2019年5月27日から「IT導入補助金2019」の交付申請が開始されます。今年は金額の上限が前年から大幅に上がるなど嬉しいポイントもある一方で、採択の門が狭くなっているという落とし穴もあります。採択されれば費用の負担を抑えてツールを導入できる絶好の機会です。このチャンスを有効活用できるよう、スムーズな申請と採択される可能性を上げるためのポイントをお伝えします。
IT導入補助金2019とは
「
IT導入補助金2019」は、経済産業省が中小企業生産性革命推進事業の一環で実施している、中小企業・小規模事業者に各種ITツールの導入を促進するための補助金です。補助金を使って導入できるITツールは「日々のルーティーン業務を効率化できるクラウドシステム等、汎用的なもの」とされており、対象となる具体的なツールは公式サイトで公開されます。
実際にこれまで導入されたITツールの一部と概要のまとめは以下の通りです。
■IT導入補助金を活用して過去に導入されたITツール(例)
- 宿泊予約サイトの一元管理システム
- 会計システムと給与計算システム
- 電子カルテ対応のレセプトコンピューター
- 建築3次元CAD
- 原価管理ツール
- クラウド会計、申請ツール
- RPA(売上管理などの定型業務や間接業務を自動化するツール)
■事業概要まとめ
- 補助対象者
中小企業・小規模事業者など(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育などのサービス業の他、製造業や建設業なども対象)
- 補助対象経費
ソフトウエア費、設定費、相談対応などのサポート費用や、クラウドサービス利用料といった導入関連費など(具体的なツールは公式サイトで公開予定)
※他の補助金との併用はできません。
- 補助金の上限額、下限額、補助率
上限額……450万円
下限額……40万円
補助率……1/2以下
上限が大幅アップ!一方で採択数は減少予想
IT導入補助金2019の大きな特徴は「補助額の上限が過去最大の450万円」ということです。昨年の上限は50万円だったため、9倍もの額に引き上げられたことになります。補助率はこれまでと変わらず1/2以下ですが、これまで以上に高価で高機能なツールの導入を検討できます。
その一方で、予算額は昨年の500億円の1/5となる100億円と大幅に減額されました。そのため、補助金の交付に採択される企業の数も昨年の約6万社から大きく減り、最大でも6000社ほどと予想されています。つまり、今回のIT導入補助金を獲得するためには、他社との競争を勝ち抜く必要があるということです。
では、採択の確率を上げるためにできることはあるのでしょうか。そのために、まずは「申請スケジュール」と「IT導入支援事業者」について理解しておきましょう。
IT導入支援事業者と交付申請の流れ
IT導入支援事業者とは、各企業のIT導入補助金申請をサポートするために事務局から採択された、ITベンダーやサービス事業者です。各種申請書や事業計画書などを共同作成したり、代理提出を行うなど、様々な支援を実施します。
■IT導入支援事業者による補助事業者へのサポート例
- ITツールの情報提供
- 申請、報告に必要な情報のヒアリング
- ITツールの導入実施
- 申請、導入後のサポート
- 事業実績報告の代理申請
- 事業実績効果報告の代理申請
中小企業がIT導入補助金を交付してもらうには、IT導入支援事業者のサポートを得ながら、以下のフローで申請・手続きを行う必要があります。
■IT導入補助金2019の交付に必要な手続き
採択されるためには何が必要?
先述の通り、IT導入補助金2019の採択競争は例年よりも厳しくなることが予想されています。
このような状況のなかで採択されるためには、他社との比較対象になる「事業計画書」に、より具体性を持たせることが大きなポイントと考えられます。要点は以下の通りです。
- 自社の強み、弱みを客観的に分析し、課題を提示する
- 課題に対して今まで実施した施策や経緯を示しながら、ツールの導入が必要な根拠を説明する
- 課題解決が将来的な事業計画にどのように影響するか、具体的な数値を用いて示す
以上を踏まえれば、導入前から導入後のストーリーが伝わりやすい事業計画を作成することができるでしょう。また、自社だけでは完璧な事業計画書の作成が難しくても、IT導入支援事業者の力を借りることで質の高い計画書を作成することができます。そういった面からもIT導入支援事業者の選定は重要なポイントのひとつです。
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日々の業務が非効率であるとわかっていながらも、なかなかITツール導入までの決断に至らないというケースは多々あるかと思います。「IT導入補助金2019」はこうした状況を打破するよいきっかけとなるでしょう。特に消費増税が迫っている今、軽減税率などの対応に不安を抱えている経理担当者はぜひ補助金を活用してみてください。補助金があることによって、普段はITツールの購入や買い替えに難色を示す経営陣も重い腰を上げてくれるかもしれません。今回ご紹介した内容を参考にしながら、現実的な検討を行ってみてください。