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業務効率 2017/03/16

新米経理の会計奮闘記 第3回「小口現金精算なんて、もうイヤ!」

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新米経理の会計奮闘記 登場人物
  • 山本理子

    ようやく経理担当になったものの、分からないことだらけ。毎回様々な経理問題に頭を悩ます。曲がったことが大嫌い。

  • 吉田経男

    毎回経理問題を引き起こす営業部員。おっちょこちょいでずる賢い一面もあるが、本当はやさしい男。

  • 会計仙人

    突如現れて、会計問題をわかりやすく解説してくれる謎の仙人。仏陀の会計担当だったらしい。

新米経理の山本理子が社内で巻き起こる様々な経理問題に挑む会計奮闘記。
毎回、突如現れる会計仙人が経理問題を分かりやすく解説してくれるお悩み解決ストーリー、いよいよ第3回を迎えました。
「もうイヤなんです!小口現金精算なんて」おや、何やら理子の嘆きが聞こえてきましたね。
さあ、どんな騒動が待ち受けているのでしょう。会計仙人のご託宣はいかに?!

小口現金精算はもう古い?

いつになく不機嫌な様子の理子。腹の底にうずたかく積もったストレスを覆い隠すべく一心不乱に伝票作業に勤しんでいる。そこへ、営業部の吉田経男が現れた。

「理子ちゃん、これ、駐車場代の精算お願〜い」と吉田。

「さっき、ボールペン代精算したばかりじゃないですか。まとめて持ってきてくださいよ。ちまちま精算するの面倒なんですから」と理子はげんなりである。

「何言ってんのよ、それがお前の仕事だろうが」

新米経理の理子が入社以来担当している業務のひとつが小口現金精算である。
しかし、毎日の残高確認や帳簿合わせなど面倒な作業の連続で消沈している。

「もうイヤなんです!小口現金精算なんて」突然の半泣きである。

「大変なのはわかるよ。でも、新人が必ず通る道だからね。野球部の球拾いみたいなもんなのよ」と得意げな吉田。

「仕事なのはわかります。でも、ものすごく非効率だと思うんです。第一、昭和の野球部と一緒で古いです」

「汗と涙が染み込んだ俺たちの野球部を古いとは何だ!」

と、その時、どこからともなく重厚な太鼓が鳴り響き、うっそうとした霧に包まれた仙人が舞い降りてきた。

会計仙人、怒る!

「バッカも〜ん!」と珍しく怒号の会計仙人である。

「な、何ですかいきなり」と困惑気味の理子と吉田。

「わしは経理のもめ事を解決するためにこの世につかわされた身。その名を『会計仙人』と申す。かつては、仏陀の会計担当として・・・」

「あ、それもう分かってるから」と冷めた表情の理子。

「いいか、わしが怒っているのは、お前がグチばかり言っていて改善策を提案しないからじゃ。いいか、長い歴史を通じて、グチが世の中を変えた例はない」

「月ごとに一斉振込にしましょうよ」とあっさり提案する理子。

「それは、困るよ。その都度精算できるのは営業にとっては助かるからね」と吉田。

「自分の都合ばかり考えていてはダメじゃ。いいか、小口現金精算を廃止するメリットを会社に提示するのじゃ。
自分たちにとってのメリットではなく会社にとってのメリットだぞ。
そして、小口現金精算の代替案を提案するのも忘れるな」

「会社にとってのメリットかぁ」と困惑気味の理子である。

小口現金精算廃止のメリットとは?

会社にとってのメリットと問われて戸惑う理子。
今まで自分にとってのメリットしか考えたことがなかったのだ。それは吉田も同様だった。

「面倒な業務がなくなるから、残業が減るわ」と理子。

「うむ。コスト削減につながるの」

「それから、小口現金精算業務がなくなった分、もっと大事な業務に力を注げるわ」

「うむ。業務効率化につながるの」

「精算のための金庫を社内に置いておくリスクがなくなるな」と吉田も参戦である。

「結果的に業務効率やコスト削減につながるわけじゃが、そもそも小口精算にはどんなメリット・デメリットがあるのか。一度整理してみたらどうじゃろう」

【小口現金精算のメリット・デメリット】
メリット
○その都度精算してもらえる
デメリット
○その都度現金精算するのが手間
○会社に金庫を置くことの盗難リスク
○毎日金庫の残高を合わせる必要がある
○お釣り用の小銭を用意するのが面倒
○現金の数え間違いなどミスを誘発
○本社から拠点の金庫が管理できない


「こうしてみると、小口現金精算のデメリットは多大じゃな」と会計仙人。

「ほんとですよ。なぜ廃止にならないのかしら」と理子も疑問を呈す。

「小口精算を廃止した場合のメリットと共に代替案を会社に提示する必要があるのぉ。
そうした項目をきちんと整理して企画書にまとめるのじゃ」

「各社員が立て替え払いをしておいて、1ヶ月ごとに振込精算とかどう?」と理子。

「んー、それだと結局誰がいくら立て替えたかひかえておいて、振り込んだかどうかもチェックしなくちゃならない。それほど業務効率化しないんじゃないの」と吉田。

「でも、その都度精算するよりマシですよ・・・あれ、会計仙人は」

「いつの間にかいねえじゃん」と吉田も驚きの表情である。

「あれ、なんか落ちてる」と理子は会計仙人が立っていた場所に落ちているパンフレットを拾いあげた。
「何だろう」と、理子はパンフレットを開いた。

そのパンフレットには会計システムの導入によって、小口現金精算をやめたM社の事例が載っていた。

M社が抱えていた課題
○事務所に金庫を置くリスクが不安
○その都度、精算する経理業務が負担
○毎日帳簿を合わせる必要があった
○本社から拠点の金庫の中が見えず内部統制上問題だった
○現金を扱うので数え間違えなどが多かった

「うちと同じじゃない」と興味を抱く理子。そして、システム導入による改善ポイントと導入効果に目を向けた。


改善ポイント
○拠点に金庫設置をやめ、精算処理は本社経理部から従業員の口座へ直接振込に変更
○紙による経費精算をやめ、各社員がシステム上での電子申請を行うようにした
○従業員の入力した申請データが自動的に仕訳されるシステムを構築
○これまで使っていた紙の経費精算書のフォーマットをシステム画面上で再現

導入効果
○精算処理を一括銀行振込に変更し、業務負担が大幅に軽減された
○金庫の残高や帳簿合わせのルーティン業務がなくなった
○本社一括の精算処理にしたため内部統制の強化につながった
○従業員の申請が自動的に仕訳データになるので経理業務の負担が軽減された

「これだわ!」目を輝かせる理子だった。

「ちょっと吉田さん、お茶お願〜い」パソコンに向かい企画書作りに励む理子。

「はいは〜い」吉田はすっかりアシスタント状態である。

「それにしてもさ、あの会計仙人って仏陀の会計担当だったんだろ。そんな大昔の仙人が、なんで最新の会計システムのパンフレットなんて持ってたんだろうね」と吉田はお茶をすすりながら、首をひねる。

「わしはのぉ、過去から未来まで自由に行き来できるんじゃよ、お前らの未来もすっかり承知の助けじゃよ」と会計仙人は雲間から意味深な笑みを浮かべるのだった。

**********
小口現金精算による精算処理は高リスクであることは、誰でも想像できるのですが、これまでのやり方を変えるのは難しいのも事実。
経理部門の業務には、こうした煩雑さと高リスクを抱えたアナログ業務があまたあります。
経理業務をいかに効率化していくか、その改善案を会社に提案していくのも経理部の大切な役割といえます。
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