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ITDX 2024/03/26

AIの活用で経理業務はどう変わる?担当者が求められることとは

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AIの進化は、経理業務にも革新をもたらしています。
業務にAIを活用することで大幅に業務効率が向上する一方、柔軟な対応が求められる側面もあり、情報は常にアップデートしていかなければなりません。
今回は、経理業務におけるAIの活用について解説します。

経理業務におけるAIの役割

AI(Artificial Intelligence)とは一般的に、言葉の理解や推論など、人間の知的活動をプログラムで再現したコンピューター技術を指すとされています。
ただし、AIには明確な定義は存在していません。
AIは、機械学習や深層学習を通じて大量のデータから自ら学習し、パターンを認識して自動で意思決定や予測を行うという特徴があります。
企業実務では、AIが持つ「人間の知能を真似る」、「過去のデータから学習する」、「推論に基づいて問題を解決する」などの能力が活用されています。
AIの進化は、今後の経理業務においても業務内容を大きく変革する可能性を秘めています。


経理業務においてAIが得意とすべきこと
経理業務において、AIは以下のような内容に活用できるとされています。

データ処理
蓄積された大量のデータを分析し、規則性を発見するなどの処理がAIの得意とする分野です。
これは費用の分析や将来の売上予測などにも活用することができます。

定型業務の自動化
データ入力、帳票作成など、処理内容が毎回ほぼ同じである定型業務については、AIを活用することで作業を自動化し、効率化することができます。


経理業務においてAIが不得意なこと
一方で、以下のような業務については、現時点のAIでは完全に対応することはできません。

高度な判断が必要となる業務
例えば、会社の方針に基づいた決裁や調査、税務申告など、状況に即した判断や専門知識が必要な業務は、まだAIにとって難しい領域です。

対人コミュニケーション
経理業務においては、従業員や取引先とのコミュニケーションが欠かせません。
AIにもチャット機能はありますが、人間の感情や意図を正確に理解するAIは高価なケースが多く、簡単に導入するのは難しい状況です。


経理業務におけるAI導入のメリット
ここまでの内容を踏まえると、経理業務でのAIの活用には以下のようなメリットあると考えられます。

データ処理の効率化とコスト削減
AIは大量の情報を高速かつ正確に処理する能力を持っています。
経理業務では、多くのデータを扱う作業や、繰り返し作業を行うことが多くありますが、こうした作業もAIの活用によって効率化することができます。

作業の標準化と属人化の回避
簡単なデータ処理や分析作業については、AIの学習機能を活用することで、特に専門的な判断を介さずに行うこともできるようになります。
経理業務での例を挙げると、経費計上では経理担当者が領収書を確認して勘定科目を検討する必要がありましたが、過去の取引先や仕訳の内容を学習すればAIにもその役割を担うことが可能となります。
これにより専門外の人材の業務範囲が広がり、経理担当者はより専門的で高度な業務に集中することができます。

企業状況の分析と意思決定の支援
AIは膨大なデータから傾向やパターンを抽出し、予測分析を行うことも可能です。
その処理速度は人間の比ではなく、また短時間で何度も行えるため、経営者はAIが抽出したデータをよりスピーディーに確認し、経営戦略に役立てることができます。

経理・総務業務の現場でのAIの活用例

では、経理業務、または総務業務におけるAIの活用例を具体的に見ていきましょう。


既に使えるAIの活用例
まずは現在既に使うことのできるAIの活用例を紹介します。

自動仕訳や帳簿作成
自動仕訳とは、これまでの取引で登録された仕訳や、あらかじめ設定された仕訳をAIが記憶・分析し、新たな仕訳を自動で行うものです。
会計システムによっては、仕訳入力後に帳簿作成まで行ってくれるAIが搭載されているものもあります。

AI-OCR
OCRとは「光学文字認識技術」といい、紙に書かれた文字を読み取り、デジタルの文字データに変換する技術のことです。
OCR技術自体はこれまでもありましたが、AIと組み合わせることにより読み取り精度が格段に向上し、手書きの文字など、これまでのOCR技術ではうまく認識できなかった文字情報についても対応できるようになりました。
経理・総務業務では、領収書など手書きで書かれた書類をPCに入力しなければならないことが多々あります。
こうした場面でAI-OCRを活用することで、入力作業の工数を大幅に削減できるほか、人的な入力ミスを防ぐこともできます。

※関連記事:AI-OCRとRPAを組み合わせたデータ入力作業の自動化は、これからの経理業務をどう変えるか?

仕訳の最適化
AIは大量の会計仕訳の中から、異常な処理が行われているものがないか確認し、最適な処理を提案することもできます。
人を介したチェックよりもはるかに素早く正確に確認作業を行ってくれるため、安定した業務を行うことができます。

※関連記事:AIを活用した仕訳チェックで、経理部門の業務効率化、正確性向上、決算早期化を実現しよう!


今後期待されているAIの活用例
AIの技術は急速に進歩しており、今後もさらなる活用が期待されています。
経理・総務業務では、以下のような活用例が考えられています。

データ分析
AIは大量のデータを高速で解析し、有益な情報を抽出することができます。
これにより、将来は企業の経営戦略の策定や業績の予測など、より重要度の高い業務に向けて効果的な提案ができるようになると考えられています。

リスク管理
AIは過去のデータや市場動向を蓄積・分析し、リスク要因を高い精度で予測することができます。
これを活かしたリスク管理システムによって、企業が直面する様々なリスクを素早く検知できるようになると予想されています。

予実管理
AIは膨大なデータを分析し差異を検出するのも得意です。
今後は、AIが予算と実績の差異を検出し、異常がある場合には適切な対策を提案するようになるとも考えられています。
このようなAIを活用した予実管理は、経理・総務だけでなく管理会計や経営企画にも役立つものとなるでしょう。

これからの経理人材にとって必要なこと

AI導入によるメリットは多い一方で、留意しておくべき点もあります。


AI導入において検討すべき内容
AIの導入には多くのメリットがありますが、同時に企業や従業員が検討しなければならないことも存在します。
経理業務でAI活用を成功させるには、これらに対して適切な対策を行い、企業全体でAIの活用に向けた意識付けを行うことが重要です。

AIの初期投資と維持費用
AIを導入するには、十分な初期投資や導入コストが必要です。
高度な技術を要するなど、AIの精度によっては導入だけでなく運用やメンテナンスに大きなコストがかかることもあります。
ただし、経理業務で使用する会計や労務に特化したシステムの中には気軽に導入できるものもあります。
導入の目的と予算を考え、自社にどのようなAIが必要か慎重に調査し、検討することが重要になります。

人の関与・対応の必要性
AIの導入により、既に多くの企業で従来の業務プロセスが変化し、従業員が果たす役割も変わってきています。
しかし、現段階ではAIがすべての業務を自動化できるわけではないため、人間の関与が必要な業務も残ります。
経理・労務担当者は、AIとの協働に向けて役割分担を検討する必要があります。

業務プロセスの変化への適応
業務の自動化によって従業員の役割が変わる可能性は大いに考えられるため、企業は、今後を見据えた適切な人材配置や、従業員に対するスキルアップの支援を行うことが求められます。
また、AIの導入により変化した業務プロセスに、従業員自身も適応していく意識を持つ必要があるでしょう。


これからの経理人材に必要なこと
AIの導入によって、経理業務の環境や作業内容が変化するに伴い、担当者が身につけるべきスキルや取り組むべきことも変化しています。
それでは、これからの経理人材にはどのようなことが必要とされているのでしょうか。

テクノロジーへの理解と活用能力の向上
経理担当者は、AIやデータ分析ツールなどを理解し、活用する能力を身につける必要があります。
これにより、AIとの共同作業が可能になり、データを適切に取り扱うこともできるようになります。

問題解決能力と柔軟性の向上
経理担当者は、AI導入後の新たな課題や変化に対応し、問題解決していく必要があります。
必要に応じてトレーニングを行ったり、こまめに打ち合わせを設けたりするなど、柔軟な動きが求められるでしょう。

コミュニケーション能力の向上
AIの導入で経理担当者の役割や業務内容が変化しても、他部署や上司との円滑なコミュニケーションは引き続き重要です。
人とのコミュニケーションはAIが苦手としている部分でもあるため、「人にわかりやすい説明」や「意見を積極的に伝える能力」などは人間側に求められることになります。
コミュニケーション能力を高めることでAIの仕事を補完し、効率的に業務を進めることができるでしょう。

スキルの多様化と自己成長への意識
AIによる一部業務の自動化により、今後の経理担当者は、より高度で戦略的な業務に関わることが増えると予想されます。
そのため、自らのスキルセットを多様化させ、常に自己成長を意識することが求められます。
業界のトレンドや最新技術に敏感になり、積極的に学び続ける姿勢が重要です。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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経理業務におけるAIの活用は、業務効率化を中心に多くのメリットをもたらします。
その過程で生まれた課題に対して、担当者は柔軟に対応していく必要があります。
AIの活用を成功させるために、新たなスキルや意識を身につけていくとよいでしょう。

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