そもそも帳簿とは、経営において必要不可欠である決算書を作成するために、毎日の取引を記しておくための資料です。主要簿はその根幹をなすもので、複式簿記においては必ず作成しなければなりません。よって、主要簿の作成は、ほぼすべての企業や事業で必要となります。
この主要簿を構成しているのが、「仕訳帳」と「総勘定元帳」の2つです。それぞれの特徴を下記で説明します。
経理/財務会計処理 2019/12/24
会計帳簿を構成する主要簿・補助簿の違いとは?
経理業務の基本といえば帳簿の作成です。帳簿には大きく分けて「主要簿」と「補助簿」の2種類があり、さらに目的などによって細かく分類されます。普段、当たり前に行う帳簿作成でも、その本質を理解することでより精度の高い決算書の作成や管理会計につながります。今回は、代表的な主要簿と補助簿の種類とそれぞれの特徴について解説します。
主要簿の種類と特徴
仕訳帳
仕訳帳は、勘定科目を使って日々の取引を借方、貸方に記録していく帳簿です。一般的な仕訳帳は以下のような形式です。
■仕訳帳の例
仕訳帳の借方、貸方に記入する勘定科目に制限はありませんが、それぞれの合計金額は必ず同額になります。これを「貸借平均の原理」といいます。
■仕訳帳の例
日付 (2019年) |
摘要 | 元丁※3 | 借方 | 貸方 | |
---|---|---|---|---|---|
12 | 1 | 売掛金※1 | 1 | 600,000 | |
資本金 | 10 | 600,000 | |||
メモ※2 | |||||
※1:勘定科目
※2:メモや注意書きなどを記入。1つの仕訳ごとに線で区切る
※3:対応する総勘定元帳のページ
仕訳帳の借方、貸方に記入する勘定科目に制限はありませんが、それぞれの合計金額は必ず同額になります。これを「貸借平均の原理」といいます。
総勘定元帳
総勘定元帳は、事業年度に行ったすべての勘定科目の増減をそれぞれ個別に記録し、取引の残高を把握するための帳簿です。勘定科目ごとに作成し、仕訳帳から該当科目を転記して集計します。
総勘定元帳には様々な形式がありますが、主に利用されるのは左右の借方と貸方の箇所が同じ形の「勘定式(標準様式)」です。
以下は、仕訳帳から総勘定元帳への転記例です。
■勘定式の総勘定元帳
前提:4月6日に1万5000円のシューズを現金で販売した。
仕訳帳
この仕訳で使用した記入した勘定科目「現金」、「売上」についてそれぞれの総勘定元帳に転記します。
総勘定元帳(現金)
総勘定元帳(売上)
相手勘定科目を転記する際は、仕訳の借方、貸方の金額を間違えないように注意してください。
■日記帳
最近は会計ソフトの普及によって作成する企業が減ってきていますが、主要簿には毎日の取引を発生順に記録する「日記帳」というものがあります。金額の出入りを端的に記す、仕訳帳に記入する前のメモ書き(小書き)の役割を果たしています。仕訳ミスを防ぐ目的から作られたものですが、仕訳帳や総勘定元帳と違い必須の主要簿ではありません。
総勘定元帳には様々な形式がありますが、主に利用されるのは左右の借方と貸方の箇所が同じ形の「勘定式(標準様式)」です。
以下は、仕訳帳から総勘定元帳への転記例です。
■勘定式の総勘定元帳
前提:4月6日に1万5000円のシューズを現金で販売した。
仕訳帳
日付 (2019年) |
摘要 | 元丁 | 借方 | 貸方 | |
---|---|---|---|---|---|
4 | 6 | 現金 | 3 | 15,000 | |
売上 | 9 | 15,000 | |||
この仕訳で使用した記入した勘定科目「現金」、「売上」についてそれぞれの総勘定元帳に転記します。
総勘定元帳(現金)
日付 (2019年) |
相手勘定科目 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 残高 | |
---|---|---|---|---|---|---|
繰越 | 20,000 | |||||
4 | 6 | 売上 | シューズ | 15,000 | 35,000 |
総勘定元帳(売上)
日付 (2019年) |
相手勘定科目 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 残高 | |
---|---|---|---|---|---|---|
繰越 | 40,000 | |||||
4 | 6 | 現金 | シューズ | 15,000 | 55,000 |
相手勘定科目を転記する際は、仕訳の借方、貸方の金額を間違えないように注意してください。
■日記帳
最近は会計ソフトの普及によって作成する企業が減ってきていますが、主要簿には毎日の取引を発生順に記録する「日記帳」というものがあります。金額の出入りを端的に記す、仕訳帳に記入する前のメモ書き(小書き)の役割を果たしています。仕訳ミスを防ぐ目的から作られたものですが、仕訳帳や総勘定元帳と違い必須の主要簿ではありません。
補助簿の種類と特徴
補助簿とは、主要簿だけでは把握しにくい「得意先ごとの売上」や「現金の出入り」など、特定の勘定科目の詳細な情報を集計する補足の帳簿です。その役割から「補助記入簿」と呼ばれることもあります。
補助簿は様々な種類があり、企業によってどの補助簿が利用されるかは異なります。ただし、どのような補助簿であっても、総勘定元帳の残高と各補助簿の合計は必ず一致します。
■代表的な補助簿一覧
補助簿は様々な種類があり、企業によってどの補助簿が利用されるかは異なります。ただし、どのような補助簿であっても、総勘定元帳の残高と各補助簿の合計は必ず一致します。
■代表的な補助簿一覧
名称 | 記載内容・勘定科目 |
---|---|
得意先元帳 | 売掛金 |
仕入先元帳 | 買掛金 |
受取手形記入帳 | 受取手形 |
支払手形記入帳 | 支払手形 |
売上帳 | 売上 |
仕入帳 | 仕入れ |
現金出納帳 | 現金 |
預金出納帳 | 当座預金、普通預金 |
経費帳 | 消耗品費、給与賃金など |
商品有高帳 | 仕入れ、売上 |
固定資産台帳 | 固定資産の内容、耐用年数など |
得意先元帳・仕入先元帳
得意先の「売掛金」と仕入先の「買掛金」の詳細について記録する補助簿が、得意先元帳と仕入先元帳です。得意先元帳は基本的に「いつ」、「誰に」、「いくら」を販売、掛け金を回収したかを記し、仕入先元帳には仕入れと支払った内容を記入するほか、返品があった場合などの記載もします。
なお、得意先元帳・仕入先元帳を含めた補助簿にも、主要簿と同じように勘定式と残高式の2種類がありますが、多くの場合で総勘定元帳と同じ勘定式が用いられます。
■得意先元帳の記入例
タイトルには得意先の名称を記入します。1つの得意先につき1ページ作成し、摘要には売掛金の相手勘定科目、借方・貸方にはそれぞれの金額を記録します。得意先の貸借欄は基本的に売掛金が該当する「借」、反対に仕入先元帳は「貸」を入れます。
なお、得意先元帳・仕入先元帳を含めた補助簿にも、主要簿と同じように勘定式と残高式の2種類がありますが、多くの場合で総勘定元帳と同じ勘定式が用いられます。
■得意先元帳の記入例
得意先元帳
●●商店
●●商店
日付 (2019年) |
摘要 | 借方 | 貸方 | 貸借 | 残高 | |
---|---|---|---|---|---|---|
12 | 3 | 売上 | 60,000 | 借 | 600,000 | |
8 | 返品 | 200,000 | 借 | 400,000 | ||
タイトルには得意先の名称を記入します。1つの得意先につき1ページ作成し、摘要には売掛金の相手勘定科目、借方・貸方にはそれぞれの金額を記録します。得意先の貸借欄は基本的に売掛金が該当する「借」、反対に仕入先元帳は「貸」を入れます。
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