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IT業務システム 2018/08/28

プロが教える会計システム導入の3つのポイント

会計システムを活用した経理業務の効率化は、あらゆる経理部門の大きなテーマです。それにも関わらず、自社の環境や業務にマッチしたものを選定するのは非常に困難となっています。そこには、会計ソフトの特徴をきちんと把握できない、会計ソフト導入の目的が不明確など、様々な理由があるようです。そこで、今回は実際の経理の現場で会計システム導入に携わってきた経理担当者の知見をもとに、会計システム導入のポイントをご紹介します。
※参考書籍「経営を強くする戦略経理(前田康二郎・高橋和徳・近藤仁)著」



経営を強くする戦略経理
日本能率協会マネジメントセンター
著者:前田康二郎、高橋和徳、近藤仁

関連リンク(Amazon):経営を強くする戦略経理

Point1 会社のビジョンにマッチしているか

「会計ソフトはどれも一緒」という考え方は危険です。会計ソフトは千差万別ゆえに、会社の業務やビジョンに合わないものを選定すると大きな損失につながります。まずは、会社のビジョンに合っているか、長期的な視点で会計システムを選定することが大切です。

例えば、IPO(新規公開株)を目指している会社の場合は、少なくとも原価計算や売上先ごとの集計機能など、上場準備に必要な資料を作成するためのデータを抽出できるソフトを最初から導入しておいた方が良いでしょう。上場準備の際は、過年度の数値の集計を申請資料として提出する必要があり、過年度と現在使用しているシステムが違うと、資料作成に莫大な時間と手間がかかってしまうためです。

数年後を視野に入れた会計ソフトの選定を行うための間違いのない方法として、少しずつグレードアップする方法があります。最初は廉価版を導入しておき、会社の成長に合わせて同シリーズの会計システムをグレードアップしていくスタイルです。会社が大きくなってからのデータ移管・管理もスムーズになります。

※関連記事:中堅・中小企業に適したERPとは?

Point2 現場の社員でも使いやすいか

近年は、財務管理システムと販売管理システムを一体化したものが多くなってきています。営業などの現場の社員が自分でデータを入力して、それがそのまま経理部門のデータとして活かされていくタイプで、より効率的な運用が可能です。

しかしこのタイプの場合、データ入力が正しく行われないと意味がありません。現場の社員が入力したデータをそのまま活かすシステムですから、現場の社員がソフトの使用法や勘定科目も多少は理解する必要があります。ただ、そのレクチャーが経理担当の負担になっては本末転倒。「誰でも使いやすいか」という視点は、経理の負担にも影響するとても重要なポイントです。

さらに、人間によるチェック機能を考慮した仕組みがあると便利です。例えば、仕訳の1行に領収書や請求書のスキャンデータが添付できる機能。「この領収書の内容は、本来経費として承認しても良いものか」「この社員がこの経費を使う必然性はあるのか」そんな経理担当によるチェックも、原本を見ずにシステム上で可能になれば業務は格段にスピードアップします。

※関連リンク:3クリックで探せる!あなたの会社に最適な会計ソフトを探せる「MJS製品かんたんナビ」

Point3 クラウドとの相性はどうか

会計システムもクラウド版が大半を占めるようになってきています。クラウドとの相性はどうか。そんな視点も重要です。クラウドとの相性がいい会社は、経理のイレギュラー処理の少ない会社です。

経理のイレギュラー処理とは、前受金、前払金、分割入金、分割支払、按分計上、売掛金と買掛金の相殺など。これらの処理が少なく、社内の会計ルールが明確で一定の会社はクラウドとの相性が良いと言えるでしょう。

また、クラウドは自宅でも職場と同じ環境で作業できるというメリットがあります。これは、「働き方改革」の観点でみると大きな可能性を秘めていると言えます。証憑などの紙資料が多いのが経理の仕事ですが、作業スケジュールが決めやすいので、紙資料をデータ化することで、在宅勤務がやりやすくなります。子育てや介護でフルタイム働けない人にも、経理の道を開く契機になりそうです。
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会計システム導入のポイントとして、自社のビジョンに合ったものにする、現場の社員が入力しやすいものにする、そして、クラウドとの相性を考慮するという3つの観点をご紹介しました。さらに、これからはAIを搭載したものが市場を席巻する可能性もあります。会計システム導入の観点も複雑化し、選定もますます難しくなりそうです。テクノロジーとの親和性を考慮しても、会計システムの選定はベテラン社員より若手の経理担当の役割となるケースが多くなるでしょう。日頃から、会計システムの特長を比較するなど、研究しておくことが大切です。

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