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経理/財務消費税 2020/10/27

消費税は「税込」、「税抜」どっちで処理すべき?

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消費税の処理方法には「税込経理」と「税抜経理」の2つがあり、それぞれ仕訳の仕方が異なります。一般的な企業ではどちらか一方しか行わないため、中には片方しか知らなかったという人もいるかもしれません。今回は税込経理・税抜経理について、それぞれの特徴と具体的な仕訳例を解説します。

税込経理とは

税込経理では、売上・仕入れの価格に消費税額を含めた値を計上します。例えば、2,000円の商品を売り上げた場合、消費税率が10%だとすると消費税額は200円となり、合わせて「2,200円」を計上することになります。
税込経理を採用するのは、中小企業や個人事業主がほとんどです。理由として、免税事業者は税込経理しか採用できないということや、売上が小規模な事業者の場合、決算書の数字が税込・税抜のどちらであっても差が生まれにくいということが挙げられます。

税込経理のメリット
税込経理は、後述する税抜経理よりも仕訳が単純で処理しやすいというメリットがあります。ほかに、設備投資した際に取得価額を対象として適用される「特別税額控除」など、消費税額を含む税込経理で計上した方が節税になる特例があることも利点の一つです。

税込経理のデメリット
消費税込みで処理していく場合、処理の段階では消費税を差し引いた利益がわからないため、期中の正確な経営状況が把握できません。また、減価償却や交際費のように控除額に上限が設けられている特例に対しては、消費税込みにして取得価額が大きくなることが不利になる場合もあります。例えば、交際費の控除については、年間800万円未満と決められているため、実質727万円分しか適用されないことになります。

税込経理の仕訳例

税込経理における売上と仕入れの仕訳例を紹介します。

■税込経理の仕訳例(売上)
条件:20万円の商品を掛けで販売した。
借方 金額 貸方 金額
売掛金 220,000円 売上高 220,000円

■税込経理の仕訳例(仕入れ)
条件:10万円の商品を掛けで仕入れた。
借方 金額 貸方 金額
仕入高 110,000円 買掛金 110,000円

税抜経理とは

税抜経理では消費税を売上高や経費とは別に計上します。例えば、2,000円の商品を売り上げた場合、消費税を合算せずそのまま2,000円と計上するのが税抜経理です。この時、消費税200円には「仮受消費額」という勘定科目を用います。税抜経理は監査義務がある上場企業を中心に、売上規模が大きい大企業が採用することが一般的です。

税抜経理のメリット
税抜経理では、「減価償却の特例」や「交際費の損金算入」における対象の取得価額を低く抑えられるので、最大限に恩恵を受けられる可能性があります。また、上限が5,000円以内と定められている会議費・福利厚生費の損金算入もしやすくなります。 さらに、売上高に係る消費税は「仮受消費税額」、仕入高は「仮払消費税額」にまとめられるため、常に正確な損益を把握することができます。

税抜経理のデメリット
税抜経理は、税込経理とは異なり、一行で仕訳できないため手間がかかります。また、設備投資による法人税の節約という点においては、取得価額が低くなるために税込経理よりも不利となります。

税抜経理の仕訳例

税抜経理における売上と中間納付の際の仕訳例を紹介します。

■税抜経理の仕訳例(売上)
条件:20万円の商品を掛けで販売した。
借方 金額 貸方 金額
売掛金 220,000円 売上高 200,000円
仮受消費税等 20,000円

■税抜経理の仕訳例(中間消費税の支払い)
条件:10万円の中間消費税を支払った
借方 金額 貸方 金額
仮払消費税等 100,000円 現金 100,000円
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税込経理、税抜経理における違いと、それぞれの仕訳方法について解説しました。税込経理と税抜経理はどちらも一長一短ありますが、本文でも紹介した通り、経営実態をより詳しく把握するという視点では、税抜経理が適切です。仕訳の手間については会計システムを利用するなどしてカバーすることもできます。
もちろん、事業規模によっては税込経理の方が効率がよいこともあります。両者の違いを把握し、適切な方を選ぶことが重要です。

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