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人事/労務制度改正 2025/02/12

フリーランス新法で企業対応はどう変わる?発注事業者が注意すべき6つの義務とは

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フリーランス取引における不透明な契約や報酬の不払い、ハラスメントなどを解決するために、2024年11月からフリーランス新法が施行されました。
今回の記事では、フリーランス新法の内容を解説するとともに、発注事業者における総務担当者が考えるべき内容を紹介します。

フリーランス新法とは

フリーランス新法(フリーランス法)とは、フリーランス取引の適正化と就業環境の整備を目的とした法律であり、正式名称を「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。
フリーランス新法の目的と発注事業者が守るべき義務は以下の通りです。

  • 取引の適正化
    フリーランスと発注事業者間のトラブルを防ぎ、取引条件を明確化する。
  • 就業環境の整備
    フリーランスの業務環境を改善し、育児や介護との両立を支援する。
日本国内のフリーランス人口は正確に確認されていないものの、約450万人を超えるとされており、増加傾向にあります。
しかし、契約内容や取引条件を曖昧にしたまま業務委託を行ったり、フリーランスとして契約しているにもかかわらず、従業員と同様の条件で業務を行わせたりと、フリーランスが不当に搾取される事例も多く報告されてきました。
また、フリーランスに対する報酬の不払いやハラスメントなどの問題も多いことから、こうした問題を解決し、フリーランスが安心して働ける環境を整備するためにフリーランス新法が策定されました。


フリーランス新法の適用範囲
フリーランス新法で保護の対象となるフリーランスとは、従業員を使用しない個人または一人法人として業務委託を請け負う事業者のことです。
また、義務を課される発注事業者とは、従業員を使用する個人または法人として業務を委託する事業者のことです。
発注事業者は大規模な法人だけでなく中小企業まで含まれます。
対象となる取引は発注事業者からフリーランスへの委託、つまり、BtoB取引であり、消費者を対象とした取引は適用対象外です。


フリーランス新法における罰則
発注事業者がフリーランス新法に違反した場合、行政の調査や指導を受けることになります。
それでも改善されない場合は、必要な措置をとるよう命令が出されたり、企業名が公表されたりするケースもあります。
さらに上記の命令に従わない場合は、50万円以下の罰金の対象となります。
なお、発注事業者の従業員が違反をすれば、違反者だけでなく企業全体が罰則の対象となります。
そのため、社内で法令遵守意識を徹底させることが重要です。

※参考資料:厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 (フリーランス・事業者間取引適正化等法)パンフレット ここからはじめるフリーランス・事業者間 取引適正化等法
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フリーランス新法が発注事業者に課す具体的な義務とは

フリーランス新法が課す義務のうち、発注事業者が特に押さえておくべき内容は以下の通りです。


取引条件の明示
フリーランス取引において口頭契約による不明確な取引条件を排除するため、発注事業者は業務内容や報酬額、支払期日などを具体的に記載した文書を作成し、業務委託するフリーランスに提示する必要があります。


60日以内の報酬支払期日の設定
フリーランス取引において発注事業者側の都合による報酬の不払いや支払い遅延を回避するため、支払いの期限を明確化することとし、成果物の納品後、60日以内の可能な限り短い期間内に支払いを行うことが義務化されています。


不当行為の禁止
取引の公平性を確保するため、発注事業者のフリーランスに対する以下の不当行為が禁止されています。

成果物の受領拒否 正当な理由なく成果物の受領を拒む行為。
不当な報酬減額 契約後に一方的に報酬を減額する行為。
正当な理由のない返品 納品された成果物を不当な理由で返品する行為。
著しく低い報酬設定 相場よりも著しく低い報酬額を提示する行為。
発注事業者の商品やサービス購入の強制 不必要な商品やサービスの購入を強要する行為。
不当な経済上の利益提供の要求 フリーランスに対して不当な金銭的利益を求める行為。
不当なやり直しの要求 契約に明示されていない追加作業を強要する行為。

出産・育児・介護などへの配慮
6カ月以上の業務委託を行うフリーランスから申し出があった場合、妊娠や出産、育児、介護などと業務を両立することができるよう、発注事業者は必要な配慮を施す必要があります。
フリーランスの生活をサポートできるよう、就業時間の調整やリモート業務の導入など、柔軟な体制を検討するとよいでしょう。
なお、業務委託期間が6カ月未満であっても、同様の配慮に努める必要があります。


ハラスメント対策の実施
発注事業者は、フリーランスに対するハラスメントを防ぐため、相談窓口を設置するなど、必要な措置を講じる必要があります。
もちろん、ハラスメント行為に関して相談を行ったことを理由に不当な扱いをすることも禁じられています。


中途解除の事前予告と理由開示義務
フリーランスの6カ月以上の契約を中途解除する場合、発注事業者は30日前に予告し、理由を明示する義務があります。

※参考資料:厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 (フリーランス・事業者間取引適正化等法) 【令和6年11月1日施行】 説明資料
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総務担当者がチェックすべきこと

フリーランス新法の遵守によるトラブルの減少は、発注事業者にとってもフリーランスにとっても大きなメリットになると考えられます。
フリーランスが安心して働ける環境が整備されることでフリーランス市場全体が活性化し、質の高い人材が増え、よりスムーズなマッチングが期待できます。
また、発注事業者は法令遵守をしっかり行うことで、取引先や顧客から信頼される存在となり、企業ブランドの強化につなげることもできるでしょう。

一方で、フリーランス新法への対応にあたり、発注事業者側には新たな運用コストや負担が生じる場合もあります。
「これまではなんとかなっていた取引」もいつトラブルに発展するかわかりません。
罰則の対象となり企業の価値が下がらないよう、必要なコストと考えて以下のような体制を整えましょう。


総務担当者が主体となった体制の整備
フリーランス新法にスムーズに対応していくためには、総務担当者が主体となった体制整備が必要です。

契約管理の見直し
総務担当者は率先してフリーランス新法についての理解を深め、各取引の契約書が法律に準拠した内容となっているのかを見直すようにしましょう。
そのうえで、取引の担当者にも理解を促していくことが重要です。

報酬支払いプロセスの整備
支払遅延を回避するためにシステムを利用するのも効果的です。
例えば、報酬支払管理システムや振込作業の自動化システムなどを活用すれば、業務負担を増やすことなく期日を守ることができます。

ハラスメント防止
ハラスメントを防止するためには相談窓口の設置だけでなく、社内研修を実施し、従業員全体に法律の趣旨を理解させることも効果的です。
総務担当者が研修について積極的に計画を行うとスムーズでしょう。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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フリーランス新法は発注事業者にとって法令遵守の責任を伴いますが、同時に取引の透明性や信頼性を向上させる機会でもあります。
今回の記事を参考に、フリーランス新法への対応を着実に進めるようにしてくださいね。

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