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人事/労務採用 2025/02/25

入社手続きはスピーディかつ正確に!2025年版・従業員雇用時に知っておきたい重要ポイント

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従業員を雇用した際は、短い期間で多くの作業を行う必要があります。
そのため、重要な手続きでありながらもミスが発生しがちです。
今回の記事では、作業漏れや申告の期限超過を避けるために、従業員が入社した際の主な手続きを解説します。

従業員が入社した際の手続き

従業員が入社した際、企業は社会保険や納税上の手続きを行う必要があります。
これらの手続きはそれぞれ定められた期限内に行う必要があり、期限を過ぎると従業員の生活や福利厚生に影響を及ぼすだけでなく、企業側に罰則がある場合もあります。
近年ではマイナンバー制度や電子申請の普及により手続き方法が変化しているため、最新情報を確認したうえでの適切な対応が求められます。


保険関連の手続き
保険に関連する手続きは以下の通りです。
提出書類 提出先 期限
社会保険 被保険者資格取得届 年金事務所 従業員が入社した日から5日以内
雇用保険 雇用保険被保険者資格取得届 ハローワーク 従業員が入社した月の翌月10日まで
労災保険 保険関係成立届 労働基準監督署 最初の従業員が入社した日の翌日から10日以内
概算保険料申告書 労働基準監督署、都道府県労働局、金融機関のいずれか 最初の従業員が入社した日の翌日から50日以内
社会保険
社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)とは、企業に勤める従業員が病気やけがなどのリスクに対して備えるための公的な保険制度です。
加入義務の基準は企業の規模や従業員の雇用形態により異なっており、株式会社や合同会社などの場合、正社員などの一般労働者は全員社会保険に加入させる必要があります。
一方でパート・アルバイトなどの短時間労働者については、従業員が51人以上の企業の場合のみ、加入義務が発生します。

※関連記事:社会保険の適用拡大とは?従業員数が50人を超えたら要注意!

一般労働者 所定労働時間・所定労働日数が正社員の4分の3以上、かつ、契約期間が2カ月以上の人
短時間労働者 以下のすべての要件を満たす人
  • 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満であること(週所定労働時間が40時間の企業の場合)
  • 月額賃金が8.8万円(年収106万円相当)以上であること
  • 雇用期間が2カ月超と見込まれること(雇用期間は2カ月未満であるが、契約書などで更新されることが明示されている場合を含む)
  • 学生ではないこと(休学中、夜間学生などは加入対象)
社会保険に加入させるためには、従業員が入社した日から5日以内に「被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所に提出します。
期限を過ぎても2年以内であれば遡って加入することはできますが、追加の手続きが発生したり、未加入の時期にトラブルが発生したりする場合があるため、早めに対応する必要があります。

※参考資料:日本年金機構「従業員を採用したとき

雇用保険
雇用保険とは労働者が休職・失業した際に給付が行われる公的保険です。
従業員の加入基準は「週の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上継続して雇用される見込みがある人」とされており、企業側が加入手続きを行う必要があります。
社会保険に加入させるためには、原則として従業員が入社した月の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出します。
パート・アルバイトなどの従業員を雇用する際には、加入基準を満たしているかどうか確認することが重要です。

※参考資料:厚生労働省「事業主の行う雇用保険の手続き

労災保険
労災保険とは正式名称を「労働者災害補償保険」といい、仕事や通勤が原因で従業員が負傷した場合などに給付が行われる公的保険です。
労災保険は従業員ごとの加入ではなく企業自体が加入するものであり、従業員が1人でもいる場合は雇用形態に関係なく加入する必要があります。
初めて従業員を雇ったとして新たに労災保険に加入する場合、原則として従業員の入社日の翌日から10日以内に「保険関係成立届」を労働基準監督署に提出します。
また、労災保険は概算の金額を事前に納めるため、「概算保険料申告書」を作成し、50日以内に提出・納付する必要があります。
なお、1度加入すれば、従業員を雇用した際に毎回加入手続きをする必要はありません。

※参考資料:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー (労働保険適用・徴収関係主要様式)


税金関連の手続き
税金に関連する手続きは以下の通りです。
提出書類 提出先 期限
所得税 提出物なし(従業員から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を回収)
住民税 特別徴収切替届出書 従業員の居住する市区町村 各自治体の規定に従う
所得税
所得税は、原則給与から天引きで源泉徴収されます。
従業員が入社した際は、毎月の給与の源泉徴収税額から各種控除を受けるために「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらう必要があります。
この申告書は年末調整をするためにも必要なので、必ず提出してもらいましょう。
また、従業員が以前の職場から退職した年に再就職で入社した場合は、以前の勤務先から「給与所得の源泉徴収票」を提出してもらいます。

住民税
住民税については、企業が従業員の給与から天引きし、本人の代わりに従業員の住所地となる市区町村に納付する特別徴収という制度があります。
特別徴収を適用する場合、「特別徴収切替届出書」を従業員の居住する市区町村へ提出します。
提出期限は各自治体で定められているため、従業員入社後速やかに確認しましょう。
これまで自身で納税していた従業員が入社を機に特別徴収への切り替えを行う場合も、この手続きが必要です。
また、前職で特別徴収が適用されていた従業員が転職後も特別徴収を継続する場合は、以前の職場から「給与所得者異動届出書」を発行してもらい、必要事項を追記のうえ従業員の居住する市区町村へ提出します。
なお、住民税は前年度分を翌年6月から1年間で後払いをする方式であり、新卒者など過去に所得がない従業員の場合、特別徴収は入社2年目からとなるため、入社時の手続きは不要です。
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必要書類の記入ポイント

ここでは社会保険の「被保険者資格取得届」と雇用保険の「雇用保険被保険者資格取得届」の書き方のポイントを解説します。


被保険者資格取得届
被保険者資格取得届の正式名称は「健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届」です。
従業員の個人情報に加えて、個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号、報酬月額、資格取得日、被扶養者の有無などを記載します。
マイナンバーや基礎年金番号は年金制度で個人を識別するために重要な情報であるため、実際にマイナンバーカードや年金手帳を提示してもらい正確に記載しましょう。
また、報酬月額とは、従業員の1カ月当たりの給与の見込み額であり、この金額に基づいて保険料の額や保険給付の額が計算されます。
残業手当、通勤手当、住宅手当なども含みますので、注意しましょう。
なお、成果報酬型など、前もって給与の額が決まらない業務の場合は、同じ業務に就いている他の従業員の最初の1カ月間の平均月額を記入することもあります。
報酬月額と実際の給与に大きな差が出た場合は、速やかに年金事務所に報告し、訂正の手続きを行う必要があります。
※出典:日本年金機構「 健康保険・厚生年金保険 主な届書様式の一覧


雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険被保険者資格取得届には従業員の雇用形態や労働条件などの情報を記入します。 賃金については、月給制の場合「1」、日給制の場合「3」を記入します。
※出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者資格取得届
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よくあるトラブルと防止策

短い期限の中で対応すべき内容が多いため、従業員の入社手続きでは、必要書類の提出漏れや提出期限の超過が発生しがちです。
うっかり期限を超過してしまった場合、数日であれば問題ない場合もありますが、超過期間が数カ月以上になると遅延理由書の提出などが必要になります。
各種保険料も手続きを遅くしたからといって支払いが不要になるわけではありません。
後から多額の支払いを求められれば資金繰りに影響することもありますので、定められた期間に対応するようにしましょう。

※参考資料:日本年金機構「提出期限がすぎてしまった場合、どうすればいいですか。


防止策
入社手続きにおけるトラブルを防ぐためには、期限管理を徹底することが重要です。

事前にスケジュールを立てる
手続きの進捗状況を管理するためのリストを作成し、タスクの漏れや遅延を防止します。
複数人によるダブルチェックを導入することで、記載ミスや不備を早期に発見することもできるでしょう。
また、多くの企業において4月は事業年度開始と新入社員の入社時期が重なり、繫忙期になることが予想されます。
このような状況に備えて、事前に余裕を持ったスケジュールを立てておくことも重要です。

電子申請を利用する
社会保険関連の手続きは、電子申請を利用することで24時間どこからでも対応できるため、紙の書類を作成・提出するよりも効率的です。
期限が短い手続きもスピーディに対応することができるでしょう。
無料でダウンロードできる届書作成プログラムを使用することもできますし、市販の労務ソフトを使うことも可能です。

※参考資料:日本年金機構「電子申請・電子媒体申請(事業主・社会保険事務担当の方)


注意点
入社手続きのために預かるマイナンバーや年金番号などの個人情報は、不要な目的で外部に漏れることがないよう、細心の注意を払う必要があります。
これらの個人情報の不適切な取り扱いは法令違反につながるため、管理を徹底しましょう。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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従業員が入社した際の手続きは煩雑になりがちです。
しかし業務を体系化しておき、理解を深めることでスムーズに対応することができるでしょう。
新入社員が安心して業務に取り組める環境をつくり、信頼性を高めていきましょう。

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