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経理/財務消費税 2019/12/10

みりんの消費税は10%?それとも8%?間違えやすい税率区分のケーススタディ

2019年10月に導入された軽減税率の対象について、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが飲食料品なのではないでしょうか。では、食卓で身近な「みりん」と「調理酒」では、消費税率が異なる場合があることを知っていましたか?一体どちらがどのような税率となるのでしょうか。今回は、間違えやすい飲食料品の税率区分をスマートに判断できるよう、軽減税率をケーススタディで学んでいきます。

飲食料品の範囲

具体事例を確認する前に、まずは軽減税率が適用される飲食料品の範囲について復習します。国税庁では、「食品表示法に規定されている」すべての飲食物を「飲食料品」として定めています。添加物も食品に含まれますが、酒類、医薬品、医薬部外品、人以外に提供される食物は適用外です。

※出典:国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」

上記を踏まえて、間違えやすい飲食料品の具体事例を紹介します。

水・氷の販売

ミネラルウォーターなどの水は、上記に定義された食品に該当するため、軽減税率が適用されます。ただし、水道水は生活用水と見なされているので、たとえ日常的に飲み水として利用している場合でも軽減税率は適用されません。
かき氷や飲料の中に入れて使う氷も食品として扱われます。ただし、食用ではないドライアイスや保冷用の氷は適用外です。

水・氷のポイント
消費税率8% 消費税率10%
ミネラルウォーターなどの飲料用水 水道水などの生活用水
かき氷、飲料の中に入れる氷 保冷用氷、ドライアイス

酒類の販売

酒類については、基本的に軽減税率は適用されません。ただし、使用目的や種類によって例外もあります。

軽減税率適用外のケース
香りづけなどの目的で、ワインや日本酒が食品の原材料として使用されることは珍しくありません。しかし、たとえそのような場合であっても、これらは酒税法に規定する酒類として定義されるので軽減税率の適用外です。調味料としてなじみ深いみりんも同様で、食品の原材料として販売するケースでも軽減税率は適用されません。

軽減税率が適用されるケース
一方で「料理酒」や「みりん風調味料」は、条件を満たせば飲食料品として軽減税率が適用されることがあります。「アルコール分が一度未満」、「アルコール分が一度以上あるが、塩などで飲めないように加工しているもの」というのが定義です。
これは他の酒類に類似した飲み物にも当てはまり、例えば甘酒もアルコール分が一度未満に限り、軽減税率が適用されます。また、ノンアルコールビールもアルコール分が一度未満なので飲食料品と見なされます。

酒類のポイント
消費税率8% 消費税率10%
定義 アルコール分が一度未満のもの
アルコール分が一度以上あるが、塩などで飲めないように加工しているもの
アルコール分が一度以上のもの
料理酒、みりん風調味料、ノンアルコールビール、ほか ワイン、日本酒、みりん、ほか

間違えやすい商品

■栄養ドリンク
栄養ドリンクは「医薬部外品」と「清涼飲料水」の2種類に分けられます。このうち、医薬部外品の栄養ドリンクは食品ではないため軽減税率適用外です。清涼飲料水については一般的な飲料として軽減税率が適用されます。

栄養ドリンクのポイント
消費税率8% 消費税率10%
定義 清涼飲料水 医薬部外品
オロナミンC、モンスターエナジー、レッドブル、眠眠打破、ほか ユンケル、リポビタンD、アリナミンV、エスカップ、ほか

※出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「栄養ドリンク」

■果物狩り
果物狩り、潮干狩り、釣り堀などで採取した食物は、たとえ持ち帰って食べたとしても、軽減税率は適用されません。ただし、「取り放題」ではなく、収穫したものに別途料金を追加している場合は、飲食料品の譲渡に該当するため軽減税率の適用対象になります。

果物狩りのポイント
消費税率8% 消費税率10%
収穫したものに別途料金を追加したもの 取り放題で採取したもの

■添加物
添加物は基本的に軽減税率の適用対象です。
この場合の添加物とは、食品衛生法で以下のように規定されているものです。

食品衛生法第4条第2項
この法律で添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。

金箔や重曹といった、食用以外に用途がある添加物についても、食品に使われるのであれば軽減税率の対象になります。
さらに、食品として販売している添加物であれば、化粧品など、食品以外の製造物の原料として仕入れた場合でも軽減税率は適用されます。

※参考記事:業界別!消費税の増税・軽減税率の影響と対応について【食品卸売業界編】
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食品に関わる軽減税率の中でも、間違えやすいポイントを解説しました。本文の通り税率区分は複雑なため、自社だけでなく他社の請求書や見積書にもミスが起こる可能性があります。経理担当者はそれぞれのケースに合わせて記載事項が正しいか確認する必要があるでしょう。
スムーズに対処するために様々なパターンを覚えておき、正しく税率を判断できるようにしてください。

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