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人事/労務年末調整 2019/03/12

年末調整業務がいつもスムーズに進まない要因とは

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年に一回の作業とはいえ、人事部門は毎年苦労している年末調整業務。なかなか効率化できない要因は?
年末調整の業務効率化を実現するポイントをご紹介します。

申告書を記入することに不慣れな日本の会社員

従業員が自分で確定申告して納税する米国とは違い、日本では、従業員を雇用している事業者が、従業員の代わりに納税額を計算して納税するという制度になっています。
1年間に支給した給与・賞与の額が確定する年末に、その従業員が納めるべき所得税を計算し、あらかじめ給与・賞与から天引きした源泉所得税との差額を還付もしくは追加徴収するのが年末調整ですが、この年に一回の作業に毎年苦労している人事担当者の方は多いのではないでしょうか。
役所に提出する申告書や届出書に慣れていない日本の会社員は、年末調整で提出しなければならない「扶養控除等(異動)申告書」や「保険料控除申告書」などの申告書を記入することも、難しいと感じてしまいます。結婚や子供が生まれた場合、住宅をローンで購入した場合など、ライフイベントによって去年までとは違った内容を記入しなければならないともなると、「こういう場合は何を記入すれば良いの?」と人事担当者に教えてもらいたくなるものです。

このような従業員からの問い合わせに、ひとつひとつ丁寧に対応することも、人事担当者の年末調整業務のひとつになっています。

従業員が記入した申告書に不備がないということはほとんどない

従業員に配布して記入してもらった「扶養控除等(異動)申告書」や「保険料控除申告書」などの書類には、間違いや記入漏れなどの不備がつきものです。
そのため、従業員に提出してもらった書類の内容を確認し、不備があれば訂正して再提出してもらうために必要充分な期間を想定して、提出期限を決めているにも関わらず、不備のある従業員ほど提出期限を守ってくれないものです。
年末調整業務が思うように進まないのは、ほとんどの場合、提出書類の確認作業が当初のスケジュール通りに完了しないことが要因になっています。

正しい提出書類と正しい金額が手元に揃えば、年末調整金額の計算自体は給与システムがしてくれるので、人事担当者の負担はさほど大きくはありません。しかし、提出された申告書類に間違った金額が記載されていたら、年末調整で還付もしくは追加徴収する金額も間違って計算されてしまいます。

こうならないためにも、従業員から提出してもらった書類は入念にチェックしなければならず、一切の不備がない状態になるまでは、給与システムにデータを入力できないことも年末調整業務がスムーズに進まない要因のひとつになっています。

年末調整の業務をスムーズに完了させるためのポイントとは

年末調整業務において、期限までに申告書類を提出してもらえないことは頭の痛くなる問題です。提出が遅れれば遅れるほど人事部門の業務負荷は大きくなり、悲しいことに、コトの深刻さを従業員の皆さんはあまり理解していません。そして最悪の場合、間に合わなかった従業員は個人で確定申告をしなければならないのです。

申告書類の記入や証明書類の添付など、従業員の皆さんに紙文書を提出してもらわなければならないので、実際に書類を提出してもらうまで、人事部門では年末調整に必要な情報がわからないだけでなく、提出期限に間に合わなそうな従業員がいるかどうかも把握することが困難です。
どの従業員の申告書類が、どの程度まで出来ているのか、証明書類が手元に揃っているか、などの進捗状況を一覧できれば、人事部門は早めに必要な手を打ち、提出が遅れそうな従業員を見つけてサポートすることも可能になります。

システム化によって実現できる年末調整作業の新しいカタチ

そもそも、紙文書でのやり取りでは、従業員が記入した申告書類や証明書類が人事部門に届くまで、従業員の申告内容を把握するのは困難です。
紙ではなく、従業員が自身の申告内容をシステムに入力するかたちを取れば、従業員ごとの作業状況を人事部門で把握できるようになります。とは言え、業種・業態や部署によっては、すべての従業員がパソコンを使っているわけではありませんので、従業員の皆さんにとっては余計に不慣れな作業を強いることにもなりかねません。

そこで、近年ではスマートフォンのアプリを使ったクラウド型の年末調整システムが注目を集めています。

スマートフォンであれば、パソコンが使えない従業員であっても、アプリの画面で必要なところだけをわかりやすく入力できるため、紙の申告書のように「どこに何を記入すれば良いのかわからない」といったことも少なくなります。証明書などの添付書類は、写真を撮って画像データを格納することも可能です。
また、人事部門ではパソコンから従業員ごとの入力状況をリアルタイムに把握できるので、必要な情報が集まっている従業員から随時、確認作業を進められるようになります。証明書類の原本が人事部門に届いていなくても、スマートフォンで撮影した証明書類の画像があれば作業を進めることができます。

年末調整のシステム化は早めの準備が大切

政府による電子化への取り組みも、年末調整業務のペーパーレス化を後押ししています。
例えば、年末調整の申請書類は、あらかじめ税務署に申請しておけば紙文書として保存する必要がなく、電子データとして保存できるようになります。
また、年末調整の申告書類は、税務署のほかに、従業員の住民票がある市区町村すべてに提出しなければなりませんが、e-TAXやeLTAXなどの電子申告サービスを利用すれば、紙文書を配送することなく簡単に手続きできます。

つまり、年末調整業務をシステム化、ペーパーレス化することによって、これまで紙で提出していた申告書や控除証明書を電子データで申告することも可能になり、年末調整業務の作業を効率化するだけでなく、紙の郵送にかかるコスト削減効果も見込めます。

しかし、実際にスムーズに運用を開始するためには、システムの導入だけではなく、従業員の皆さんへの周知やアプリの使い方のレクチャーが必要です。また、年末調整の電子申告を開始するための手続きを行う必要も出てきます。
万全の準備をして次の年末調整のときにはスムーズに作業を完了させるために、早めに検討を始めることをお勧めします。
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