他の中小企業の経理担当者はどうしてる?あなたの気になるその疑問を調査しました!
はじめに
企業の数だけ経理業務は存在しますが、他社の経理担当者の実態を知る機会はなかなかないのではないでしょうか。
中小企業や小規模事業者では1人あるいは少人数で経理業務を担っているケースが多く、「自社の業務課題は他社にも共通するのか」「経理業務に課題を感じていても相談できる人がいない」「他社はどんな状況なのかを知りたい」といった声が多く寄せられていました。
そこで、企業で働く全国の経理担当者362名を対象に「中小企業の経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」というアンケートを実施しました。
数々の企業の経理業務の代行や、業務改善コンサルティングを手がける株式会社トラフィックエイジア代表取締役社長で、MJS税経システム研究所の客員講師でもある外波達也氏監修のもと、実務において感じている課題や経理業務に関する情報収集の状況、スキルアップの取り組み等について、経理担当者のリアルな声を明らかにしました。
東京都内の公認会計士・税理士事務所に勤務後、準大手訪問販売系商社で営業部、営業管理部(商品管理・債権管理)、広報部、経理部に従事。その後、コンサルティング会社に勤務し、経営コンサルティング、財務コンサルティングを手がける。2010年より株式会社トラフィックエイジア代表取締役。管理系の業務代行や業務改善コンサルティングを行う。豊富な現場経験を生かし、経理・月次決算、給与計算・労務管理、財務管理、商品・流通管理などの支援を行っている。
調査項目
全527件の回答のうち、会計事務所の方や経理担当者ではない方からのアクセスもいただきましたが、今回は企業の経理担当者にしぼり、さらに同じ回答者からの重複回答を除いた362件の回答を調査対象としました。
選択式と自由記述の形式で以下の設問に答えていただきました。
- ・あなたのお勤め先の業種を教えてください。
- ・あなたのお勤め先のある都道府県を教えてください。
- ・あなたのお勤め先の形態として当てはまるものを教えてください。
- ・あなたのお勤め先の従業員数を教えてください。
- ・あなたのお勤め先の年商を教えてください。
- ・お勤め先でのあなたの役職を教えてください。
- ・あなたは経理・財務に何年従事していますか。(過去の勤務先も含む)
- ・あなたのお勤め先では経理・財務に従事している人は何人いますか。
- ・あなたは、経理・財務のほかの職種を兼務していますか。
- ・あなたが経理・財務のほかに兼務している職種をすべて教えてください。
- ・あなたが従事している業務をすべて選択してください。
- ・現在、従事している業務の中で感じている困りごとについて、3つまでカテゴリを選択してください。
経理担当の方には回答が気になる設問があったのではないでしょうか。
これらの設問で得た回答を図解し、傾向や状況などをまとめた資料を作成しました。当サイト経理ドリブンの無料メールマガジンにご登録いただいた方は無料ダウンロードが可能です。
本記事では調査結果の概要の一部をご紹介させていただきます。
調査概要
-回答者プロフィール-
- ・勤め先の企業の上場状況は、非上場会社ほか(公益法人などを含む)が83.7%
- ・年商20億未満の企業に勤める人が全体の53.2%
- ・従業員数100名未満の企業に勤める人が約半数
- ・従業員数が99人以下の企業では経理担当者の人数は1人または2~3人、従業員数が100名以上の場合には経理担当者2名以上が大多数(図表1)
-実務の困りごと(全体)-
- ・実務の困りごと(図表2)について、全回答の最多は「伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」の27.3%、「従業員の経費精算」(21.3%)、「給与計算」(16.6%)の回答も多い傾向
- ➡発生頻度や件数が多く、労務管理や所得税など複雑な知識が必要、かつ期日厳守の業務において根強く課題あり
・2番目に票を集めたのは「法制度改正への対応」で24.9%- ➡インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、令和6年所得税・個人住民税の定額減税への対応による経理担当者の負担増加が背景にある
・「経営分析」「予算編成」「原価計算」「管理会計」がいずれも8~9%- ➡未来志向の管理会計の要素であり、データに基づいて着実な経営を行うという意識の表れ
多くの人が困りごととして挙げている「1.伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」「4.従業員の経費精算」「7.給与計算」のように、発生頻度や件数が多く、労務管理や所得税など複雑な知識が必要で、かつ期日厳守の業務において、根強く課題があるようです。正確性と迅速性が求められ、効率化への工夫で課題解決が望める業務です。
さらに、「22.法制度改正への対応」が24.9%と目立ちます。これは、近年、特にインボイス制度や電子帳簿保存法への対応、令和6年所得税・個人住民税の定額減税などによって経理担当者への負担が増えたことが背景にあります。
注目したいのは、「14.経営分析」「15.予算編成」「20.原価計算」「21.管理会計」がいずれも8~9%ほど挙がったことです。中小企業は、事業を行った後の法人税などの計算のための税務会計が主だといわれていますが、ここに挙がったものは、いずれも未来志向の管理会計の要素です。これからは、経営分析や予算実績管理、原価計算による適切な価格設定をするなど、データに基づいて着実な経営を行うという意識の表れでしょう。
また、自由記述のコメントを見ると、システムを使いこなせていないことに課題を感じている回答者が見受けられました。システムを適切に活用するためには、社内ルールの整備が必要であり、ノウハウが求められます。
各企業の経理担当者様
いかがでしたでしょうか。このように全国の経理担当者のアンケートをもとにこれだけのことがわかりました。本記事では一部のみの紹介でしたが、資料には全アンケートの集計結果とその考察を掲載しております。
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他の企業の経理業務の現状を知りたいご担当者の方々は是非ご一読ください。