いつになく不機嫌な様子の理子。腹の底にうずたかく積もったストレスを覆い隠すべく一心不乱に伝票作業に勤しんでいる。そこへ、営業部の吉田経男が現れた。
新米経理の理子が入社以来担当している業務のひとつが小口現金精算である。
しかし、毎日の残高確認や帳簿合わせなど面倒な作業の連続で消沈している。
と、その時、どこからともなく重厚な太鼓が鳴り響き、うっそうとした霧に包まれた仙人が舞い降りてきた。
会社にとってのメリットと問われて戸惑う理子。
今まで自分にとってのメリットしか考えたことがなかったのだ。それは吉田も同様だった。
【小口現金精算のメリット・デメリット】
- メリット
- ○その都度精算してもらえる
- デメリット
-
○その都度現金精算するのが手間
○会社に金庫を置くことの盗難リスク
○毎日金庫の残高を合わせる必要がある
○お釣り用の小銭を用意するのが面倒
○現金の数え間違いなどミスを誘発
○本社から拠点の金庫が管理できない
「あれ、なんか落ちてる」と理子は会計仙人が立っていた場所に落ちているパンフレットを拾いあげた。
そのパンフレットには会計システムの導入によって、小口現金精算をやめたM社の事例が載っていた。
M社が抱えていた課題
○事務所に金庫を置くリスクが不安
○その都度、精算する経理業務が負担
○毎日帳簿を合わせる必要があった
○本社から拠点の金庫の中が見えず内部統制上問題だった
○現金を扱うので数え間違えなどが多かった
改善ポイント
○拠点に金庫設置をやめ、精算処理は本社経理部から従業員の口座へ直接振込に変更
○紙による経費精算をやめ、各社員がシステム上での電子申請を行うようにした
○従業員の入力した申請データが自動的に仕訳されるシステムを構築
○これまで使っていた紙の経費精算書のフォーマットをシステム画面上で再現
導入効果
○精算処理を一括銀行振込に変更し、業務負担が大幅に軽減された
○金庫の残高や帳簿合わせのルーティン業務がなくなった
○本社一括の精算処理にしたため内部統制の強化につながった
○従業員の申請が自動的に仕訳データになるので経理業務の負担が軽減された