理システムがあると、経理部長から指摘がありました」

経営戦略や業務内容の変化に柔軟に対応できる予算管理システム

「さまざまな予算管理システムを検討しましたが、パッケージ製品やフルスクラッチのソリューションが多く、経営戦略、業務内容、ビジネストレンドの変化に柔軟に対応できそうにありません。
対応しようとすれば、その度に非常に大きなコストが発生してしまうのです」

その点、経理部長が勧めた予算管理システムは、高い柔軟性を備えていました。

「予算編成画面を担当者自身がExcel感覚で設定・変更できるため、業務や運用の変化にも低コストかつスピーディに対応することが可能でした」

リーズナブルな価格ながら、コンサルティングが充実していることも大きなポイントだったとのこと。

「予算編成~予実管理~予算執行の業務プロセスには、企業ごとにさまざまな習慣や事情があるものです。
今回導入したシステムは、予算管理業務の経験豊富なスペシャリストが、私たちの業務をしっかりと把握し、現場で支障なく使いこなせるレベルにまでチューニングしてくれました」

「全部門の予算は、ひとつのデータベースで管理できるようになりました。
それまで予算編成はExcelを使って行われていたため、手作業の多い、非常に煩雑で時間のかかる作業となっていましたが、今回のシステムを導入することにより、作業時間は約60%も削減されています」

しかし、経営部門にとっての導入メリットは別のところにあったのだそうです。

予実管理の透明性向上で予算統制の強化を実現

「各部門の予算消化状況の把握には、かなりの時間がかかっていました」
と、森澤部長は導入前の状況を振り返ります。

「予実差や予算消化率だけでなく、予算消化の内訳まで詳しく知ろうとすれば、結局は、各部門からレポートを提出してもらう必要があったのです」

これは各部門の予算担当者にとっても、大きな負担だったそうです。

「予算管理システムの導入でデータベースを一元化し、会計システムとも連携させることによって、作業の大部分は自動化され、予算消化実績のリアルタイムで詳細な把握が可能になりました」

これまで作成に数日かかっていたレポートも、1時間ほどで作成可能とのこと。

「会計システムの支払発生源入力と連動しているため、承認プロセスの完了していない支払データを含む速報値を算出することができ、 予実管理の精度とスピードは飛躍的にアップしました」

「不採算リスクも早期に把握することができますから、修正予算や追加予算への対応も容易になり、予算統制の強化に役立っています」

透明性の向上や予算統制の強化だけでなく、さらには、経営部門の意思決定にも大きな貢献をしていると森澤部長は指摘します。

予算管理システムによる分析で将来への見通しが良いビジネスが可能に

「予算消化実績のリアルタイムな把握だけではなく、P/L、B/S、C/Fなど、さまざまな切り口から予算編成や予実分析を行うことが可能になりました。
また、『実績+予算』『実績+見込』といった多彩なシミュレーションも行えるため、採算予測の精度も格段に向上しています」
と、森澤部長は評価します。

「分析やシミュレーションは部門ごとに行えるため、全社的な整合性を保ちながら、各部門の予算編成をきめ細かく最適化できるようになりました」

経営部門の意思決定に役立つ情報をタイムリーに提供できることも、この予算管理システムの魅力とのことです。

「経営戦略や事業計画を踏まえながら、どのリソースをどの部門に投資すべきなのか、経営部門が的確かつ迅速な意思決定を行うための情報提供が可能になり、予算管理・採算管理のPDCAがスムーズに回るようになりました」

事業規模の拡大が予実管理・採算管理の不透明性を招く一方で、ビジネスのスピードは加速し続け、経営判断には一層の的確さと迅速さが求められます。

「そのようなビジネス環境にあっても、予算管理システムを導入することにより、将来への見通しが良いビジネスが可能になったと実感しています」
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