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会計処理 2019/12/17

三分法・分記法…同じ取引でも記帳処理によって勘定科目が変わる!?

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記帳処理には、取引によって様々な方法があります。数ある取引の中でも、企業における商品売買は事業の基本とも言えますが、この商品売買にも複数の記帳方法があることを知っていますか?
今回は、日商簿記検定試験三級で基礎的な知識としても出題されている「三分法」と「分記法」という、商品売買取引の記帳方法について解説します。

三分法は最もポピュラーな記帳処理方法

「三分法」は、仕入れ、売上、繰越商品の3つの勘定科目を使った記帳処理方法です。
商品や原料などを購入した際、この方法で処理する場合は「仕入れ(費用)」の勘定科目を借方に記入します。また、販売した際は「売上(収益)」の勘定科目を貸方に記入し、期末には前期から残っている商品の原価を勘定科目「繰越商品(資産)」に振り替えます。

三分法は、後述する分記法のように販売時に原価を記帳する必要がありません。そのため、大量の商品を仕入れ、販売している企業を中心に幅広い業種で採用されている記帳処理方法です。
仕入れ、販売、決算時の具体的な仕訳例は、以下の通りです。

■商品を仕入れたときの仕訳例
【取引】1万円の商品を仕入れた
借方 貸方
仕入れ 10,000 買掛金 10,000

仕入れを費用として計上し、減少した同額の資産を買掛金(または現金など)として貸方に記入します。貸方には必ず仕入原価を計上してください。

■商品を販売したときの仕訳例
【取引】仕入れた商品を3万円で販売した
借方 貸方
売掛金 30,000 売上 30,000

収益が増えたので貸方に売上、借方に売掛金(または現金など)を記入します。必ず売価で売上勘定に記入することが、販売時に三分法を使用する際のポイントです。

■決算時
【取引】決算整理を行う期末商品の残高は2万円だった。
借方 貸方
仕入れ
繰越商品
0
20,000
繰越商品
仕入れ
0
20,000

三分法は売価をそのまま計上するため、素早く仕訳できることが大きなメリットとなります。ただしその反面、決算日に在庫がある場合は決算整理しなければ商品売買の正しい利益を把握できないというデメリットもあります。

決算整理しなくても商品売買の利益がわかる分記法

多品種を扱ったビジネスに活用されることが多い三分法に対して、「分記法」は宝石商や不動産業など、少量かつ高価な商品を取り扱う業種で採用される記帳処理方法です。
この方法では商品の仕入れや販売を問わず、仕訳の際は「商品勘定(資産)」と、売価と原価の差額である「商品売買益勘定(収益)」を使い、商品の売価を分けて記帳します。
商品を販売する度に売買益を計算するため、三分法のように決算整理しなくても、随時、商品の売買で得た利益を把握できるというメリットがあります。

■商品を仕入れたときの仕訳例
【取引】1万円の商品を仕入れた
借方 貸方
商品 10,000 買掛金 10,000

■商品を販売したときの仕訳例
【取引】上記の商品を3万円で販売。代金は掛けとした。
借方 貸方
売掛金 30,000 商品
商品売買益
10,000
20,000

購入金額と販売金額の差額を「商品売買益」として計上します。基本的にすべての取引で商品売買益が発生するので、この勘定科目を合算することで簡単に該当期間の利益を把握できます。

■決算時
【取引】決算整理を行う期末商品の残高は2万円だった。
仕訳の必要なし

前述の通り、販売の都度、利益を把握できる分記法は、少量の取引が主である業種で重宝されます。その一方で、売買が発生するたびに原価(仕入値)を算出する必要があるため、取引が増えると原価管理、売価管理が煩雑になるというデメリットもあります。

三分法と分記法の違い早見表

最後にこれまで解説した三分法と分記法の違いを表にまとめました。
三分法 分記法
勘定科目 仕入れ(費用)
売上(収益)
繰越商品(資産)
商品(資産)
商品売買益(収益)
メリット 記帳処理が簡単で省力化を図れる 商品売買の把握が容易
デメリット 決算整理しなければ、商品売買による正確な利益を把握できない 商品売買の度に、原価を計算しなくてはならないため、原価管理・売価管理の手間がかかる
採用されている業界 小売、製造業など
※特に多品種を販売している業界
宝石、不動産業など
※少量、高価な商品を販売している業界

**********

記帳処理方法には、今回紹介した三分法と分記法のほかにも、日商簿記検定試験2級レベルの「総記法」などがあります。スマートな処理を行うためには、それぞれの勘定科目や仕訳例だけでなく、メリットとデメリットを把握し、どのような業界に適しているのかまで理解する必要があります。一番、身近でわかりやすいのは三分法ですので、まずはここからマスターしてください。

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