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経理/財務決算 2018/04/03

経理担当の責任重大!決算整理仕訳の基礎知識

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多くの法人が3月に決算を迎えます。決算とは、会計年度ごとに財務状況や経営状態を明確にして貸借対照表と損益計算書(上場企業の場合はキャッシュフロー計算書も必要)を作成し、税務署に届け出る作業です。決算日から2カ月以内の提出が義務付けられているので、3月決算の企業は5月末日が期限。そのため4月、5月は決算準備で多忙となるのが経理部門です。今回は、決算準備の大切な主要業務となる決算整理仕訳について解説します。

決算整理仕訳とは

決算整理をごく簡単に説明すると、税務上の規則に従って帳簿の正確さを確認し、適宜修正することです。当然、決算書には正しい数字が反映されていなくてはなりません。

ところが、法人税では、売上は現金を受け取ったときではなく、その売上が発生したタイミングで計上する「発生主義」が原則です。従って、当期中に発生した売上は、入金が来期でも当期に計上する必要があります。その他、まだ支払いをしていない仕入れや経費を当期に計上する取引、既に入金済みにも関わらず当期の売上にしなくてもいい取引、反対に既に支払い済みにも関わらず今期の仕入れ・経費にしてはいけない取引などがあります。さらに、固定資産の減価償却費の計上、期末に残っている在庫の計上など、直接現金の入出金が伴わない様々な帳簿の修正が必要となります。

決算整理仕訳の主な流れは次のようになります。
    • 毎月の試算表をまとめて1年間の決算整理仕訳前の試算表を作ります。
    • 見越し、繰延、減価償却などの決算整理仕訳を行い、決算整理仕訳後の試算表を作成します。(決算整理仕訳については後述します。)
    • 「帳簿の締め切り」をして、貸借対照表と損益計算書を作成します。


では、続いて主な決算整理仕訳について見てみましょう。

主な決算整理仕訳

見越し処理 決算期には、まだ支払っていないにも関わらず当期に計上すべき費用、反対にまだ受け取っていないものの当期に計上すべき収益が発生します。この費用および収益を税務上のルールに従って会計処理することを「見越し」と言います。その代表的なケースが銀行など金融機関からの借入金に伴う利息です。

例えば、1月に銀行から2000万円借り入れ、半月後の返済月である6月に支払利息6万円が発生したとします。3月決算の場合、当期の支払利息は1月から3月までの3カ月で3万円。この時点ではまだ利息を支払っていませんが、これを未払利息として決算整理仕訳で計上する必要があります。

繰り延べ処理
当期に来期分の費用も含めて支払うケース、反対に当期に来期分の収益も受け取るケースがあります。これを決算整理仕訳する場合の会計処理を「繰り延べ」と言います。保険料の支払いや他社に土地を貸している場合の受取地代がよくあるケースです。

例えば、他社に貸している駐車場代の半年分を30万円として、60万円を1月に受け取ったとします。3月決算の場合、当期の30万円に加え来期分の30万円、合計60万円を受け取ったという仕訳です。決算整理仕訳では、このうち来期分の30万円を前受地代として取り消す処理をします。これを収益の繰り延べと言います。

減価償却費の計上
減価償却とは、会社の設備などを購入した際、一度に費用計上せず、数年に分けて少しずつ費用に分ける仕組みです。何年に渡って費用計上していくかを耐用年数と言い、大型乗用車は5年、パソコンは4年など、税法上で決まっています。

例えば大型乗用車を200万円で購入した場合、償却期間は5年なので、1年間の減価償却費は、40万円(200万円➗5年)となります。これを減価償却費として計上する際の決算整理仕訳は、車両運搬具40万円となります。

仕入商品の決算整理

仕入商品については当期ですべて売れるということはなく、当然売れ残りが生じるため、売れた商品と売れ残った商品をしっかりと整理する必要があります。決算整理において当期の売上原価として計上できるのは、当期に売れた商品の原価のみとなるからです。売れ残った商品は繰越商品として来期の販売商品となります。従って、決算においては当期に仕入れた商品の原価から、売上原価へと修正するための決算整理仕訳を行う必要があります。

売上原価の計算方法は、次の通りとなります。
売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高―期末商品棚卸高

期首商品棚卸高とは、期首からあった在庫、つまり前期の売れ残り商品(繰越商品)の仕入高です。当期商品仕入高は、当期に仕入れた商品の原価で、そこから期末商品棚卸高である当期の売れ残り(繰越商品)の仕入高を差し引くことで売れ残り商品の仕入高を控除することになります。
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決算書は一度税務署に提出すると、修正するのは大変な困難が伴います。もし決算書に誤りがあった場合、税務署や銀行から信頼を得ることはできなくなり、経営上大きなマイナスとなることでしょう。税務上のルールに従い、正しい帳簿になっているかを確認し、必要に応じて修正する決算整理は非常に大切な業務です。決算日から決算書提出までの2カ月間は、経理担当としての責任が問われる時期です。集中してこの繁忙期を乗り切りましょう。

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