フィンテック(FinTech)とは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた新語。
ITを使った新しい金融サービスや金融事業の総称として2015年頃から急速に普及したとされています。
ビッグデータ解析などの技術革新と高性能スマートフォンの利用が広がり、誰もがいつでもどこでもインターネットに接続できるようになったことが普及の背景にあります。
では、フィンテックは何を変えるのか?今後の動向を中心にその実態に迫ります。
フィンテック企業への投資が世界で2.4兆円に!
日本経済新聞によると、フィンテック事業を手がける企業への投資が急増しており、2016年は世界で240億ドル(約2兆4000億円)と過去最高を更新するようです。
2014年までは100億ドルに満たなかったことを考えると、その急増ぶりがうかがえます。4年後の2020年には約461億ドルまで膨らむと見込まれるほど、今、最も熱い市場といえます。投資額を国別でみると圧倒的に米国が先行しており、2015年には投資額の6割以上を占めていました。
業態別では個人向けの決済やオンラインの融資事業が注目されています。コンピュータのプログラムが個人の資産運用を指南する「ロボット・アドバイザー」にも熱い視線が注がれています。
日本でも三井住友アセットが設定する投信、世界のAI関連企業を投資対象とし、フィンテック企業にも資金を振り向ける「グローバルAIファンド」が700億円超の資金を集め、今年新規設定された投信で最大規模でのスタートとなりました。
さらに、みずほ証券はアジアのフィンテック企業を発掘するシンガポールのファンドに最大20億円投資する計画を発表。SBIホールディングの「FinTechファンド」は300億円を集め、既に60億円の投資実績をあげるなど、日本でも盛り上がりをみせています。
急激な盛り上がりの背景にあるものとは?
急激な広がりをみせるフィンテック。その背景にあるのは、もちろんITの進化、さらにインターネットが社会インフラとして定着したことがあげられます。
インターネット上に公開される情報量の莫大な増加、それらの情報をデータとして様々な分野に活用する技術。SNSの普及によって多様化するコミュニケーション、情報の流れも双方向となりました。
そして、IoTによって、それらが生活の一部となり、スマートフォンやモバイルは、いつでもどこでもインターネットに接続できる環境をつくりました。
こうした環境の変化に加え、金融業界がこれまで新規参入の困難な業界だったこと、さらにITの活用が遅れていたことも影響しているといわれています。
優れた技術とサービス力をもったITベンチャーが、IT未開のフィールドに参入し、一気に風穴を開けたというわけです。
ITを駆使することで資金や人、店舗などの資源が少なくても展開できるため、低コストで付加価値の高いサービスが生まれます。
ユーザーの支持を受けることでサービスが広がり、既存の金融大手の牙城を切り崩していく。急速に技術革新が進むことで、各国の法制度や規制が追いつかないという課題がつきまとっているのも事実です。
フィンテックは今後どんなサービスに広がるのか?
フィンテックは今後、金融分野の様々な方向に広がっていくことが予想されています。では、どんなサービスが生まれていくのでしょうか。
現在台頭しているサービスをもとに、その可能性を考察してみました。
◎融資
顧客データから融資の可否をスピーディに判断することが可能に。金融機関の融資担当者が不要になるといわれています。
◎資金調達
インターネットを経由して共感する人や組織に事業の財源の提供や協力を募るクラウドファンディングがさらに広がり、一般化するといわれています。
◎決済システム
モバイルやウエアラブルデバイスによる決済が小売やアミューズメント施設内の支払い利用に広まっています。暗号通信による電子決済もポイントカードとの統合が始まり、さらに進化していくでしょう。
◎投資・資産運用
個人投資家の資産運用をアドバイスするロボット・アドバイザーやマーケット情報をもとに株式や外国為替の自動取引を行うアルゴリズム取引が進化していくでしょう。
◎家計管理
口座の入出金などから将来のキャッシュフローを予測することが可能。金融機関の新しいサービスやクレジットカード・ローンなどの審査に応用されそうです。
◎保険
顧客データから最適な保険料を算出。さらにIoTによって蓄積された情報をもとに様々な保険商品やサービスが開発されるようになるでしょう。
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このように、フィンテックによって様々な商品・サービスが生まれ、進化していくことが予測されています。
経理業務に与える影響も大きなものとなることでしょう。
あらゆる分野にいえることですが、フィンテックのようなテクノロジーは、ルーティンワークを不要なものにします。
いうまでもなく、経理業務はルーティンの多い分野でです。フィンテックに仕事を奪われるのか、うまく活用してひとつ上の経理担当になるのか。
今、経理マンは大きな岐路に立たされているといっても過言ではありません。