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業務全般制度改正 2024/12/10

電子データの保存もこれで安心!システムなしでも対応できる電子帳簿保存法の事務処理規程の作り方

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2024年1月から電子取引におけるデータ保存が原則義務化されています。
今回の記事では、これに関連して話題に上る事務処理規程の具体的な記載例と実務上のポイントを解説します!

電子取引におけるデータ保存の要件と事務処理規程

電子取引とは、請求書や見積書などのやりとりを、PDFなどを利用して電磁的に行う取引のことです。
電子取引のデータ保存は2024年1月1日から義務化され、電子取引を行った際は取引に使用した電子データを保存しておかなければなりません。
電子データは、紙の取引書類と異なり複製や内容の変更が比較的容易なため、保存の際は電子帳簿保存法に則り改ざん防止のための所定の要件を満たす必要があります。
この保存要件のうち、その電子データに記載されている取引内容が正しいことを担保する「真実性の確保」を実現するため、以下の4つのうち少なくともいずれかを満たすことが求められています。

  • タイムスタンプが付された後の授受
  • 授受後遅滞なくタイムスタンプを付す
  • データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
  • 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
1~3はタイムスタンプやシステムを利用した運用が条件となりますが、このような専用機能を使った運用が難しい場合、4に記載されている事務処理規程に基づく運用を行うことになります。
事務処理規程の作成はあまりコストをかけずに真実性の確保要件を満たすのに有効な手段ともいえます。

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事務処理規程の具体的な記載内容

真実性の確保要件を満たすための事務処理規程の内容は、各企業の事業規模や状況に応じて個別に検討する必要があります。
ただし基本的な軸となる部分は共通しているものもあるため、確認していきましょう。


総則部分
総則部分では、規程全体の基礎として、この規程が電子帳簿保存法に準拠する目的であることとともに適用範囲を具体的に示します。
具体例は以下の通りです。

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

第1章 総則
(目的)
第1条 本規程は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律第10条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を履行するため、電子帳簿保存法に準拠した適正な処理を確保することを目的とする。電子取引の取引情報に係る電磁的記録を適正に保存するために必要な事項を定め、これに基づき保存することを目的とする。

(適用範囲)
第2条 本規程は、当社のすべての役員及び従業員(契約社員、パートタイマー及び派遣社員を含む。以下同じ。)に対して適用する。

(管理責任者) 第3条 この規程の管理責任者は、○○とする。


電子データの取り扱いに関する部分
電子データの取り扱いに関する部分には、具体的にどのような電子取引をこの規程の対象とし、対象となったデータをどのように取り扱うかを記載します。
特に適用範囲の部分では、自社で実際に行われている電子取引を具体的に列挙することが重要です。
電子メールでのPDF請求書、EDIシステムでの取引データ、クラウドサービスからのダウンロードデータなど、日常的に発生する電子取引を漏れなく記載しましょう。
また、真実性の確保要件を満たした規程とするために、電子取引に関するデータの訂正・削除の原則禁止規定も記載する必要があります。
具体例は以下の通りです。

第2章 電子取引データの取り扱い

(電子取引の範囲)
第4条 当社における電子取引の範囲は以下に掲げる取引とする。
(1)電子メールにより受領するPDF等の請求書、納品書等
(2)EDIシステムを通じて授受する取引データ
(3)クラウドサービス等からダウンロードする取引データ
(4)その他電磁的方式により授受される取引情報

(取引データの保存)
第5条 取引先から受領した取引関係情報及び取引相手に提供した取引関係情報に関するデータについては、当社サーバ内にXX年保存する。

(対象となるデータ)
第6条 保存する取引関係情報は以下のとおりとする。
(1)見積依頼情報
(2)見積回答情報
(3)確定注文情報
(4)注文請け情報
(5)納品情報
(6)支払情報

(運用体制)
第7条 保存する取引関係情報の管理責任者及び処理責任者は以下のとおりとする。
(1)管理責任者 財務経理部経理課 課長 △△
(2)処理責任者 財務経理部経理課 係長 □□

(訂正削除の原則禁止)
第8条 保存する取引関係情報の内容について、訂正及び削除をすることは原則禁止とする。

(訂正削除を行う場合)
第9条 業務処理上やむを得ない理由によって保存する取引関係情報を訂正または削除する場合は、処理責任者は「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載の上、管理責任者へ提出すること。
(1)申請日
(2)取引伝票番号
(3)取引件名
(4)取引先名
(5)訂正・削除日付
(6)訂正・削除内容
(7)訂正・削除理由
(8)処理担当者名
2. 管理責任者は、正当な理由がある場合に限り申請を承認する。
3. 承認後、処理責任者へ訂正・削除を指示する。
4. 訂正・削除が完了した場合、処理責任者は「取引情報訂正・削除完了報告書」を作成し、管理責任者へ提出する。
5. 申請書と完了報告書は、訂正・削除履歴の確認ができるよう、保存期間満了まで保管する。

附則

(施行) 第10条 この規程は、令和6年1月1日から施行する。

※出典:国税庁「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(法人の例)
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実務上の重要なポイント

事務処理規程の作成が完了した後は、規程に基づいた運用を行います。
以下では運用時に押さえておきたいポイントを紹介します。


社内への周知
事務処理規程に基づいた運用をするためには実務担当者が内容を正確に理解する必要があります。
それだけでなく、全社的に周知を行い、規程の重要性と運用方法の理解を全従業員に促すことで規程を厳守することができるでしょう。
具体的なデータ保存や運用に関するマニュアルを作成したり、日常的に確認できるチェックリストを準備したりすることで、従業員の規程に基づいた適切な対応が期待できます。


規程の定期的な見直しと改善
事務処理規程は一度作成すれば終わりというわけではなく、定期的に見直しと改善を行う必要があります。
新しい取引形態の導入、担当者や管理者の変更、法令の改正など状況は時間に応じて変化します。
このような変化に基づき、事務処理規程も現状に合わせた内容に更新することで、安心して電子取引を行うことができるようになります。


システム環境との整合性確保
会計システムを使っている場合は、システムの設定を事務処理規程に合わせることも重要です。 システムに設定されている電子データ保存場所や管理責任者の権限、検索機能、保存期間などが事務処理規程と実際に合っているか確認しましょう。
その際、電子取引のみに限らず、帳簿データなども電子帳簿保存法の要件に合っているか確認すると安心です。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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事務処理規程を適切に作成すれば、電子取引データの真実性の確保要件を満たすことができます。
規程の作成にあたっては、実務での運用可能性を十分に考慮し、作成後も定期的に見直しを行うことが重要です。
今回の記事を参考に自社の実態に合った事務処理規程の作成を進めてみてください。

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