11~12月の経理に関する重要な業務といえば「年末調整の申告」です。年末調整は他の業務と比べて煩雑になりやすい作業が多い上に、申告期限が迫ってくることもあり、ストレスになりがちなのではないでしょうか。今回は、年末調整を完了するまでにつまずきやすい3つのポイントを、クラウドツールを使った解決方法をまとめます。
つまずきポイント1:年末調整申告書の配布と回収
紙の年末調整申告書を使用する場合、最初の関門は従業員への書類配布です。最新様式の申告書を入手し、従業員の人数分を印刷、そして漏れなく全員に配布しなければなりません。
少人数の企業はその場で手渡しすれば良いものの、支店や営業所がある場合は郵送の検討も必要です。規模によっては各支店に「年末調整申告書回収担当者」を立てて進捗を管理しなければならないこともあります。
無事に配布が完了しても、続いて同等の労力がかかる回収作業が待ち受けています。どれだけ事前に忠告しても、提出が遅れてしまう従業員がいたり、中には申告書を紛失する人がいたりすることは少なくありません。催促しすぎて従業員と一触即発の事態になってしまうこともあるようです。
クラウドツールで解決!
上記のような問題は、クラウドツールを使った対策が効果的です。紙媒体の申告書ではなくWebを通じたデータを採用することで、配布・回収のプロセスそのものを省略することができます。
クラウドツールはサービスによって様々な機能がありますが、ここではミロク情報サービスが提供する「
Edge Tracker」を例に、具体的な利点を紹介します。
■配布・回収時に役立つ「Edge Tracker」の機能
- Webを通じて各種申告書に記入できる。
PCやスマートフォンを使用することで、従業員はどこからでもデータ入力ができます。データのやりとりになるので、配布・回収の必要はありません。
- 登録状況をリアルタイムで確認できる。
入力されたデータの状況は自動的に集計されるため、経理担当者は簡単に進捗管理を行うことができます。
- 申告書を紛失する可能性はゼロ。
必要なデータはすべてWeb上で管理されているため、申告書を紛失する心配はありません。
さらに、2年目以降は前年の申告書データを流用できるので、保険料控除など内容が固定となりやすい作業は、より簡単に行うことができます。
※関連リンク:
年末調整にも使える!いつでもどこでも利用可能なクラウドサービス「Edge Tracker」
つまずきポイント2:申告書の内容確認と再提出
年末調整申告書の回収後は、提出物の内容確認を行います。年末調整には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、「給与所得者の配偶者控除等申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」の3枚のほか、従業員によって生命保険などの控除証明書も添付する必要があります。これらの書類は一つ一つ、記入漏れや誤記、添付漏れがないか確認しなければなりません。当然、従業員数が多いほど、作業にかける稼働も、間違いを見落としてしまうリスクも大きくなります。
さらに、従業員のミスを発見した場合は差し戻しが発生します。ほかに控除証明の発行が遅れた場合など、確認作業がスムーズにいかないケースは多々あります。
クラウドツールで解決!
クラウドツールを利用すれば、各種書類の確認や差し戻しも手際よく、スムーズに行えます。
■内容確認と再提出に役立つ「Edge Tracker」の機能
- Web上で修正事項を指摘できる。
前述の通り、管理画面で進捗状況を確認できるため、未完了や不備がある従業員を瞬時に見分けて対応できます。また修正の連絡もツール上で行えるので、個別に電話やメールをする必要はありません。修正作業もスマホで行えるため、従業員側にとっても即時に対応しやすくなります。
- 原本の到着を待たずに、控除証明書の確認ができる。
クラウドツールを通じて控除証明書の画像を送付してもらうことで、原本の到着よりも先に内容を確認できます。これにより余計な待機時間を減らし、時間を有効活用できます。なお、PC画面から「証明書貼付台紙」の印刷機能を使うことで、最終的に必要となる証明書の添付漏れを防止することができます。
つまずきポイント3:書類の保存・管理
年末調整に必要な3つの書類(給与所得者の扶養控除等申告書、給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の配偶者特別控除申告書)は、年末調整を申告した翌年の1月10日の翌日から7年間保管する必要があります。紙でまとめた場合、かさばるため場所を大きく取ってしまうほか、乱雑に保管すると、税務署から提出を求められた際にどの書類がどこにあるのかすぐに探せないこともあります。
クラウドツールで解決!
「Edge Tracker」の場合、データはWeb上に保管することになるため、物理的な場所の確保は必要ありません。同様に、紛失のリスクも限りなく減らすことができます。さらに検索機能が備わっているため、特定の従業員や年度などの申告書を簡単に見つけ出すこともできます。
ここまで申告書をデータで扱う利点について説明しましたが、提出の際は一括で印刷を行うことも可能です。
ただし、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供に関する特例制度」によって、扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除申告書を印刷しない運用も定められています。この制度は所轄の税務署へ申請することで利用できるようになりますので、クラウドツールの導入と併せて検討してみてください。
※関連リンク:
源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請
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年末調整時の課題について、クラウドツールを使用した解決方法を紹介しました。クラウドツールは利用開始までのフローが短く、価格的にも導入しやすいことが大きなメリットです。
国が電子申請を特例として定めているように、時代はペーパーレスの流れとなってきています。会社全体の業務効率改善のためにも、できるところから早い段階で電子化に切り替えることが、成功する企業の重要項目の一つと言えるでしょう。