そもそも源泉徴収とはどんな制度なのか、簡単におさらいしてみましょう。源泉徴収とは、会社員や個人事業主などの個人に代わり、給与や報酬などの支払いを行う事業者があらかじめ税金を差し引いて納税する制度です。日本の所得税は、個人が自分の利益を集計して自ら税金を計算して納税する「申告納税方式」が採用されています。
この制度が採用された大きな目的は、安定税収の確保と税務手続きの簡略化です。所得税は、原則としてその年の1月〜12月の利益を計算し、翌年の1月〜3月に納税します。そのため税収が特定の時期に集中し、安定的に確保することができなくなるのです。また、特定時期への集中は、税務署の対応が限界を超えるという懸念にもなります。そこで、給与や報酬を支払う企業や事業者が、個人に代わって定期的に納付するこの制度が導入されたのです。
給与や報酬を支払う企業や事業者は「源泉徴収義務者」と呼ばれ、給与を受け取る従業員の毎月の収入から各種控除額を引いて算出した所得税額を前もって給与から天引きします。徴収した税金は、通常、所得が発生した日を含む月の翌月10日までに
源泉徴収義務者によって税務署に納付されます。報酬というのは、フリーランスに対する原稿料、デザイン料、講演料などの報酬、会計士・税理士などへの顧問料を指し、同様に所得が発生した日を含む月の翌月10日までに納付します。
経理/財務税務(税金・節税) 2018/07/03
経理の基本!源泉徴収の「納期の特例」について
請求書の発行や取引先への支払い業務、給与計算、健康保険/厚生年金保険料の支払いなどの月次業務に加え、消費税の中間申告などの四半期業務、そして源泉徴収票/給与支払報告書等の提出や年末調整事務などの年次業務など。日常業務に加え、時期に応じて様々な業務が重なるのが経理業務の多忙さの要因です。7月は、社会保険の定時決定と源泉徴収の納期の特例による納付があげられます。こうした業務をスムーズに行うために、まずは業務内容をしっかりと理解しておくことが肝心です。今回は、源泉徴収の納期の特例について取り上げます。
源泉徴収とは
納期の特例とは
本来は、所得が発生した日を含む月の翌月10日までに納付する源泉徴収制度ですが、特例制度では、年2回、6カ月分をまとめて納付することができます。
【納付の期日】
納期の特例を受けるためには、いくつか条件があります。まず、給与を支給する従業員が常時10人未満であること。これは常態としての従業員数であり、年度末などの繁忙期に臨時で雇ったアルバイトなどは含みません。
また、特例の対象は、従業員への給与・賞与、退職手当などになります。外注先では、弁護士、税理士、会計士など、「士業」と言われる人への報酬。士業以外の外注先、例えばフリーランスへの原稿料やデザイン料などは特例の対象にならないので注意が必要です。
【納付の期日】
- 1月から6月までに支払った所得から源泉徴収したもの:7月10日まで
- 7月から12月までに支払った所得から源泉徴収したもの:翌年1月20日まで
納期の特例を受けるためには、いくつか条件があります。まず、給与を支給する従業員が常時10人未満であること。これは常態としての従業員数であり、年度末などの繁忙期に臨時で雇ったアルバイトなどは含みません。
また、特例の対象は、従業員への給与・賞与、退職手当などになります。外注先では、弁護士、税理士、会計士など、「士業」と言われる人への報酬。士業以外の外注先、例えばフリーランスへの原稿料やデザイン料などは特例の対象にならないので注意が必要です。
特例の申請
適用後は半年ごとの納付となりますが、仮に半年間源泉所得税が発生しなかった場合でも、納期の特例を受けている場合は、納付書に納付額がないことを記載して税務署に提出する必要があります。また、納付書は源泉徴収の対象となった給与・報酬により、使用する様式が異なります。給与と資格者報酬は「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」、その他の報酬の場合は「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」と明記されたものを使用します。
なお、従業員が増え、常時10人以上となった場合は、特例要件に該当しなくなります。その際は、速やかに「源泉所得税の納期の特例に該当しなくなったことの届出書」を、給与支払事務所等の所在地の所轄税務署へ提出する必要があります。これを忘れるケースが多いので十分に注意したいところです。
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