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業務全般スキルアップ/キャリアアップ 2022/01/19

経理とは?実際の仕事内容や会計・財務との違い、年間スケジュールを徹底解説(新米経理の会計奮闘記第13回)

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新米経理の会計奮闘記 登場人物
  • 山本理子

    ようやく経理担当になったものの、分からないことだらけ。毎回様々な経理問題に頭を悩ます。曲がったことが大嫌い。

  • 吉田経男

    毎回経理問題を引き起こす営業部員。おっちょこちょいでずる賢い一面もあるが、本当はやさしい男。

  • 会計仙人

    突如現れて、会計問題をわかりやすく解説してくれる謎の仙人。仏陀の会計担当だったらしい。

経理業務は、会社経営に必要不可欠な業務であり、その重要性は広く認識されています。しかし、そもそもの役割や業務内容、スケジュール感については「具体的にイメージできない」という方も意外と多いのではないでしょうか。
今回はこのような方に向けて、経理業務の具体的なイメージを紹介していきます。
経理業務に興味のある方はもちろん、会社員としても経理業務を知ることは、自分の勤めている会社の経営状況をより深く考える機会となるので、ぜひチェックしてみてください。

経理業務をうまく説明するためには…


「あれ、また悩んでるみたいだけれど、今日は何の悩み?」
パソコンとにらめっこしたまま動かない理子に、吉田が声をかける。

「今、来期の新入社員向けに経理の業務内容を説明する資料を作っているんですよ」

「へぇ!でも、経理の仕事も板についてきたって感じだし、そういう資料作成なら得意なんじゃないの?」

「それがそうでもなくて。いざ簡潔に説明しようとすると、なかなか難しいんですよね」

「なるほどね。そういうときはアレじゃない?」

「やっぱりそうするしかないですよね。
せーの、」

「会計仙人―!!」

「こらこら、人を便利屋のように呼ぶでない!」
いつものように、どこからともなく会計仙人が現れた。

「そんなこと言っちゃって、本当は嬉しいんじゃないの?」

「ば、馬鹿にするでない!せっかく来てやったというのに…」

「馬鹿になんかしてません!頼りにしてますよ。
…ということで早速教えてください!仙人のことだから、どうせ悩みの内容はお見通しなんでしょ?」

「仕方がないのう。
では、未経験の者にもわかりやすい経理の業務内容をまとめていこう」

「なんか勉強になりそうだし、俺も聞いていこうかな。
ついでに資料の作り方もアドバイスしてあげるよ。
営業用のプレゼン資料なら山ほど作ってるしね」

「本当ですか?2人とも、よろしくお願いします!」

経理の概要と具体的な業務内容

「まずは、『経理とはなんぞや』を一言で言えた方がいいんじゃない?」

「えーっと、経理とは…帳簿を付けたり、経費の精算をしたりする業務のこと、かな?」

「いやいや、それは具体的な業務内容じゃろう。
もっと大きな役割で捉えてみよ」

「それなら…会社のお金の流れを管理する業務、とか?」

「うむ。なかなかよいぞ。
会社は利益を生み出すために、日々の取引などを数値化して正確に管理する必要がある。
そのために必要な対応を行っているのが経理部門じゃからな」

「『会社のお金の流れを管理する業務』か。わかりやすいね!」

「ちなみに『経理』とは『経営管理』の略称なんじゃよ」

「正式名称で考えると、経営方針に関係する重要な業務だということがよくわかりますね」

「ホント、経営管理って聞くと、経理がいかに重要なのか再認識させられるね。
で、その経営管理部門の具体的な業務っていうのはどんな感じ?」

「代表的なものを洗い出してみたんだけれど、どうかしら」

  • 帳簿付け
  • 経費の精算
  • 日々の仕入れ・売上の管理
  • 税金の計算や納付
  • 決算書の作成
  • 領収書や請求書の発行
  • 預金管理
  • 伝票管理 など

「うむ。大体の項目はそんなところじゃな。
ただし、企業規模や状況によって業務内容や担当部門は異なる場合があるから注意が必要じゃ」

「こうして見ると、経営陣だけでなく従業員にも関わりのある部分が多いよなぁ。
改めて、会社が経営を続けていくためにどれだけ重要な仕事なのかってのがわかるね」

「えぇ。
経理業務とは、『会社が健全な経営と成長を続けるために、会社のお金の流れを管理する業務』だとまとめることができますね」

会計や財務との違い


「経理についてはうまくまとめられたけれど、会計や財務は、またちょっと違うんですよね?
その違いもうまく説明できたらいんだけれど…」

「一つずつ順を追って説明していくのがいいじゃろう。
経理についても、もう少し細かく定義する必要があるぞ」

「確かに、会計も財務もみんな、お金を取り扱う業務だものね」

「そうじゃな。
その中でも『経理』は、先ほど例に挙げた仕訳や記帳など、日々のお金の流れを正確に把握するための記録と管理をする業務と言えるのじゃ。」

「なるほど!
じゃあ会計はその記録をさらにまとめる、みたいな?」

「方向性は間違っておらん。
『会計』は、経理が記録したデータを使い、資産状況などの経営や分析に関わる記録を行うのじゃ。
では『管理会計』と『財務会計』の違いはわかるかの?」

「えっと、『管理会計』は会社のために経営分析してデータを出すことかな?
で、決算報告とか税金関係の処理とか、社外向けのことは『財務会計』みたいな感じですかね?」

「まぁおおざっぱに言えばそんな感じではあるがの。
決算や税金など、制度に従った集計方法で行う会計を『財務会計』という。
しかし、財務会計だけでは、実際の経営分析をしにくいことも多いので、会社のビジネスモデルや組織構造などに応じた自社なりの集計方法も別途必要になる。
それが『管理会計』というわけじゃ。」

「なるほどね。でも、わざわざ経理とか会計とかって分けなくても、分析や情報提供まで経理担当者がまとめてやっちゃった方が早かったりしない?」

「吉田にしてはなかなかするどいの。
実は、お前の言う通りなのじゃ。
よく似ている業務であることから、企業規模などによって経理業務と会計業務の作業を一貫して行うことも多いのじゃよ。
中には経理と会計を明確に区別していない会社もある」

「なるほどね。それぞれ役割は違うものの、会社によっては一緒に業務を進めることもあるってことか」

「次は『財務』ね。
財務は、将来の事業計画を元に、資金調達や資産運用を企画する業務…って感じでいいですか?」

「うむ。いい感じに整理できてきているではないか。
財務は、経理や会計よりも、さらに経営者目線にならないといけない業務とも言えるの」

「経営者目線なんて、ハードル高すぎるんじゃない?」

「金融機関からお金の借り入れや、株式発行による資金調達、予算の管理、M&Aなどによる資金の運用と言ったところが財務の主な業務内容になってくるからの。
会社の命運を握っている業務と言っても過言ではない」

「なるほど。そこまで考えて行動するとなると、経営者目線にもならないといけないわけね」

「財務の場合は、企業によって財務担当者を設けず、経営層が直接担うことがある。
ただ、財務活動を行うには経理が作った帳簿などが必要なことから、経理との結びつきは切っても切れない業務なのじゃ」

「だいぶ整理できてきたわ!
2人ともありがとうございます!」

※関連記事:経理担当者必読!財務会計と管理会計の違いとは

経理の年間スケジュール


「あとはさ、俺が思うに具体的な年間のスケジュール感とかがあった方がいいんじゃない?」

「なるほどね、経理業務は月次業務や年次業務が多いものね」

「会社の規模や決算月によってばらつきはあるが、ざっくりとした経理の年間スケジュールを提示するのは妙案じゃ。
しかし、年間の前にまずは1ヶ月間の業務内容を大まかに整理してみよう」

「月内でやることが明確になっていると、スケジュールが立てやすそう」

「月の前半と後半に分けて考えると、さらにわかりやすいじゃろう」

■経理の月次業務内容
月次前半 取引先への支払い・入金確認 期日までに買掛金の支払い、売掛金の入金が行われているかの確認
月次決算書の作成 毎月の会社の損益や財産の状況を把握
予算管理表の作成 企業の予算と実績を管理することで、月の達成率の差異を評価
住民税や所得税の納付 社員から預かった住民税や所得税の支払い
月次後半 経費精算 社員が立て替えた経費の精算
領収書や請求書の発行 取引先企業への領収書や請求書の作成
社会保険料の納付 社員から預かった社会保険料の納付

「同じ納付でも住民税と所得税、社会保険料が別々に支払われているのは、住民税と所得税には毎月10日を目安に納付する決まりがあるからじゃ」

「業務の流れを把握することで1ヶ月の間で何をしけないといけないか整理しやすいわね」

「営業も月初、中間、月末でやることが決められているけど、どんな仕事でも同じなんだなぁ」

「この調子で、年間スケジュールも見ていこう」

「はーい!」

「今回挙げる年間スケジュールは、3月決算の会社の場合のスケジュールじゃ。
会社によっては、9月決算や、1月決算なんていう会社もあるな」

「決算時期はどうやって決まるんだろう」

「明確な判断基準はない。それこそ、会社の都合によって決められているのじゃ」

「細かい業務内容は会社によって違うと思うけれど、大体の流れは一緒と考えていいのよね?」

「その通り。時期や詳細な対応は違えど、やらなければならない業務の流れに大きな差はないのじゃ」

■経理の年次業務内容(3月決算の企業の場合)
4月 決算整理 3月末に棚卸しで明らかになった在庫と帳簿残高を確認し差異があれば調整する。
また年度中の取引で不明な入出金などがあればその原因を調べ、正しい会計処理をする。
5月 株主総会の準備 6月に開催される株主総会の準備。
そのための年次決算書の作成などを行う。
各種税務の報告 法人税・消費税・法人事業税・法人住民税の確定申告書を作成し、各所定の税事務所・市区町村へ提出する。
6月 個人住民税の納付 納期の特例の適用を受けている場合は6月10日までに従業員から預かった個人住民税の納付を行う。
7月 労働保険の更新 労災保険と雇用保険を併せて『労働保険』と呼び、年1回7月に申告・納付を行う。
8月 1年の中でも、最も落ち着く期間。
9月
10月
11月 税務の中間申告 法人税・法人事業税・法人住民税・消費税の中間申告と納付。
12月 年末調整
※企業によっては人事労務が担当
該当年度の1~12月の間に徴収した所得税を年間所得に応じ計算し場合に応じ、還付・追加徴収が決まる。
1月 固定資産税の償却資産に関する報告 毎年1月1日時点で保有している償却資産の内容を各都道府県税事務所に提出する。
2月 大規模事業者に関しては消費税の中間申告と納付を行う。
3月 実地棚卸し 決算日当日か決算日直前に在庫の現物を調べ、明らかにする。
実地棚卸しは4月に行う決算整理に向けての手続きを行う。

「年間スケジュールはざっとこんなもんじゃ。
ただし、この表にまとめた業務は主要なものだけで、これ以外もいろいろな業務がある。
また、さっきも言った通り、企業規模によって業務内容が変わることもあるぞ」

「改めて見ると、年間を通してやることがたくさん!」

「こうして業務内容を整理してみると、経理が会社経営にとって大切なポジションだということもうなずけるじゃろう」

「本当ね。どれも欠かせないことばかりだわ」

「でもこれを見せちゃったら、新入社員にプレッシャーになっちゃったりしないかな?」

「ほっほっほ。誰もが初めからすべてできるわけではないわい。
業務をたくさんこなし、覚えていくことでどんどんキャリアアップにつながる。
単純作業としての仕事をするのではなく『プロフェッショナル』を目指し、自分の目指すキャリアパスをイメージすることが大切なのじゃ」

「最終的には、経理担当者としての心構えや立ち位置、目指すキャリアパスを描けるような資料にすればいいわね。
それにしても、経理ってやっぱり格好いい!
改めて、私も会社を支えられる経理担当者になりたいと思ったわ!
ありがとうございます、仙人!」

「そうじゃ、その意気込みじゃ。なんせ、経理担当者は会社の中枢と言っても過言ではないのだからな。」

「それに、吉田さんも今日は頼りになったわ~。
ありがとうございました!」

「どういたしまして!
俺も営業として、会社に貢献できるようにますます頑張らないとね」

「そうじゃ。会社の成長は、社員の成長の証。これからもがんばるのじゃぞ。」

「はーい!」

**********

経理職は会社の中枢核と言っても過言ではない職務です。ただの事務作業と思って仕事をするのではなく、より一歩踏み出して『経営者目線』で会社経営と向き合うことが重要です。
また、仕事を通じて自身がスキルアップできる業務でもあります。幅広い業務を担うことにより専門的な知識を習得することもできますし、より上位のキャリアパスを望むのであれば、資格の取得に挑戦してみることもできますよ。

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