「どうしたの。いつもよりさらに難しい顔して」
たまたま通りかかった吉田が、そう言って理子の隣に並ぶ。
たまたま通りかかった吉田が、そう言って理子の隣に並ぶ。
「ついに始まるじゃない。今年から『消費税の増税』が」
理子はいかにも憂鬱そうに頬杖をつく。
理子はいかにも憂鬱そうに頬杖をつく。
「あー、お財布的に厳しいよね」
「そうじゃないの!……いや、それもあるけど、私が悩んでいるのは『会計処理が複雑になるんじゃないか』ってこと!
やっと月次や日次の経理業務に馴れてきたのに新しい制度なんてほんとに困るわ」
やっと月次や日次の経理業務に馴れてきたのに新しい制度なんてほんとに困るわ」
「え、軽減税率って食品とか飲食店が対象でしょ?一般企業のウチには関係ないんじゃないの?」
吉田はそう言って首をかしげる。
吉田はそう言って首をかしげる。
「そんなことはない!と思うんだけど……」
理子は腕を組んでつぶやく。
理子は腕を組んでつぶやく。
「あれ、いつになく自信なさげじゃない?」
「実際のところ、軽減税率とかインボイス制度がどれだけ経理業務に影響するかよく分からないのよね。
もしかしたら、考えすぎなのかもしれないし……」
消え入りそうな声でつぶやきながら、うつむく理子。
もしかしたら、考えすぎなのかもしれないし……」
消え入りそうな声でつぶやきながら、うつむく理子。
と、その時、どこからともなく重厚な太鼓が鳴り響き、鬱蒼とした霧に包まれた仙人が舞い降りてきた。
「考えすぎではないぞ!むしろ、悠長に構えていると直前になって慌てる羽目になるかもしれん。
軽減税率とインボイス制度への対応は、すべての企業と経理担当者の課題なのじゃ!」
軽減税率とインボイス制度への対応は、すべての企業と経理担当者の課題なのじゃ!」
理子がカレンダーを眺めながら、ため息をついている。