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業務全般制度改正 2025/05/13

障害者雇用促進法が改正!2025年にチェックしたい、対象企業拡大を含めた5つのポイント総まとめ

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「障害者雇用促進法」は、障害者の雇用促進と職場定着を目的として、企業に障害者雇用の義務を課した法律です。
2024年には、法定雇用率の引き上げや、雇用対象となる障害者の範囲拡大などの改正が行われました。
企業は改正に対応し、障害者が働きやすい環境作りや合理的配慮を行う必要があります。
今回の記事では、障害者雇用促進法の概要や2024年以降の改正内容、企業の対応策について解説します。

障害者雇用促進法の基礎知識

まずは、障害者雇用促進法の概要や企業が求められる対応など、基本的な内容について解説します。


障害者雇用促進法とは
「障害者雇用促進法」は、正式名称を「障害者の雇用の促進等に関する法律」とする、障害者の職業安定を目的とした法律です。
障害のある人々が経済活動に参加し、自立した職業生活を送る機会を提供することを目指しています。
障害者雇用促進法に基づき、一定の規模を超える企業には、障害者の雇用義務があります。

※参考資料:厚生労働省「障害者雇用促進法の概要


障害者雇用促進法の対象となる企業
現在、障害者雇用促進法の対象となるのは、常用労働者が40人以上の企業です。
この数字は、2024年4月以降に設定された法定雇用率2.5%に基づき、以下のように算出されます。

雇用すべき障害者人数=常用雇用者数×法定雇用率2.5%

例:従業員が40人の場合
雇用すべき障害者人数=40人 × 2.5% = 1人

※小数点以下は切り捨て

上記のように、従業員が40人の場合は、最低でも1人の障害者を雇う必要があることがわかります。


障害者雇用促進法で企業が取るべき5つの対応
障害者雇用促進法では、企業に対して5つの義務を課しています。
具体的な内容は以下の通りです。
項目 内容
法定雇用率以上の障害者雇用 法定雇用率に従って障害者を雇用する
(2024年4月〜2026年6月までの法定雇用率は2.5%)
差別の禁止と合理的配慮の提供
  • 障害の有無に関わらず平等な募集・採用の機会を提供する
  • 障害を理由に待遇や福利厚生で差別しない
  • 社会的障壁を取り除くため、個別対応や支援を行う
障害者職業生活相談員の選任 5人以上の障害者を雇用する場合は、障害者職業生活相談員を選定し、職業生活に関する支援を行う
障害者雇用状況の報告 毎年6月1日時点での障害者雇用状況をハローワークに届け出る
解雇時に「解雇届」の提出 障害者を解雇する際、速やかにハローワークに解雇届を提出する。
さらに、対象企業は障害者の雇用促進と定着を図るため、障害者雇用推進者を選任することが努力義務とされています。

※参考資料:厚生労働省「事業主の方へ
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【2024年以降】障害者雇用促進法の5つの改正ポイント

2024年以降の障害者雇用促進法における5つの改正ポイントを解説します。


法定雇用率が2.3%から2.5%、次いで2.7%に引き上げ
民間企業の2024年3月までの法定雇用率は2.3%でしたが、2024年4月より2.5%に引き上げられました。
さらに、2026年7月には2.7%に引き上げられる予定です。

法定雇用率の変化(民間企業の場合)
時期 法定雇用率
2024年3月まで 2.3%(43.5人以上の企業に雇用義務)
2024年4月〜2026年6月 2.5%(40人以上の企業に雇用義務)
2026年7月から 2.7%(37.5人以上の企業に雇用義務)
この引き上げで対象企業が拡大し、2026年7月より従業員37.5人以上の企業には障害者を雇う義務が発生します。


週20時間未満の短時間労働者も雇用率に算入
これまで、雇用率計算の対象になるのは、週の労働時間が30時間以上または20時間以上30時間未満の重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者のみでした。
2024年4月からは、週の労働時間が10時間以上20時間未満の障害者も雇用率の算定対象に加わります。
週所定労働時間 30時間以上 20時間以上30時間未満 10時間以上20時間未満
身体障害者 1人 0.5人
身体障害者(重度) 2人 1人 0.5人
知的障害者 1人 0.5人
知的障害者(重度) 2人 1人 0.5人
精神障害者 1人 0.5人 0.5人
※参考資料:厚生労働省「特定短時間労働者の雇用率算定について

これらの障害者は、雇用率の計算時に0.5人分として換算されるため、短時間勤務の障害者の雇用機会が拡大します。


助成金制度の支給額の減額
障害者雇用助成金をはじめとした、障害者の雇い入れや雇用の継続にあたって措置を講じる際に支給される助成制度も見直されます。
雇用率を満たした企業への報奨金や調整金の支給単価が引き下げられますが、具体的な減額額は2024年度の実績を基に2025年度から反映される予定です。

障害者雇用調整金の支給調整について
支給対象人数が10人を超える場合には、当該超過人数分への支給額は本来の額から6,000円調整され、23,000円とされます。

報奨金の支給調整について
支給対象人数が35人を超える場合には、当該超過人数分への支給額は本来の額から5,000円調整され、16,000円とされます。

※参考資料:厚生労働省「障害者雇用調整金・報奨金の支給調整について


障害者雇用納付金助成金の創設・拡充
障害者雇用納付金制度に関連する助成金が新たに創設され、既存の助成金も拡充されます。
これにより、障害者を多く雇用する企業への支援が強化される見込みです。

障害者納付金助成金の拡充例
これまで 改正後
視覚障害者の職場介助者の配置 事務業務以外は対象外 1人あたり月15万円の助成金対象
手話通訳者などの配置 助成金なし 1人あたり月15万円の助成金対象
※参考資料:厚生労働省「助成金の拡充の全体概要案


障害者除外率の引き下げ(2025年改正)
障害者雇用促進法では法定雇用率が設定されていますが、障害者の就業が難しい特定の業種については、雇用義務を軽減する除外率が設けられています。
この、特定の業種における障害者雇用の除外率が、2025年4月から一律10ポイント引き下げられます。
例えば、医療業では除外率が30%から20%に引き下げられます。
これにより、より多くの企業に障害者雇用の義務を果たすことが求められるようになります。
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障害者雇用促進法の改正に伴い企業がすべき対応

障害者雇用促進法の改正に伴い、企業が講じるべき対応を2つのケースに分けて説明します。


【障害者雇用義務がなかった場合】障害者雇用促進法の対象か確認する
これまで障害者の雇用義務が課されていなかった場合は、まず、雇用義務が発生しているのか把握するために、「常用雇用労働者数」が40人以上かどうかを確認しましょう。
カウント対象となるのは、1年以上継続して雇用されている従業員、または1年以上継続雇用される見込みの従業員です。
計算方法とカウント数は以下の通りです。

常用雇用労働者の数
週所定労働時間が30時間以上の労働者 + 短時間労働者 × 0.5

週所定労働時間別カウント方法
週の所定労働時間 カウント数
30時間以上の労働者 1人
20時間以上30時間未満の労働者 0.5人
20時間未満の労働者 カウントなし
このカウント結果が40人以上となる場合、障害者雇用義務が発生するため、採用活動を開始する必要があります。
なお、先述の通り2026年7月からは37.5人以上に変更となるため注意しておきましょう。


【障害者雇用義務が既にある場合】法定雇用率を満たすか確認する
既に障害者雇用の義務がある企業は、改正後の法定雇用率を満たすか確認しましょう。
まず、自社の「常用雇用労働者数」を求めます。

常用雇用労働者の数
週の所定労働時間が30時間以上の常用雇用労働者 + 短時間労働者 × 0.5

次に、「常用雇用している障害者の人数」を数えます。
これらを基に、現時点での「障害者の実雇用率」を計算します。

障害者の実雇用率
常用雇用している障害者の人数 ÷ 常用雇用労働者の数

実雇用率が法定雇用率(2024年4月~2026年6月は2.5%以上)を満たしていれば問題ありません。
もし法定雇用率2.5%を下回っている場合は、企業が雇用すべき障害者数を算出し、不足している人数を確認して、採用活動を進める必要があります。

企業が雇用すべき障害者の数
常用雇用労働者の数×法定雇用率2.5%

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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障害者雇用促進法の改正により、新たに障害者雇用が義務付けられる企業が生じるとともに、既存企業も雇用率の引き上げや対象範囲の拡大に対応が必要となります。
自社の雇用状況を確認し、法定雇用率を満たしていない場合は迅速に採用活動を進めましょう。
障害者雇用に関する理解を深め、すべての人が働きやすい職場作りを推進していくことが大切です。

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