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ITDX 2019/06/04

これからの経理に必要不可欠!?仮想通貨(暗号資産)の会計処理はこうする!

最近、ビットコインやビットコインキャッシュなど、「仮想通貨(暗号資産)」についての話題が大きく取り上げられる機会が増えてきています。一般的には「仮想通貨で儲ける方法」、「投資すべき仮想通貨とは」など資産を増やすための情報が注目されがちですが、経理担当者であれば「仮想通貨の会計処理方法」に関心がある方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、いつでも仮想通貨を適切に処理できるように、経理担当者が押さえておくべき情報と会計処理の方法について紹介します。
なお、今回の記事は法人を対象としています。法人と個人では処理が異なりますのでご注意ください。

仮想通貨の基本情報

仮想通貨は、インターネット上でやりとりされるデジタルデータの通貨です。国や政府が発行する「法定通貨」とは違い、実態となる硬貨やお札は存在しません。電子マネーと同じように考えられることもありますが、電子マネーは「第三者機関を通して法定通貨を電子的に決済するサービス」であり、両者は大きく異なります。

※関連記事:今、注目の仮想通貨、経理担当が知っておくべき基本とは!?

仮想通貨の代表格は「ビットコイン」です。これは2009年にサトシ・ナカモト氏によって考案された世界初の仮想通貨とされており、日本でも広く流通しています。その他、国内で流通している仮想通貨の中でも、経理の現場に近々姿を現す可能性が高いものは下記の通りです。

■国内で流通している仮想通貨
  • ビットコイン(BTC)
  • ライトコイン(LTC)
  • リップル(XRP)
  • ビットコインキャッシュ(BCH)
  • イーサリアム(ETH)
  • ネム(XEM)
  • ファクトム(FCT)
  • リスク(LSK)
  • イーサリアムクラシック(ETC)

仮想通貨の会計処理のポイント

仮想通貨の会計処理については、日本の会計基準を策定している「企業会計基準委員会(ASBJ)」が、2018年3月に「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」というルールを発表しています。表題にもある通り、暫定的な規定なので今後新しい会計基準が適用される可能性もありますが、しばらくは上記のルールに則って仮想通貨を会計処理する必要があります。そのポイントを解説していきましょう。

ポイント1:資金決済法に規定されている仮想通貨が対象
このルールでは、資金決済法第2条第5項に規定されている仮想通貨を対象とすることが定義されています。
具体的には、以下の条件を満たしている必要があります。
  • 不特定の者に対して代金の支払い等に使用可能で、かつ、法定通貨と相互に交換できる
  • 電子的に記録され、移転することができる
  • 法定通貨又は法定通貨建ての資産ではない(電子マネーやポイントは対象外)

ポイント2:企業会計基準委員会が定める仮想通貨用語の定義
「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」では、仮想通貨に関連する用語もそれぞれ定義付けています。
用語名 定義
仮想通貨交換業者 資金決済法第2条第8 項に規定する仮想通貨交換業者。
仮想通貨利用者 仮想通貨を利用する企業で、仮想通貨交換業者以外の者。
仮想通貨取引所 仮想通貨の買い注文・売り注文に基づいての取引を成立させるための交換市場のこと。
仮想通貨販売所 仮想通貨の購入価格・売却価格を提示して売買を行う交換市場のこと。
時価 市場における公正な評価を受けた取引価額のこと。時価は、市場価格に基づく価額と市場価格がない場合の合理的に算定された価額によって構成される。
市場価格 市場において形成されている取引価格で相場とも言われる。なお、市場価格が公正な評価額を示している場合には、「市場価格に基づく価額=時価」になる。
取得原価 一定時点における同一の仮想通貨の取得価額(支払対価に手数料等の付随費用を加算した額)の合計額から、前回計算時点より当該一定時点までに売却した部分に一定の評価方法を適用して計算した売却原価を控除した価額をいう。

ポイント3:仮想通貨は期末に時価で評価される
前述した定義とポイントを押さえていれば、仮想通貨の会計処理は意外とシンプルです。仮想通貨の利用者の場合、「所有する仮想通貨に時価があるか否か」という点で処理方法が大きく2つに分けられます。それぞれのケースを確認していきましょう。

・市場が活発なケース
ビットコインのように、保有する仮想通貨に活発な市場が存在する場合は、期末時の仮想通貨の時価を貸借対照表で計上し、その差額を収益から費用などを差し引いた「純額表示」で損益計算書に計上します。

・市場が活発でないケース
時価がない場合は、仮想通貨の取得原価を貸借対照表に計上し、処分したときはその差額を損益計算書に売却損益として処理することが定められています。ただし、他者から預かっている仮想通貨の場合、時価評価は行うものの損益計上はできず、同額を負債に計上することしかできません。

※参考資料:資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い

※関連リンク:フィンテックのこと、どれくらい知っていますか?フィンテック検定で力試し!
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今後ますます活発になってくると思われる仮想通貨ですが、いつ新しい通貨が生まれるか、会計処理のルールが更新されるかなど、その動きは予想できません。実務上の会計処理はそれほど難しくありませんが、前提の知識として仮想通貨の定義や現在のルールを正しく把握しておくことが必要です。そうすることで、日進月歩の仮想通貨の動きに柔軟に対応できるようになるでしょう。

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