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決算/確定申告 2020/02/12

管理会計の必須スキル!予算計画と予算管理の方法とは

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多くの会社が、事業などの継続的改善プロセスの方法として一般的に取り入れているのが、計画(Plan)、行動(Do)、検証(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルです。このうち、計画(Plan)と検証(Check)の段階で重要な指標の一つが「会社の予算」であり、予算計画、予算管理は会社経営を継続するうえで不可欠な要素です。今回はこの予算計画の作成と管理について説明します。

予算計画とは

会社の事業継続に重要なのが事業計画であり、事業計画を立てるために欠かせないのが、一定期間の売上や経費を見積もった「予算計画」です。ただし年間の予算計画を立てるだけでは不十分です。年に一度、計画を見直すだけでは、予算と実績が大幅に乖離してしまった際、次年度の予算計画を大幅に変える必要があり、正しい経営が困難になるからです。そのため、半期、3カ月、月次などと細かく見直す必要があります。
なお、予算計画は冒頭で説明したPDCAサイクルの「P(計画)」に該当します。予算計画を作成することで、該当期間に行うべきことや目標達成できない原因の検証が可能になります。

予算計画の立て方と具体例

事業を成長させるために必要な予算計画を立てるための3ステップを解説します。

ステップ1.予算チームを編成する
経理や財務などの管理部門からだけでなく、製造や営業など会社の各部門から1~2名の代表者を選抜して予算チームを編成します。
人選の際は、各部門の構成や業務などを熟知し、指示できる立場にある管理職クラスを選抜することが一般的です。人事部からも担当者を選抜すると予算計画に基づいた目標達成ができた際、その部門の代表者に対する人事考課を考慮することができます。

ステップ2.予算計画のスケージュール策定
予算計画のスケジュールを立てる際は、大体4カ月ほどの期間を設けることが一般的です。また、各部門のリーダーが集まって検討するので、意見がスピーディにまとまることは多くありません。3月決算の場合、11月には予算計画の準備を始めるのがよいでしょう。

ステップ3.予算計画作成・管理のルールを設定する
実際の予算計画の策定は各部門で対応することになります。その際フォーマットがバラバラでは、集計するのに手間がかかり、実際に施策を実施するまでに時間がかかってしまいます。会計ソフトの中には予算管理機能が搭載されているものもありますので、複数部署が共通で使えるよう全社的に導入するなど、フォーマットを統一する対策をしましょう。

予算作成の手順

実際に予算を作成する際は、土台となる「ベース予算の確定」からスタートし、「売上成長率の算出」、「プラス・マイナス要因の加算」と順を追うことで会社の経営状態に即した計画を立てることができます。

■ベース予算の確定
予算立ての基礎となる数値のことを「ベース予算」といいます。この際、最も参考になる値は前年度の実績です。そのため、ベース予算の多くが前年度の実績とされています。

■売上成長率の算出
続いて、直近の「売上成長率」を算出します。

売上成長率の計算式(例)
(当期売上-前期売上)÷前期売上×100

売上成長率が算出できたら、ベース予算の「売上」と「売上原価」、「販売管理費(変動費)」に反映していきます。例えば、売上原価が5%の場合、まずはベース予算の売上に1.05をかけ、対応する売上原価と販売管理費(変動費)を調整します。

■プラス・マイナス要因の加算
最後に新年度の事業におけるプラス要因とマイナス要因を明らかにし、それぞれの収支を算定します。

プラス(加算)要因
  • 新規取引の獲得
  • 新規商品の開発
  • 製造コストの低下

マイナス(減算)要因
  • 既存取引の消失
  • 製造コストの増加
  • 人件費の増加

以上の結果を、それぞれ表にまとめます。

■予算表フォーマット
勘定科目 前期実績 予算案
売上
売上原価
売上総利益
販売管理費 役員報酬
給与手当・賞与
法定福利費
委託費
通信費
交際・会議費
貸借領
保険料
車両費
事務用品費
地代家賃
その他
販売管理費合計
営業利益

上のフォーマットはあくまで一例であり、構成比や増減率などの項目が追加されることもあります。予算計画表を作成する際は、第三者が見て分かりやすい構成とすることが重要です。

予算管理とは

一定の期間の経営活動における実績を分析し、予算計画と照らし合わせながらPDCAサイクルを回すことを「予算管理」といいます。予算には以下の4種類があります。

■経営における4つの予算
売上予算 売上目標のこと。どのくらいの売り上げになるかを想定した予算。
原価予算 製造業では材料費、販売業では仕入れにかかるコストを想定した予算。
経費予算 従業員の人件費・交通費、事務所の賃貸料・光熱費、広告宣伝費など、原価以外の経費を想定した予算。
利益予算 売上から原価、経費を引いた会社の利益を想定した予算。

予算管理のメリットは以下の通りです。

メリット1.売上目標の明確化
経費や原価を把握できるため、会社全体での売上目標が明確になるほか、個人の売上目標の細分化や利益目標の設定にもつなげられます。

メリット2.経営の判断材料
予算計画と実績の乖離が大きい場合、売上を伸ばすために営業方法の見直しやコストの削減などを検討しなければならないことがあります。そのような状況において経営を継続するための正しい判断ができるようになります。

メリット3.経営の安定化
決算期などの年度末だけでなく、3カ月、6カ月と定期的に営業実績を確認することになるので、損失の拡大を防ぎ、安定した経営を実現することができます。

予算と実績の分析方法

予算管理は月次試算表を作成し、予算計画と実績を比較して分析することから「予実管理」と呼ばれることもあります。予実管理では、各部門の予算計画上の数値目標と一定期間の実績の誤差を「予算管理表」などに記入して確認し、その原因を探して改善することでPDCAサイクルを回していきます。誤差が1割を超えるなど、計画とのずれが明確になった際には予算そのものを見直す必要があります。

■予算管理表:売上予算(例)
当月実績 当月予算 差額 予算比 前年同月 差額 前年比
売上高 200,000 210,000 -10,000 95% 190,000 10,000 105%
**********

予算計画と予算管理について解説しました。この経験や知識を持っておくと、経理担当者としてキャリアップする際に大きな武器になります。特に中小企業では、予算計画や予算管理を徹底して行っている会社は多くありません。その一方で、各部門の責任者が少ないなど、比較的スムーズに予算計画を作成・管理できる会社は多い傾向にあります。会社経営の安定化と自身のスキルアップのためにも、ぜひチャレンジしてみてください。

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