電子申告や電子納税など、ここ数年で税務に関わる行政サービスのデジタル化が急速に進んでいます。電子申告については、資本金が1億円を超える大法人を対象として義務化が始まっていますが、将来的にすべての企業が義務化の対象になったとしても不思議はないでしょう。
また、経理業務全般でDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化、ペーパーレス化、働き方改革が推進されていく中で、税務関連についてもデジタル化が進んでおり、その中核となる税務システムは、年々、その機能を進化させつづけています。
税務関連業務をデジタル化するメリットは、主に「ペーパーレス化」と「業務効率化」に分けることができます。
ペーパーレス化
税務システム上で作成された申告書等は、紙の書類として保管する必要がありません。印刷や保管にかかるコスト、時間、スペースなどを大幅に削減することができます。
また、データとして保存することにより、パソコンから素早く検索して閲覧・利用できるのも大きなメリットです。
情報漏えいリスクについても、適切なセキュリティを施したファイルサーバーやファイルストレージを利用すれば、ファイルキャビネットに収められた紙文書よりも安全に保管することができます。
業務効率化
申告書等の作成と提出は、非常に手間暇のかかる煩雑な業務です。これをデジタル化することにより、最小限の入力で、正確な書類を、スピーディーに作成することが可能になります。
電子申告を利用すれば、申告書等を印刷・製本・郵送する必要はありませんし、提出のために税務署まで出かけたり、窓口で順番を待ったりすることもなくなります。
とくに地方税は、eLTAX(地方税ポータルシステム)にまとめて送信すれば申告手続きが完了するため、店舗や営業拠点、工場などを各地に展開している企業にとっては大きなメリットになります。
以上のようなメリットのある税務のデジタル化ですが、単純に税務システムを導入しただけではそのメリットを活かしきれません。本記事では、税務システムの導入にあたってチェックしておきたい選定ポイントをいくつかご紹介します。
システム間連携
いかに入力作業を減らしていくかは、業務効率化の重要なポイントです。検討している税務システムが、財務会計や給与、マイナンバー管理など、他のシステムとシームレスにデータ連携できるかどうかは必ずチェックしておきましょう。他システムとの連携によって、再入力による手間やミスの発生を最小化できるだけではなく、関連する業務全体がスムーズに回り始めます。
電子申告への対応
電子申告は、税務デジタル化の柱とも言える部分ですから、対応していることを必ず確認しましょう。各種電子申告データの作成から電子署名の付与、e-Tax・eLTAXへの送信まで、一連の作業を簡単な操作でできることが理想です。
法改正への迅速・確実な対応
毎年行われる税制改正・法改正は、税務担当者の悩みの種です。改正が行われたら、迅速かつ確実に対応し、アップデートが行われることを確認しておきましょう。
申告書ライクな入力画面
入力画面が見慣れた申告書の様式をできるだけ忠実に再現していることは、思った以上に重要なポイントで、ユーザーからのニーズも高いようです。加えて、自動集計、入力ガイダンス、FAQの参照といったサポート機能が付いていると、煩雑な入力作業が飛躍的に楽になります。
税務システムに限りませんが、システムは導入して終わりではなく、導入後もスムーズに運用でき、十分に活用できることが大切です。導入前から導入後まで、システムベンダーがどのようなサポートを提供しているか、しっかりチェックしておきたいところです。
とくに経理部門や税務担当者の必要とするサポートは、技術的な問題に限りません。
例えば、導入前〜導入時の
- コンサルティング
- 導入支援
- データ移行
- 各種設定
- ユーザー教育支援
さらには導入後の
- 運用支援
- 保守サービス
- ヘルプデスク
- 法改正対応
- システムアップデート
- スキルアップサポート
- 経理・税務関連情報の提供
など、DXを推進するにあたって経理部門、税務担当者が直面するであろう困りごとを、どこまでどのようにサポートしてくれるのか、導入してから困らないようチェックしておきましょう。