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資金調達 2017/05/16

銀行融資の企業格付けを決めるポイントとは

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数ある資金調達法の中で、最も身近な存在と言えるのが銀行融資。その成否を決める大きな要素となっているのが「企業の格付け」です。
銀行融資の審査において、支店長や本部に回る稟議書には、この格付けが記載されていることから、融資審査で大きな判断材料になることは間違いないでしょう。
経理担当として、経営層に銀行融資のアドバイスができるのは、自身のキャリア形成に大きなアドバンテージとなるはずです。そこで、今回は企業格付けを決定付けるポイントをご紹介します。

銀行融資の企業格付け「信用格付」とは

銀行融資における企業格付けには「信用格付」というものがあります。その格付を行う前提として債務区分というものがあります。これは、まず下記の6段階の債務者区分を基準に格付けがなされます。債務者区分は、債務者の財政状況、資金繰り、収益力等により返済能力を判断して6段階に分類されます。

【債務者区分】
①正常先
財務内容に問題なく、経営状況も良好と判断された企業

②要注意先
経営状況が低調、財務状況が不健全で今後注意を要する企業

③要管理先
3ヶ月以上の延滞や貸出条件緩和債権として管理される企業

④破綻懸念先
経営難の状況にあり経営破綻に至る可能性が高いとされる企業

⑤実質破綻先
実質的な債務超過に陥り事業好転、再建の見通しがない企業

⑥破綻先
法的・形式的な経営破綻の事実が発生している企業

この債務者区分を12の信用格付に分類したのが下記の表です。
格付け名称や何段階に分類するかは銀行によって多少変わってくるようですが、概ね下記にように上から6格付けまでが正常先とされ、9格付けまでが融資可能な信用格付けとなります。それ以下では、融資の可能性はほぼないと言われています。
債務者区分 格付表記 債務者格付の定義
正常先 A1〜A3 債務履行の確実性が非常に高く、与信管理上の安全性が非常に優れた水準にある先
B1〜B2 債務履行の確実性に当面問題なく、与信管理上の安全性が十分な先
C1〜C3 債務履行の確実性と与信管理上の安全性に当面問題がない先
D1〜D3 債務履行の確実性に現状問題ないが、将来の環境変化に対する抵抗力が低い先
要注意先 E1・E2 金利減免・棚上げを行っている等貸出条件に問題のある先、元金返済もしくは利息支払が事実上延滞している等履行状況に問題のある先の他、業績が低調ないしは不安定な先または財務内容に問題がある先等、今後の管理に注意を要する債務者
破綻懸念先 F1 現在、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(金融機関等の支援継続中の債務者を含む)
実質破綻先 G1 法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められる等実質的に経営破綻に陥っている債務者
破綻先 H1 法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者
※みずほフィナンシャルグループがインターネット上に公開する債務者格付と自己査定の債務者区分、金融再生法開示債権、リスク管理債権の債権区分の関係図より抜粋

信用格付が決められる要素とは

信用格付が決められる要素は、定性評価が20%、定量評価が80%と言われています。
定性評価とは数値に表れない要素で、経営者の経歴や企業のビジョン、商品の優位性などを評価したもの。融資担当者の印象なども加味されます。

定量評価は、決算書の数値をもとにした評価です。今後、信用格付はAIが導入され、融資担当者による定性評価の領域はさらに縮小していくことが予想されます。
ここでは、定量評価にフォーカスして信用格付の決め手となる要素を紹介します。

○会社の「安全性」
会社の安全性を判断する主な決算数値は、当座比率、流動比率、自己資本比率です。それぞれみていきましょう。

当座比率=当座資産/流動負債
当座資産・・・現金、預金、受取手形、売掛金、有価証券など、すぐに現金化できる資産
流動負債・・・1年以内に支払いが必要になる借入金
当座比率は、1年以内に返済が必要な借入金に対してすぐに現金化できる資産をどれだけもっているかを示す指標。当座比率は高いほど、銀行の安全性評価も高くなります。一般的な目安は100%を超えていることが望ましいとされます。

流動比率=流動資産/流動負債
流動資産・・・1年以内に現金化できる資産のこと
流動負債・・・1年以内に支払いが必要になる借入金
流動比率は、1年以内に返済が必要な借入金に対して1年以内に現金化できる資産をどれだけもっているかを示す指標。当座比率同様に高いほど、銀行の安全性評価は高くなり、一般的な目安は200%を超えていることが望ましいとされます。

自己資本比率=純資産/総資産
総資産・・・流動資産、固定資産、繰延資産など、会社のすべての資産
純資産・・・総資産から負債を差し引いた額
自己資本比率は、純資産の割合を示します。倒産しにくい安全性をみる指標として銀行では特に重視されます。高いほど安全性評価も高くなり、一般的に40%を超えていることが望ましいとされます。

○会社の「収益性」
会社の収益性を判断する主な決算数値は、売上高経常利益率、総資産経常利益率(ROA)です。それぞれみていきましょう。

売上高経常利益率=経常利益/売上高
経常利益・・・売上高から本業にかかったコストを差し引いた営業利益に、本業以外の損益を加えた利益
経常利益は銀行が特に重視する数値。売上高経常利益率は売上高に占める経常利益の割合で、4.0%以上で優良、3.0%以上で良好、0.0%以上で普通、0.0%以下は懸念材料とみなされます。

総資産経常利益率(ROA)=経常利益/総資産
経常利益・・・売上高から本業にかかったコストを差し引いた営業利益に、本業以外の損益を加えた利益
総資産・・・・流動資産、固定資産、繰延資産など、会社のすべての資産
総資産経常利益率(ROA)は、総資産に対してどれだけの経常利益を生み出しているかをみる指標です。15.0%以上で優良、9.0%以上で良好、6.0%以上で普通、それ以下は懸念材料とみなされます。全業種の平均値は3.0%です。

○会社の「返済能力」
会社の収益性を判断する主な決算数値は、債務償還年数、インスタント・カバレッジ・レシオです。それぞれみていきましょう。

債務償還年数=有利子負債/(営業利益+減価償却費)
有利子負債・・・利息を付けて返済しなければならない借入金・社債の総計
債務償還年数は、利息を支払う必要のある借入金・社債の総計をすべての営業利益で返済に回したら何年で完済できるかを示す指標です。3年以内で優良、5年以内で良好、10年以内で普通、10年を超えると注意、20年を超えると危険とみなされます。

インスタント・カバレッジ・レシオ=営業利益(+受取利息配当金)/支払利息(+手形売却損)
インスタント・カバレッジ・レシオは、支払利息の何倍の利益が出せているかを示す指標。1倍以下だと営業利益で支払利息すら賄えない状況を意味します。20倍以上で優良、10倍以上で良好、2倍以上で普通、2倍以下で注意、1倍以下で危険とみなされます。
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銀行融資の成否を左右する信用格付とその決定要素についてご紹介しました。
言うまでもなく、資金調達は事業の行方を左右する重要課題です。経理の立場で経営層に適切なアドバイスを行うことで信頼を築き、社長の右腕としての成長機会を得てください。
その第一歩として、本稿で取り上げた決算数値、当座比率、流動比率、自己資本比率、売上高経常利益率、総資産経常利益率(ROA)、債務償還年数、インスタント・カバレッジ・レシオの自社数値を算出してみましょう。
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