「売掛金」、「買掛金」は、代金の回収、支払いを、商品やサービスを販売した時点ではなく、別のタイミングで行う「掛取引」の際に発生する勘定科目です。基本的には、取引に対する「契約書」において請求や支払いの手段とともに期日が定められていますが、小規模な取引では契約書をかわさず、請求書に「入金期日」が記載されているだけの場合もあります。
売掛金は提供したサービス・商品の対価を支払ってもらえる権利であることから「債権」、買掛金は、受け取ったサービス・商品の対価を支払う義務があるため「債務」とも呼ばれます。
経理/財務会計処理 2020/03/10
支払遅延や貸し倒れ。売掛金を巡るトラブルと回収方法
入金期日を過ぎても入金されず、長期間「売掛金」のままになっている項目は、経理担当者にとって悩みの種なのではないでしょうか。売掛金はできる限り早く回収したいものの、取引先の都合で後回しに…というケースも珍しくありません。だからと言って待っているだけ、というのは厳禁で、実は売掛金には時効があるのです。
今回は、売掛金の支払遅延と代表的な回収方法ついて解説します。
売掛金とは
売掛金の支払遅延(滞留)の原因
期限を過ぎても入金されず、帳簿上に売掛金の勘定科目が残り続けることを「売掛金の滞留」といいます。これは自社と取引先、どちらも原因となることがあります。
自社都合による原因
想定外の値引処理があったり、返品、計上ミスなどの理由で取引がスムーズに行われなかったりした場合、期限を過ぎても売掛金を帳簿上で処理できません。営業の請求漏れ、納品書送付漏れが原因となる場合もあります。こういったケースは営業と経理部の連携不足であることがほとんどなので、注意しなくてはなりません。
取引先の都合による原因
取引先に対して正しく請求や納品の手続きをしているにも関わらず、売掛金の支払いが遅れている場合、取引先が売掛金(取引先にとっては買掛金)の処理を忘れている「支払忘れ」、商品に欠陥があるなど自社側の瑕疵(かし)による「支払意思の欠如」、取引先の資金繰りの事情による「支払能力低下」の3点が考えられます。
支払忘れや支払意思の欠如については、催促や担当者同士の話し合いで解決できることが多くあります。その一方、支払能力が低くなっている場合、早急に行動しなければ売掛金が回収できなくなってしまう「貸し倒れ」のリスクが高まります。
自社都合による原因
想定外の値引処理があったり、返品、計上ミスなどの理由で取引がスムーズに行われなかったりした場合、期限を過ぎても売掛金を帳簿上で処理できません。営業の請求漏れ、納品書送付漏れが原因となる場合もあります。こういったケースは営業と経理部の連携不足であることがほとんどなので、注意しなくてはなりません。
取引先の都合による原因
取引先に対して正しく請求や納品の手続きをしているにも関わらず、売掛金の支払いが遅れている場合、取引先が売掛金(取引先にとっては買掛金)の処理を忘れている「支払忘れ」、商品に欠陥があるなど自社側の瑕疵(かし)による「支払意思の欠如」、取引先の資金繰りの事情による「支払能力低下」の3点が考えられます。
支払忘れや支払意思の欠如については、催促や担当者同士の話し合いで解決できることが多くあります。その一方、支払能力が低くなっている場合、早急に行動しなければ売掛金が回収できなくなってしまう「貸し倒れ」のリスクが高まります。
売掛金の時効
売掛金は、期日までに回収することが大前提です。例えば取引先が支払忘れの常習犯という場合は、クレジットカード払いに支払方法を変更してもらうなどの対策が必要です。しかし取引先の支払能力低下が原因となると事態は深刻です。この場合、取引先の経営状態の改善を待つことも一つの手段ですが、売掛金には民法による規定で時効があるので注意してください。
■売掛金の時効(支払期日の翌日から起算する)
なお、要件を満たすことにより、時効の完成を先延ばしにする「時効の完成猶予」や、時効をリセットする「時効の更新」を行うこともできます。
■売掛金の時効(支払期日の翌日から起算する)
具体例 | 時効期間 |
---|---|
|
1年 |
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2年 |
|
3年 |
その他 | 5年 |
なお、要件を満たすことにより、時効の完成を先延ばしにする「時効の完成猶予」や、時効をリセットする「時効の更新」を行うこともできます。
売掛金の回収方法
先述の通り、売掛金の入金期日は契約によって異なるため、それぞれの取引における入金期日はしっかり管理しなければなりません。
万が一、期日となっても入金されていないようであれば、取引先に連絡して状況を聞きましょう。その際、取引先の都合で売掛金を回収できず、入金の見込みも立たない場合は、以下のように働きかけていきます。
■ステップ1:取引停止
売掛金の未回収金額を増やさないよう、遅延が発覚した時点で取引停止とするのが望ましいです。経理担当者の判断だけでは実施できないことも多いので、まずは速やかに未回収金があることを関係者に共有します。
■ステップ2:売掛金と買掛金の相殺
取引先と、自社の間に債務がある場合、お互いの売掛金と買掛金を相殺して回収する「売掛金と買掛金の相殺」という方法があります。この場合、自社が負っている取引先との、買掛金の支払手続きが停止されます。
■ステップ3:商品の引き揚げ
取引先にまだ商品が残っている場合は、それを引き揚げることで資金回収を促します。ただし、取引先の承諾を得ずに勝手に引き揚げることはできません。商品を引き揚げる際は、必ず取引先と交渉して了承してもらうか裁判所での手続き後に行いましょう。
■ステップ4:内容証明郵便の送付
「売掛金と買掛金の相殺」や「商品の引き揚げ」に取引先が協力しない場合、「内容証明郵便」による支払いの督促をします。内容証明郵便とは第三者である日本郵便が郵便物の内容や宛先などを証明してくれる制度です。字数制限などのルールはありますが、内容を5年間、保管してもらうことができます。これにより通常の郵便で支払いを請求した際に、取引先から「受け取っていない」と言われるリスクを回避できます。
※参考リンク:日本郵便「内容証明」
■ステップ5:訴訟・法的手段
取引先がどうしても支払いに応じない場合、弁護士を通じた訴訟・法的手段をとることになります。(内容証明郵便を送付する時点で弁護士に依頼することもあります。)法的手段にも段階があり、まずは取引先の財産の「仮差押さえ」を行います。次に訴訟にて裁判所に判決を下してもらい、最後に強制執行によって債権を回収することになります。
万が一、期日となっても入金されていないようであれば、取引先に連絡して状況を聞きましょう。その際、取引先の都合で売掛金を回収できず、入金の見込みも立たない場合は、以下のように働きかけていきます。
■ステップ1:取引停止
売掛金の未回収金額を増やさないよう、遅延が発覚した時点で取引停止とするのが望ましいです。経理担当者の判断だけでは実施できないことも多いので、まずは速やかに未回収金があることを関係者に共有します。
■ステップ2:売掛金と買掛金の相殺
取引先と、自社の間に債務がある場合、お互いの売掛金と買掛金を相殺して回収する「売掛金と買掛金の相殺」という方法があります。この場合、自社が負っている取引先との、買掛金の支払手続きが停止されます。
■ステップ3:商品の引き揚げ
取引先にまだ商品が残っている場合は、それを引き揚げることで資金回収を促します。ただし、取引先の承諾を得ずに勝手に引き揚げることはできません。商品を引き揚げる際は、必ず取引先と交渉して了承してもらうか裁判所での手続き後に行いましょう。
■ステップ4:内容証明郵便の送付
「売掛金と買掛金の相殺」や「商品の引き揚げ」に取引先が協力しない場合、「内容証明郵便」による支払いの督促をします。内容証明郵便とは第三者である日本郵便が郵便物の内容や宛先などを証明してくれる制度です。字数制限などのルールはありますが、内容を5年間、保管してもらうことができます。これにより通常の郵便で支払いを請求した際に、取引先から「受け取っていない」と言われるリスクを回避できます。
※参考リンク:日本郵便「内容証明」
■ステップ5:訴訟・法的手段
取引先がどうしても支払いに応じない場合、弁護士を通じた訴訟・法的手段をとることになります。(内容証明郵便を送付する時点で弁護士に依頼することもあります。)法的手段にも段階があり、まずは取引先の財産の「仮差押さえ」を行います。次に訴訟にて裁判所に判決を下してもらい、最後に強制執行によって債権を回収することになります。
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