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給与/人事労務 2020/10/20

年末調整手続きの完全電子化を成功させる秘訣とは?

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2020年度から年末調整手続きが完全電子化されます。電子化で何が変わり、どんなメリットやデメリットがあるのか、電子化成功の秘訣は何かをご紹介します。

2020年度から完全電子化される年末調整手続き

業務効率化や多様な働き方を実現するために、業務を電子化するニーズが高まっています。新型コロナウイルスの感染拡大にともなうテレワークの普及や、新内閣による行政改革・デジタル化推進の流れは、このようなニーズを後押ししていると言えるでしょう。

このような状況とタイミングを合わせるようにして、2020年度から年末調整手続きの完全電子化が実現されます。

年末調整については、これまでも申告書類の作成・提出・保管が電子化されていましたが、2020年度からは、「生命保険、損害保険の保険料控除証明書」「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書」「年末残高等証明書」といった各種証明書についても、その取得・提出・保管を電子データで行うことができるようになる、すなわち完全電子化されるというわけです。
それでは、電子化によって年末調整手続きはどう変わるのでしょうか。続いて、具体的な業務プロセスの変化を追ってみましょう。

紙からデータへ、年末調整はどう変わる?

従来の年末調整手続きは、控除証明書の発行と受け取り、申告書類の作成と提出、給与/年末調整システムへのデータ入力、税務署への提出、申告書/証明書の保管にいたるまで、すべて紙文書で行われています。そこにどれほどの手間と時間とコストが掛かっているかは、人事・総務部門の皆様にあらためてご説明するまでもないでしょう。
この手続きが完全に電子化されると、従業員はマイナポータル(政府が運営する行政手続き等のオンラインサービス)から控除証明書等を電子データとして取得し、年末調整アプリに取り込んで申告書を作成、電子データで勤務先に提出することになります。一方企業側では、受領した申告書データを給与システム等に連携させて年税額を計算します。
年末調整アプリでは計算や入力が自動化・簡素化されているため、従業員の作業負荷は大幅に軽減され、計算ミスや入力モレを未然に防ぐことができます。企業側では、控除額の検算や添付書類のチェック、問い合わせ対応などに掛かる時間とコストを削減することができ、紙文書の保管コストも不要になります。

年末調整手続きの電子化にともなう3つの問題点

年末調整手続きの電子化は、従業員側にも企業側にも効果的なメリットをもたらしますが、導入にあたっては3つのハードルがあると言われています。

一つ目は、マイナポータル(政府が運営する行政手続き等のオンラインサービス)を利用すること。マイナポータルにアカウントを開設・利用するには、マイナンバーカードとそれを読み取るデバイスが必要です。また、控除証明書等のデータを取得するには、あらかじめ保険会社等とマイナポータルのカウントを紐付けておかなければなりません。マイナポータルの利用方法について、従業員にレクチャーも必要となるでしょう。

二つ目は、国税庁の年末調整アプリを従業員自身がPCやスマートフォンにインストールする必要があること。職場にPCを1台用意してインストールし、従業員ごとにパスワードを割り振って共用することもできますが、いずれにせよ、この年末調整アプリの使い方に関しても従業員にレクチャーしておく必要があるでしょう。

三つ目は、申告データを従業員から勤務先へ安全に受け渡す方法を確立する必要があること。申告データは、メールやUSBメモリを使って勤務先に提出することになりますが、個人情報の塊なので、しっかりパスワードで保護しなければなりません。また、パスワードは申告データとは別に送付するなど、データを提出する従業員とそれを受け取る企業側で運用ルールを徹底する必要があります。
こうしてみると、年末調整手続きの電子化はなかなか難しいように思えますが、ここで注目したいのが、国税庁のアプリとは別に、ソフトウェアベンダー各社が提供している年末調整アプリです。民間のアプリを併用することで、マイナポータルにアカウントを持っていない従業員でも、年末調整手続きの電子化が可能になります。続いて、それら民間アプリの特長をご紹介しましょう。

官製アプリの手が届かない部分をカバーするベンダーアプリ

国税庁の年末調整アプリは、官製アプリとして無料で使えるのが魅力ですが、前ページで解説したようにいくつかの問題点があります。それらの問題点を解消すべく、会計ソフトなどを扱うソフトウェアベンダーでは、さまざまな年末調整アプリを販売しています。

どのアプリも、国税庁の年末調整アプリの手が届かない部分をカバーしているのが特長です。例えば、従業員向けのメリットとしては、
などを挙げることができます。
また、人事・総務部門にとっては、
などが重要な選定ポイントとなってくるでしょう。

とは言え、マイナンバーカードの普及率はまだまだ低いのが現状。マイナポータルを利用する必要があることを考えると、ソフトウェアベンダーの年末調整アプリを活用しつつ、段階的に電子化していくのが現実的です。

最初にどこまで電子化するのかを決めておこう!

ソフトウェアベンダーの販売する年末調整アプリを活用することを踏まえて、年末調整手続きの電子化を考えると、その導入パターンは以下のA〜Bに分けることができます。
理想としては、パターンCの「完全電子化」が理想ですが、従業員がマイナンバーカードを用意し、マイナポータルにアカウントを作成しなければならないことを考えると、なかなか難しいと言えます。

簡単なのはパターンAです。年末調整アプリを導入して、申告書作成のプロセスだけを電子化するもので、控除証明書の取得も申告書の提出も紙文書で行われます。計算ミスや入力モレなどを削減し、従業員の利便性を高めることができますが、人事・総務部門の業務効率化という点では導入効果が今ひとつです。

となれば、おすすめはパターンB。

  • 控除証明書は郵便で取得
  • 申告データの作成と提出はアプリで実施
  • 給与システムとのデータ連携が可能
  • 申告書はデータ保管、控除証明書は紙文書として保管

というもので、ハードルの高いマイナポータルの利用以外をできるだけ電子化できるようになっています。

まずはムリのない範囲で電子化し、従業員が電子申請に慣れて、マイナンバーカードやマイナポータルの準備ができた従業員からパターンCの完全電子化へ順次移行していくのが、年末調整の電子化を成功させる秘訣と言えるでしょう。
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