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ITDX 2025/10/23

会計業界のDXは進んでいる?「専門家に相談したい」が半数超え、業務デジタル化の課題と解決策を探る(会計事務所白書2025)

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株式会社ミロク情報サービス(MJS)は会計業界の業務デジタル化の進捗状況を確認するため、2025年7月に調査を実施し、会計事務所白書としてその調査結果をまとめました。
今回の記事では、調査結果をもとに、企業と会計事務所における業務デジタル化の現状と課題、専門家支援や補助金活用のポイントを整理し、今後の対応策を考えていきます。

調査概要

調査名:
会計事務所白書2025
業務デジタル化の進捗と課題
調査主:
株式会社ミロク情報サービス
調査対象:
企業・事業主および会計事務所 計898名
  • 企業のバックオフィスまたはIT担当者、事業主: 686名
  • 会計事務所(職員含む): 212名
調査期間:
2025年7月7日(月)~2025年7月22日(火)
調査エリア:
全国
調査手法:
インターネット調査

会計業界の業務デジタル化の現状

まずは調査結果から見えてくる、会計業界における業務デジタル化の現状を確認していきましょう。


業務デジタル化への必要性の認識は9割超
企業・事業主への調査では、業務デジタル化の必要性について97%が「必要」と回答しています。
会計事務所向けの調査でも96%が必要性を認識していることから、経理業務に携わるほぼすべての関係者が、業務デジタル化の重要性を肌で感じていることがわかります。

Q 業務のデジタル化は必要だと思いますか?

企業・事業主:
強く必要だと思う 46%
必要だと思う 51%
あまり必要と思わない 2%
必要ではない 1%

会計事務所:
強く必要だと思う 53%
必要だと思う 43%
あまり必要と思わない 4%
必要ではない 0%

また、企業・事業主が業務デジタル化を必要と考える主な理由には「生産性・効率化のため」と「業務の最適化のため」の割合が高く、両者ともに、限られたリソースの中でまずは内部・外部向けの業務効率化を実現させたいという希望が見えてきます。


多数の企業が社内業務のデジタル化への取り組みを開始
社内業務のデジタル化に関する取り組み状況を見ると、企業・事業主については「できる範囲は取り組んでいる」が67%と最も多く、「積極的に取り組んでいる」が15%、「これから取り組む予定」が14%となっています。
会計事務所でも76%がデジタル化に取り組んでおり、会計業界では社内業務のデジタル化が進みつつあることが明らかになりました。

Q 社内業務のデジタル化に取り組んでいますか?

企業・事業主:
積極的に取り組んでいる 15%
できる範囲は取り組んでいる 67%
これから取り組む予定 14%
取り組む予定はない 4%

会計事務所:
積極的に取り組んでいる 16%
できる範囲は取り組んでいる 60%
これから取り組む予定 19%
取り組む予定はない 5%

実際に取り組まれている内容としては、企業・事業主、会計事務所ともに「ペーパーレス化」が最多となっており、そのほかに「従業員間コミュニケーションツールの利用」、「AI機能導入による業務自動化」などが続いています。
両者ともに、まずは比較的導入しやすい機能からDXの推進に着手している状況が読み取れます。


社内業務デジタル化への主な課題は「コスト・時間の問題」が1位
デジタル化に取り組んでいる企業・事業主、会計事務所がともに抱える課題としては、「コスト・時間の問題」が23%と最多となっています。
続いて企業・事業主では「従業員のITリテラシー不足」、「人材や知識が不足している」が上位を占めています。

Q 社内業務のデジタル化に「取り組んでいる」または「取り組む予定」と答えられた方に伺います。社内業務のデジタル化で課題と感じることはありますか?(※複数選択可)

企業・事業主:
コスト・時間の問題 23%
従業員のITリテラシー 20%
人材や知識が不足している 20%
利用するツールの選定 18%
ツール導入による社内調整 14%
何から始めればよいかわからない 3%
その他 2%

デジタル化を進めるには一定の資金が必要であり、特に中小規模の事業者にとっては初期投資が大きな負担となります。
さらに、システムの選定から導入に至るまで、どのようなツールが必要かを判断する知識を自社の人材だけで補うのは難しく、この点も大きな課題となっているようです。
MJSによる、お客様に寄り添う徹底的な伴走支援
MJS DXコンサルティング

デジタル技術の進展により、企業の競争環境が大きく変化しています。特に中小企業にとってDX(デジタルトランスフォーメーション)は、持続的な成長と市場競争力の強化に不可欠な取り組みとなっています。

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業務デジタル化における専門家や国の支援への高いニーズ

続いて、業務デジタル化における支援への認知度を見ていきます。


支援ニーズと相談先の実態
「業務のデジタル化について、相談をしたいと思いますか?」という質問では、企業・事業主、会計事務所ともに約半数が「無料であれば専門家に相談してみたい」と回答しています。

Q 業務のデジタル化について、相談をしたいと思いますか?

企業・事業主:
有料でもいいので専門家に相談したい 5%
無料であれば専門家に相談してみたい 48%
社内または知人や友人など身近になら相談したい 27%
相談しようと思わない 20%

会計事務所:
有料でもいいので専門家に相談したい 9%
無料であれば専門家に相談してみたい 54%
所内または知人や友人など身近になら相談したい 25%
相談しようと思わない 12%

一方で、実際に相談した先を見ると、両者ともに「ソフトウェア・ハードウェアのベンダー」が上位となっており、次いで企業・事業主では「社内の有識者」、会計事務所では「知人・友人」となっています。

Q 業務のデジタル化について、どなたに相談したことがありますか?(※複数選択可)

企業・事業主:
ソフトウェアやハードウェアのベンダー 34%
社内の有識者 30%
ITコーディネータなどのコンサルタント 11%
知人・友人 6%
相談したことがない 17%
その他 2%

約半数が専門家への相談を希望しているものの、実際にITコーディネータなどの専門家に相談している割合は低いのが現状です。
その背景には、専門家の存在や役割に関する情報不足に加え、相談に踏み切る際の心理的なハードルの高さが影響していると考えられます。
身近なベンダーや社内の知識を持つ人に相談することで、当面の課題解決は可能ですが、専門的な知識や多様な事例に基づく助言を得るには限界があるといえるでしょう。


補助金の認知と活用のギャップ
「業務のデジタル化に必要なツールの導入に、国の補助金が適用できることをご存知ですか?」という質問では、企業・事業主は59%、会計事務所は64%が「知っている」と回答しており、過半数が補助金の存在を認識していることがわかります。

Q 業務のデジタル化に必要なツールの導入に、国の補助金が適応できることをご存知ですか?

企業・事業主:
既に活用したことがある 7%
知っている 59%
知らなかった 34%

会計事務所:
既に活用したことがある 8%
知っている 64%
知らなかった 28%

しかし、「既に活用したことがある」と回答したのは、企業・事業主7%、会計事務所8%と、少数にとどまっています。
つまり、補助金制度の存在は知っていても活用できていない事業者・会計事務所が多い状況にあるといえます。
補助金制度が活用されない背景には、以下のような問題があると考えられます。

  • 補助金の制度が多岐にわたり、自社に最適な制度を見つけることが困難
  • 補助金を申請するための書類の作成や添付資料の準備に時間と労力がかかる
  • 補助金を受給した後の会計処理や税務処理がわかりにくい
IT関連の補助金だけでも、IT導入補助金やものづくり補助金など数多くの制度があり、それぞれ対象や要件が異なります。
多くの中小企業では、通常業務と並行して制度の選定や申請準備を進めなければならず、さらに却下される可能性もあるため、申請をためらうケースもあるようです。

※参考資料:IT導入補助金2025「IT導入補助金制度概要
ものづくり補助金総合サイト「公募要領
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業務デジタル化への課題を解決へと導くには?

今回の調査結果では、業務デジタル化の必要性は広く認識されており、多くの企業・事業主、会計事務所が既にDXに関する取り組みを始めていることがわかりました。
ただし、実際の導入段階ではコストや人材不足といった課題が依然として大きな障壁となっており、まずは効果が見込める領域から小規模に着手している企業が多いのが現状のようです。
また、補助金制度や専門家相談に対する認知度は高いものの、活用の実態は限定的であり、十分に機能しているとはいえません。
しかし、この状況は、適切な支援があれば多くの企業が補助金を活用して業務デジタル化を推進できる潜在的可能性を示しているといえます。
IT導入に詳しい専門家のもと自社に合った補助金制度を適切に活用できれば、課題解決できる可能性があるといえるでしょう。


業務デジタル化を効果的に推進できる支援者・専門家とは
今回の調査結果を踏まえると、企業・事業主や会計事務所が業務デジタル化を成功させるために支援者・専門家を選ぶ際には、いくつかのポイントが重要だといえます。

  • 専門性
    例えばITコーディネータのように公的資格を持つ専門家は、体系的な知識と豊富な経験を備えており、相談者の状況に応じた信頼性の高いサポートが期待できます。
  • 伴走型の支援体制
    伴走型とは、専門家が相談者に寄り添いながら課題解決を進める方法であり、導入段階にとどまらず、運用定着まで継続的に支援を受けられるため、導入効果を最大化できます。
  • 気軽に相談できる環境
    初期相談の費用が低コストであったり、全国規模で相談できる体制が整っていたりすれば、事業者としてもアクションを起こしやすく、結果的に課題解決をスピーディーに進められます。
こうした条件を満たす専門家から支援を受けることで、調査で明らかになった課題を解消し、真の業務デジタル化を実現することができるでしょう。
MJS DXコンサルティングでは、ITコーディネータの資格を持つ専門家が相談に対応し、業務デジタル化の課題解決をサポートします。
無料相談からスモールスタートで低コストに始めることも可能ですので、ぜひ検討してみてください。

※関連サイト:会計事務所白書2025

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
MJSによる、お客様に寄り添う徹底的な伴走支援
MJS DXコンサルティング

デジタル技術の進展により、企業の競争環境が大きく変化しています。特に中小企業にとってDX(デジタルトランスフォーメーション)は、持続的な成長と市場競争力の強化に不可欠な取り組みとなっています。

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今回の会計事務所白書の調査では、会計業界のほぼすべての事業者が業務デジタル化の必要性を感じている一方、まだ具体的な取り組みに踏み出せずにいる事業者もいることがわかりました。
バックオフィスのDXに向けたITツールの導入に当たっては、まずは専門家への相談が第一歩と考えられます。
気軽に相談できる専門家とともに、業務デジタル化に向けた更なる一歩を踏み出してみてください。

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