今回からは、期中の段階での比較分析を想定し、まずはB/Sの月次推移分析の話をすることにします。今回はB/Sの月次推移分析のイメージをつかんで頂くため、2つのパターンを挙げて説明します。
2.ケースで考えるB/Sの月次推移分析(その1)
まずは、ある経理部での様子を描いた【ケース4】をご覧ください。【ケース4】
C社では年度決算作業の真っ最中ですが、経理スタッフには混乱が生じているようです。
「この売掛金、回収できるのか?いや、そもそも計上して良かったのだろうか…」
「この仮払金、いつ発生した分だ? 何の経費に使ったんだろう…」
「その他流動資産の内訳はどうなってるんだ。中身がよく分からないぞ…」
「……」
はたして所定の期日までに決算作業は終了するのか、心配な状況です。
こうした一つ一つの問題(回収遅延売掛金の把握、仮勘定の精算、その他勘定の整理など)を想定して、期中の段階から処理をしておくに越したことはありませんが、きっちりやるとなるとなかなか骨が折れるのも確かです。
そこで、期中では重要な問題のありそうなところをザックリとでも察知し、その部分について早め早めに対応しておくといった方法も考えられるでしょう。そんなときに有用なのが、今回ご紹介するB/Sの月次推移分析です。
B/Sの月次推移分析とは、B/Sの各科目の各月末残高を並べて、月ごとの残高の推移を分析することです。主要なB/S科目の月次推移を分析することで、対応すべき問題が見つかることも少なくありません。
以下ではB/Sの月次推移分析を大きく2つのパターンに分け、それぞれのイメージ図と分析の仕方を挙げておきます。1つは「数カ月分の動きをまとめて分析するパターン」であり、もう1つは「月々B/Sの動きを分析するパターン」です。
(1)数カ月分の動きをまとめて分析するパターン
B/Sの動きを数カ月まとめて分析するパターンというのは、例えば、3月決算の会社が、4月から数カ月分のB/Sの動きをまとめて(一気に)分析するような場合を想定しています。【図表1】B/Sの月次推移分析のイメージ図
~数カ月分の動きをまとめて分析するパターン
| 科目 | 前期末残高 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | (以降省略) |
| 現金及び預金 | 10,000 | 11,000 | 11,500 | ①6,000 | 7.000 | XXX |
| 売掛金 | XXX | XXX | XXX | ②XXX | ③XXX | XXX |
| 商品 | XXX | XXX | ④XXX | XXX | ⑤XXX | XXX |
| ・・・ | ||||||
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②・・・による増加
【図表1】は前期末以降の各月末のB/Sを横に並べていった形式になっています。縦にはB/Sの勘定科目が並んでいます。月次推移分析では、勘定科目ごとに左から右へと視線を動かしながら、残高がどんな動きをしているのかを見ていきます。特に気を付けるのは、期中に著しい増減が生じている箇所です。
同様にして、売掛金については、前月末と比べて大きな増加が生じている6月のところにそれを表す印()を付け、さらに大きな増加が生じている7月のところにも印()を付けます。
重要な勘定科目について同様の作業をしていくことで、どの月に大きな変動が生じているのかがはっきりしてきます。
(2)月々B/Sの動きを分析するパターン
月々B/Sの動きを分析するパターンというのは、例えば、3月決算の会社が、4月、5月、6月と、月次の数値が固まったところで毎月B/Sの動きを分析するような場合を想定しています。【図表2】B/Sの月次推移分析のイメージ図
~月々B/Sの動きを分析するパターン
| 科目 | 前期末残高 | 4月 | 5月 | 6月 |
| 現金及び預金 | 10,000 | 11,000 | 11,500 | ①6,000 |
| 売掛金 | XXX | XXX | XXX | ②XX |
| 商品 | XXX | XXX | XXX | XX |
| ・・・ |
②・・・による増加
例えば、【図表2】のように6月の月次の数値が固まったところで、6月末のB/Sを前月末と比べて分析する場合で説明しましょう。
【図表2】の6月のB/S(太枠内)のうち前月末と比べて増減が生じているところがあれば、そこに印を付けておきます。これは、後でその変動の理由を調べる必要がある箇所ということを意味しています。
重要な勘定科目について同様の作業をしていくことで、直近月(6月)に大きな変動が生じていれば、タイムリーにその箇所をはっきりさせることができます。
以上、B/Sの月次推移分析を行う際の2つのパターンについて説明させて頂きました。
上記(2)として紹介した「月々B/Sの動きを分析するパターン」で分析すれば、タイムリーな分析が行えますが、その一方で、俯瞰して分析しづらいために必要以上に細かいところに目が行ってしまい、作業負担が大きくなる懸念があります。P/Lに比べるとB/Sの分析にはあまり時間をかけたくないということも考えられます。そこで、数カ月に1回程度でも主要科目の月々の動きを一気に分析する(1)の「数カ月分の動きをまとめて分析するパターン」を活用することが効果を発揮することも考えられます。各社の状況に応じて、使い勝手の良い方法を使って頂ければと思います。
なお、大きな増減が生じている箇所に印(・)を付ける上で、何%以上の変動がある場合などと細かく判断の基準を定めることも考えられますが、厳密さを追究するよりは、「なんでこんなに増えて(減って)いるんだろう?」という意識を大切にし、気になるところには印を付け、後で増減の理由を調べてみることを心掛けましょう。























