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FinTech 2017/09/05

メガバンクとフィンテックベンチャーは なぜ、手を組むのか?

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これまで様々な規制によって守られてきた金融サービス。
近年はフィンテックベンチャーが台頭し、続々と新しいサービスが生まれています。個人財務管理(PFM)、オンライン融資、投資支援、経営・業務支援、クラウドファンディング、スマホによる決済・送金など、その領域は多岐にわたります。
急速に発展するフィンテックの背景には、メガバンクとベンチャー企業の協業があります。
なぜ、メガバンクとベンチャーは手を組むのか。今回は、その背景と今後の行方に迫ります。

金融を変えてきたのはIT企業

これまで規制によって守られてきた金融業界に風穴が開き、新しいサービスが次々と生まれています。そうした流れを牽引し、金融を変えてきたのは銀行ではなく、IT企業です。
フィンテックという新しい潮流によって、銀行が発掘できなかった新しい市場が次々と顕在化していると言えます。

例えば、融資領域。
EC事業者向けのオンライン融資サービスでは、ECモールでの決済情報を詳細に分析し、独自の融資判断を可能にしました。売上傾向や季節変動、同業他社の情報を加味した業界動向などの情報が蓄積され、融資判断の精度はどんどん向上しています。
決算書のような過去の実績で審査する銀行には全く手が出ない領域です。

銀行が羨望の眼差しを向ける、データを大量に蓄積できるフィンテック領域がまだあります。
一つは、個人財務管理(PFM)です。家計簿アプリに代表されるPFMは、金融機関の枠を超えて、個人の全取引を網羅した収支情報が集まってきます。

さらに、経営・業務支援の領域では、クラウド型の請求書作成サービスとクレジットカードの連携による革新的な金融サービスが生まれています。
これは、毎月の請求書作成を代行することで売上高と取引先情報を把握し、これを与信情報としてクレジットカードによる支払いを受けられるサービスです。手数料は約2%と低い上、入金が最短で2日。利用する企業は売掛金回収を大幅に短縮することができるのです。

法改正で銀行が動き始める

危機感を募らせる銀行。このままでは銀行のサービスは利用者に支持されず大切な顧客接点も失ってしまいます。
しかし、銀行法による出資規制を受けていた銀行は、フィンテック企業との提携が難しい面がありました。
ところが2016年の改正銀行法によって出資規制が大幅に緩和され、この1年で一気に銀行が動き始めたのです。

さらに、2017年の改正銀行法によりAPI連携に向けた体制整備の努力義務が明文化されました。
今回の改正により銀行APIの順次開放が行われることになります。
そして、このAPIこそフィンテックの進化を支える重要なキーワードと言われているのです。

APIとは、アプリケーション・プログラミング・インターフェイスの略で、他のシステムやソフトウェアに機能を提供するための規約。
Web業界では早くからAPIによるサービスの連携が行われています。
例えば、口コミグルメサイトがGoogleマップのAPIを活用してサイト上に店舗の地図を表示するなどです。
金融業界ではAPI活用が限定的でしたが、法改正によって爆発的に広がることが予想されます。

銀行APIの開放は何を変えるのか

金融業界におけるAPI連携の代表例は、みずほ銀行の「LINEでかんたん残高照会」です。みずほ銀行がLINEのAPIを活用することで実現したサービスです。
今後はこれとは逆に、銀行が自らの勘定系システムやインターネットバンキングシステムにAPIを設け、外部サービスに公開する取り組みが本格化するのです。

すでに始まっている例では、PFMサービスを提供するフィンテックベンチャーが銀行の残高照会・入出金明細照会のAPIを活用して、PFM上での残高照会・入出金明細照会を実現した例。
証券口座開設時に銀行の本人確認済フラグを活用して口座開設を大幅に簡略化したケースなどがあげられます。

また、新しいサービスの例としては、デビットカードを使って、買い物時のおつりをすべて自動貯金するサービスもあります。
1万歩を達成したらその都度500円を自動貯金するなど、自分で目的貯金の名目を決められるサービスも、銀行APIを活用しています。
さらに、目的別貯金利用者の中から、例えば毎日1万歩を継続する人を生命保険業界に紐付ける異業種API連携の検討など、画期的な新サービスが生まれようとしています。
今後、銀行APIのキーワードを注視してみてください。
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融資、決済、送金などの基幹業務がフィンテックベンチャーによって浸食され、大きな転換を余儀なくされた銀行。APIの開放は、銀行の強い危機感の表れと考えられます。
過去最大の総資産を抱え、新たな融資先や運用先を模索するメガバンクにとって、自分たちにないアイデアと技術力をもつフィンテックベンチャーは格好の投資先。資金力の乏しいフィンテックベンチャーにとっても銀行の支援は渡りに船です。
今後、両者の協業はさらに密度の濃いものとなり、より革新的なサービスが生まれることでしょう。
これからの経理担当は、経理業務だけでなく、広く金融やファイナンスの情報に敏感になる必要があります。
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