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経理/財務税務(税金・節税) 2025/03/11

住民税の均等割、計算はこれでOK!法人住民税の基本を押さえるシンプルガイド

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住民税は、地方公共団体が提供する行政サービスの財源を支える税金です。
今回の記事では、住民税の中でも法人が負担する法人住民税について、均等割と法人税割(所得割)の仕組みや計算方法、具体的な手続きなどを解説します。

法人住民税とは

住民税とは、都道府県や市町村をはじめとした地方公共団体が提供する、道路の整備、消防・警察といった公共サービスの財源を確保するための税金です。
住民税には個人が負担する個人住民税と、法人が負担する法人住民税があります。
このうち法人住民税は、均等割と法人税割(所得割)という2つの要素で構成されています。

均等割 法人住民税のうち法人の規模に応じて一律に課税される部分
法人税割(所得割) 法人住民税のうち法人の所得に応じて課税される部分

法人住民税の納税義務者
法人住民税を納める義務があるのは、その都道府県や市町村に事務所や事業所などを持つ法人とされています。
法人の対象は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、特定の公益法人や人格のない社団などです。
公益社団法人、公益財団法人、NPO法人などのうち収益事業を行わない法人については課税されません。
なお、均等割、法人税割の課税対象は、法人住民税が課税される法人のうち以下の通りです。

納税義務者 均等割 法人税割
地域内に事務所または事業所を有する法人
地域内に寮や倉庫等のみを有する法人
※参考資料:大阪市ホームページ「法人の市民税について

上記の通り、均等割は事務所がなくとも寮や倉庫などの施設がある場合に課税される可能性があるため、注意が必要です。
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均等割と法人税割の計算方法

ここからは均等割と法人税割についての計算方法を解説していきます。


均等割
均等割は法人の資本金等の額や従業員の数によって税額が決められている税金です。
その年の利益が黒字か赤字かに関係なく納税する必要があります。

均等割の税額計算
均等割の税額は、以下の算式で計算されます。

その地区内に事務所等を有していた月数 ÷ 12 × 均等割の税率

均等割の税率は、都道府県民税の場合は資本金等の額によって5つの区分、市町村民税の場合は資本金等の額と従業者数によって9つの区分に分かれており、標準税率は原則として以下の通りとされています。

資本金等の額 都道府県民税均等割 市町村民税均等割
従業者数50人超
市町村民税均等割
従業者数50人以下
1千万円以下 2万円 12万円 5万円
1千万円超1億円以下 5万円 15万円 13万円
1億円超10億円以下 13万円 40万円 16万円
10億円超50億円以下 54万円 175万円 41万円
50億円超 80万円 300万円 41万円
※参考資料:総務省「法人住民税

※上記の表は総務省が標準的に定めた税率であり、実際の均等割・法人税割は地方公共団体によって税額が異なります。
例えば、大阪府では法人府民税均等割に超過税率が導入されているため、資本金が大きい企業が負担する均等割の金額が上記表よりも多く設定されています。
※資本金等の額は、「資本金の額または出資金の額」と、「株主等から法人に払い込みまたは給付した財産の額で、資本金の額または出資金の額として組み入れられなかったものなど(例:資本準備金、加入金)」の合計額とされています。
ただし、決算の状態が悪く過去に無償減資などを行った場合には、一定の調整を行った金額となります。


上記の表からわかる通り、均等割は資本金等の額と従業員の数を基準に、事業規模が大きい法人ほど高い税率が適用されるようになっています。
特に、従業員の数が多い場合はより税率が高くなります。


法人税割
法人税割は、法人が国に納めた法人税額を基準に、地方公共団体ごとに設定された税率を乗じて算出する税金です。

法人税割の税額計算
法人税割の税額は、以下の算式で計算されます。

課税標準となる法人税額 × 法人税割の税率

法人税割の標準税率は都道府県で1.0%、市町村で6.0%とされているため、合計税率として7.0%となります。
東京23区の場合は、都道府県と市町村の合計7.0%が都税事務所から課されます。
なお、法人税割についても地方団体ごとに税率が異なりますので、申告の際には実際に適用される税率を確認してください。

分割基準
複数の都道府県・市町村に事務所や事業所などを持つ法人は、課税標準の総額を分割基準と呼ばれる一定の基準で分割して、関係地方団体ごとに計算を行います。
法人住民税の法人税割における分割基準は、原則として事業年度終了日の各事務所の従業者の数を使用します。
詳細は東京都が公開している「分割基準のガイドブック」を参考にしてください。

※参考資料:東京都主税局「分割基準のガイドブック


期中に事務所などを新設・廃止した場合
期中に事務所や事業所などを新設・廃止した場合には、その期間に応じて法人住民税の計算を行います。

均等割の計算方法
事業年度末で判定される適用税率 × 存在月数 ÷ 12

法人税割の計算方法
法人税額 × 税率
※2カ所以上の事務所を所有しているなど分割基準の対象となる場合には、従業員数の計算の際、事務所の存在月数を考慮した従業員数に調整する必要があります。

例えば、3月決算の会社が10月10日に事務所を閉鎖し、均等割の年額が5万円の場合、計算は以下のように行われます。

5万円 × 6 ÷ 12 = 2.5万円
※存在月数は、事務所の年間存続期間が1カ月を超えている場合、1カ月に満たない端数は切捨てで計算することとされているため、4月から9月末までの6カ月となります。
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法人住民税の申告手続きと実務対応

法人住民税の申告・納付期限は期末から2カ月以内であり、都道府県民税は管轄の県税事務所などに、市町村民税は管轄の市役所などに申告します。
なお、東京23区内の場合は都税事務所1カ所のみに申告します。


申告方法
法人住民税には以下のような申告方法があります。

電子申告
地方税ポータルシステム(eLTAX)を利用することで、インターネットによる電子申告・電子納税を行うことができます。

郵送による申告
必要事項を記入した申告書等を地方公共団体に郵送します。
控えを入手するためには、提出用申告書等と同じ内容の申告書等に「控」と記入し、切手を貼った返信用封筒を同封します。

市税事務所の窓口での申告
必要事項を記入した申告書等を市税事務所などの窓口まで持参し、直接提出します。

上記の方法の中でおすすめなのが電子申告・電子納税です。
電子申告は対応後すぐに受付完了通知が発行されるため、管理がスムーズなほか、申告の流れで納税手続きも行えることから納付漏れを防ぐことができます。
複数の地域に事務所を持つ企業など、事務所ごとに対応が必要な場合にも便利です。


実務上の留意点
法人住民税に関する実務において留意したいのが、税額計算の基準となる資本金や従業員数などの確認です。
特に、期中に新設・廃止した事務所がある場合には、月数按分対応や申告の漏れが起こりやすくなりますので、注意しましょう。
また、事務所が複数あり、申告先となる地方公共団体が多数ある場合にも注意が必要です。
先述した電子申告・電子納税を利用するなど、状況を管理できる体制を整えておきましょう。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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法人住民税の均等割と所得割の仕組みを正確に理解することは、税務コンプライアンスの確保にもつながります。
電子申告などのツールを活用しながら、効率的に申告・納付手続きを進めることが、これからの税務業務を円滑に進める鍵となるでしょう。

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