会社が給与計算を行う目的は大きく2つあります。
1つは、従業員に支払う給与の金額を算出すること。会社には独自の就業規則や賃金規定があります。
例えば、役職手当、家族手当、住宅手当、時間外労働手当、休日手当などの諸手当や社宅や寮の使用費、組合費、財形貯蓄などの積立類。これらを換算して給与の金額を計算します。
支払いに関しては法律で定められた一定のルールが適用されるのでしっかり遵守する必要があります。
また、会社には正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員、嘱託社員など、様々な雇用形態の従業員がいる場合もあります。それぞれの雇用形態のルールに応じた計算処理が必要となります。
2つ目の目的は、国に対して所得税、都道府県・市区町村へは住民税、年金事務所には社会保険料を算出・控除すること。
会社は従業員に代わってこれらの税金や保険料を納付する義務があります。従業員の扶養家族人数によって所得税は変動し、給与支給額によって社会保険料も変動します。
また、毎年のように法改正が行われ、計算処理方法などが変更されるので注意が必要です。
人事/労務給与 2021/09/13
給与計算とは?目的や法律で決められたルールなど意外と知らない基礎知識
給与は、従業員が社会生活を継続する上で必要不可欠なものです。
会社と従業員は、労働に対して給与を支払う「労働契約」の下で結ばれており、決められた期日までに正確に支払わなければなりません。
給与計算は、正確な期日での支給と正確な金額を算出するための大切な業務。毎月必ず発生することもあり、避けて通ることのできない重要な業務です。
今回は、具体的な計算方法に入る前の基礎知識をご紹介します。
- 投稿日:2017/05/23
- 更新日:2021/09/13
給与計算の目的とは
法律で定められたルールとは
いわゆる「賃金支払いの5原則」と言われるもの。会社はこの5つの原則を守る義務があるので、経理担当は認識しておく必要があるでしょう。
【賃金支払いの5原則】
①通貨払いの原則
賃金は、原則として通貨で支払わなければなりません。小切手は通貨には含まれません。ただし、次の場合は通貨以外のもので支払うことができます。
- 法令に別段の定めがある場合
- 労働協約に別段の定めがある場合
- 退職手当について、労働者の同意を得て、次のものより支払う場合
②直接払いの原則
賃金は、直接労働者に支払わなければなりません。労働者の代理人に支払うことはできませんが、労働者が病気などの場合に、家族などに支払うことは差し支えありません。
③全額払いの原則
賃金は原則として、全額を支払わなければならず、その一部を控除して支払うことはできません。ただし、次の場合は全額支払いの原則に違反しません。
- 欠勤、遅刻、早退など労働を提供しなかった時間について賃金を支払わないこと
- 賃金の前払いをした場合、その分を控除して支払うこと
- ストライキなどのため前月分の賃金が過払いとなった場合、当月において精算すること
- 賃金の計算において、四捨五入によって端数処理をすること
④毎月払いの原則
賃金は、毎月1回以上支払わなくてはなりません。ただし、次の賃金については毎月1回の支払いでなくても差し支えありません。
- 臨時に支払われる賃金
- 賞与
- 1ヵ月を超える期間の出勤成績によって支払われる精勤手当
- 1ヵ月を超える一定の期間の継続勤務に対して支払われる勤続手当
- 1ヵ月を超える期間に渡る事由によって算定される奨励加給、能率手当
⑤一定期日払いの原則
賃金は、周期的に到来する一定の期日を定めて支払わなければなりません。なお、一定期日払いの原則についても、上記の「毎月払いの原則」と同様の適用除外が定められています。
給与を構成する要素
基準内給与とは、就業規則で定められた所定労働時間分の労働に対して支払われる給与です。
基準外給与は、主に所定時間外に働いた労働に対する賃金。時間外勤務手当や休日出勤手当、深夜手当などが該当します。
基準内給与の中心を占める基本給は、年齢、勤続年数、経験、スキルなどに応じて各会社の給与規定により定められます。
この基本給にプラスされる形で支給されるのが諸手当。
一般的に役職手当、職務手当、家族手当、住宅手当、皆勤手当、資格手当などがあげられますが、これも会社の給与規定に応じて定められ、その項目や金額は各社まちまちとなります。
【給与】
基準内給与 | 基準外給与 |
基本給 | 時間外手当/休日手当 深夜手当/宿日直手当等 |
諸手当 役職手当/職務手当/営業手当 家族手当/住宅手当/資格手当 皆勤手当/作業手当等 |
**********
給与計算の目的や法定ルール、構成要素などの基本的な事項についてまとめてみました。
給与計算は、財務会計の基礎的業務としてキャリアの浅い経理が担当する業務と言えます。毎月のルーティンワークとしてしっかり経験を重ね、経理としての土台を築いていきましょう。
給与計算は、財務会計の基礎的業務としてキャリアの浅い経理が担当する業務と言えます。毎月のルーティンワークとしてしっかり経験を重ね、経理としての土台を築いていきましょう。